フィンローダのあっぱれご意見番

第74回:厳しい世界

初出: C MAGAZINE 1998年07月号
Updated: 1998-11-17

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 どこで何を書いたか自分でも分らなくなってしまったのだが、バナーのデータはコピーして使った方がいいかリンクした方がいいか、という問題を紹介したと思う。実は「らんだむCGりんく」のページは、あっけない解決となった。バナーがディスクスペースを食い尽くしちゃったのだ。こうなるとリンクするしかないので、考える余地がなくて楽である。現実は厳しい。

 さて、「らんだむCGりんく」のページだが、これも乱数を使っている限り、登録された全てのページが選択される保証がないというのが気になっている。前回選択したページは次回候補から除外するという程度の処理は追加してみたい気もするが、そこまで手間をかけても何の意味があるかいまいちよく分らないわけで、まあいいんじゃないかと思っている。

 現実的な解決策としては、実はインチキだが「別にランダムにする必要がないのでは」という究極の条件を利用する。つまり、最初から順番に出してしまえばよいのだ。その代わり、最後に何を出したか覚えておく必要がある。CGIを呼び出す人は一人とは限らないから、実際はあるページへ飛んでから再び「らんだむCGりんく」に戻って他のページを選ぶ間に、他の人が何回か呼び出してくれるかもしれない。ある時点からある時点までの間、何回CGIのリクエストがあるかというと、これはまたランダムというべきものであって、実はどうやってもランダムになってしまうというのが「らんだむCGりんく」の恐ろしい所かもしれない。


 AOL Japanの会員数が10万人達成とのことだ。アメリカではCompuServeがAOLに食われて、会員数が1千万人を超えるという世界最大の商用ネットとなった。AOL Japanも、日本でNIFTY SERVEに追いつけ追い越せというノリだったし、3年で追いつくという宣言をする気迫があったので、かなり注目したのだが、NIFTY SERVEの会員が270万人位で、これに対して10万人というのはどういうことか。非常に恐ろしいものを感じる。インターネットとの共存に関しては、AOLはNIFTY SERVEより若干先行していたと思う。ホームページのサービスを開始したり、e-mailのためのpop3、smtpサーバの公開など、インターネットの一部としてのNIFTY SERVEを目指す動きは、あまりにも後手後手に回りすぎた。それでもパソコン通信のインターネット化というのは必然にならざるを得ないのだ。

 ところが、AOLに乗っかった人は10万人しかいないのだ。これはNIFTY SERVEがこれから目指そうとしているターゲットの規模を暗示しているように見えるのである。100万人とは言わなくても、せめて50万人いるというのならまだ救いがあると思う。実際、Peopleが立ち上がった時、会員数はかなりのペースで増大したのだ。しかし、NIFTY SERVEがこれからAOLと同程度のインターネット対応しかしなければ、1年で10万人しか会員は増えないかもしれない。それが恐いのである。

 インターネット自体の需要がないわけではない。問題は、NIFTY SERVEからインターネットを使う必然性である。実は私はpeopleのIDも持っている。何を隠そう、最近は家から接続する大半の時間がpeopleへの接続なのだ。どういうことかというと、ppp接続はpeople経由で行っていて、そこからtelnetとかNIFTY SERVE INTERWAYでNIFTY SERVEにアクセスするのである。NIFTY SERVEからppp接続しない理由は、固定料金接続の課金体系がないからである。私の場合、通常課金なので、15時間を超えたら超過料金が必要になる。もっとも、それを使い切らないのも勿体無いので、最近はプログラマーズフォーラムに入ってリアルタイム会議(つまりchat)をしている。話に積極的に参加するというのではなくて、ぼうっと見ているだけで、並行して別のことをしていたりする。つまり時間潰しだ。15時間をFPROGの利用時間に突っ込もうというのである。すごく地球に優しくないことをしているような気もするが、フォーラム運営も厳しいのだ。

 インターネット自体への新しい需要がないわけではない。それを痛切に感じたのが、PostPetである。実はちょっちハマっているのだが、頻繁にe-mailをチェックしないとなかなかお友達も増えない。PostPetとは何かというと、PostPet DXというパッケージの箱に詳しい解説がある。要するにe-mailに付加価値で味付けしたアプリケーションである。ペットがe-mailを運んでくれるというだけなのだが、なぜかこれが面白い。これはインターネットのe-mailを使ったアプリケーションだから、当然、インターネット環境が構築できる人でないと使えない。たまごっちのように、いきなり買って使えるものではなく、インターネットの技術という壁があるのだ。ところが、書店に行くと、PostPetの本がレジの前に平済みになっている。不思議な現象である。

 インターネットというのはハイテクから連想される機械的、冷たいイメージが先行していると思うのだが、このようなソフトは完全にインターネットを単なるメディアと化し、本来の姿として潜伏させることに成功している。今後のアプリケーションの一つの方向として、擬人化したヘルパー、エージェントのような存在が、インターネットの普及の鍵になるのではないかと思う程である。

 NIFTY SERVEはどうか。NIFTY SERVE INTERWAYを使って、Webからもアクセスできるようになった。その方針はよいと思うのだが、使いにくいという辛い批判が結構出ている。使い勝手をきちんと設計・評価できる人がいないのではないか。UIというのは専門家が手を付けないと難しいものである。しかしUIの専門家は少ないように思われる。

 NIFTY SERVEが将来どうなるかというと、実はPostPetのような世界を想像していたのだ。というのは、NIFTY SERVEには、ハビタットという世界がある。これはかなり昔からあるのだが、なぜか普及したとは思えない。例えば私の場合だと、最初はFM-TOWNSがなければプレイできないというのが抵抗になって、始めるきっかけを逃してしまったというのもあるが、基本料金だけでなく、さらに別料金を取られるというのが壁を一層高くしているのである。

 ハビタットというのは仮想世界で、NIFTY SERVEとは独立している。しかし、NIFTY SERVEの全てのサービスがハビタットからアクセスできるとどうなるだろうか。それがNetscapeなどの既存ブラウザから使えたらどうだろうか。ユーザが期待しているのはインパクトである。「やっぱインターネットだよね」というセリフも、今ではマンネリ化してしまった。何かそうかなと思っていても、実際まだちょっと、という人が大勢いる。どうすればインターネットに引っ張り込めるかを示唆しているのがPostPetだ、というのは考え過ぎだろうか。


 FPROGの発言も、Web pageの話題が出る割合が多くなってきた。そこで、FPROGに出現したURLをリンクにしたページを作成することにした。ところが、問題がいくらでも出てくる。リンク禁止の問題もあるが、さしあたって重要なのはURLの変更である。例えばhttp://www.niftyserve.or.jp/CM/Forum/fprog/という古いURLがhttp://www.nifty.ne.jp/forum/fprog/に変更される、という場合。この変更をリンクページに反映させるというのだ。単に変更すればよいと思われるかもしれないが、URLによっては無視するような指定がされているものがある。この例もそうである。FPROGのhomepageのURLなんてのは、FPROGの中だと何度も出てくるので、あえてリンクページに入れるとうざったい。だいいち、FPROGのホームページにあるリンクページなんだから、それを紹介する必然性がないのだ。

 さて、この場合は、データは最初http://www.niftyserve.or.jp/CM/Forum/fprog/を無視しろという情報を与えてある。ここに、URLの変更情報を追加する。すると、このURLはhttp://www.nifty.ne.jp/forum/fprog/になる。これは無視するURLリストにないURLだから、リンクページに登録されてしまうのである。かといって、最初に無視の確認をすればよいかというと、後から発言中に新しいURLが出てくることもあるので、新しいURLも無視しろという情報を明示的に与えるというのもしっくり来ない。仕様をどうすればよいかという問題と、アルゴリズムがどうすれば最もエレガントか、という問題が生じる。実はまだ、うまく解決していないので、ページも足りなくなったので、続きはまたの機会に。

 そういえば、ホームページの「今週の格言」のコーナーに、フェルマーの最終定理という名の冗談を書いた。「紙が足りないと証明を最後まで書くことはできない」という定理である。

(フィンローダ ニフティサーブ FPROG SYSOP)


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