フィンローダのあっぱれご意見番

第57回:Windows95アップグレード失敗

初出: C MAGAZINE 1997年1月号
Updated: 1997-02-20

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 前回のこのコーナーで紹介した、TP230Csの電源アダプタ事件だが、どうも釈然 としないので、本体保証書と一緒にサービスに出してみて、本当にこれは消耗品 扱いなのか、とクレームを付けてみた。結論を先に書けば、電源アダプタだけ修 理されて戻って来たのである。もっとも、修理といっても新品との交換である。

 どんな事件か概略を書いておくと、TP230Csの電源アダプタが断線して、本体の 保証期間内だから修理を依頼したら「電源アダプタは消耗品だから新品を買って くれ」と言われて、買ったらその新品には保証書が付いていた、という事件であ る。本体付属のものが保証なしで新規購入だと保証h有りというのが変だという話 だ。

 ただ、まだ釈然としないニュアンスが残ったままである。応対した人の話では、 やはり電源アダプタというのは消耗品であって、保証の対象ではないという感じ のことを言っていたのだ。どちらかといえば、今回はお客様からのクレームがあ ったということで強く要求したらこうなった、という感じである。つまり、下手 に出ると、やはり保証対象外ということになったかもしれない。プログラマーズ フォーラムではこのようにとりあえずゴネてみて強引に目的を達成してしまうこ とをゴネシエーションと呼んでいる。

 解釈によっては、これは危ない状況である。ユーザーサポートというのは人件 費との戦いになるから、コストとしては、ゴネる人の要求はとりあえず聞いてお いた方がいいという理由で、理屈では通らないことを通してしまうこともあるか らだ。この場合は、本当は電源アダプタは消耗品なのだが、ユーザーのゴネるの を説得する手間よりは、新品と交換してしまった方がコスト安、と判断した余地 がある。新品を別途購入したら保証書が付いているのだから消耗品ではないはず た、という主張は客観的に説得力があると思う。これでゴネられたら仮に本体付 属の場合のみ消耗品ということになっていても、ユーザーサポートが応対で消耗 するので困るかもしれない。

 で、結局手元に2つのACアダプタが残ったわけだが、これは予備に置いてある。 そのうち故障するのは目に見えているから、無意味ではないと思っている。ただ し、使っているのは新たに購入した方である。こちらは一年以内に故障したら保 証期間内だから修理してもらえるはずだ。


 ついにWindows95をインストールすることになった。発売から1年ほど経過して いる。今時Windows95のインストールトラブル記を読むとは思わなかった? どう もすみません。という訳だから、続々と発生したトラブルの大半に関してはあえ て紹介しない。そんなに発生したのかというと、したのである。ただ、数回イン ストールしている時に(なぜ数回もインストールしたのかというあたりも想像して ください)、ディスクフルになったことがある。これは納得できない。

 インストールした人なら分かると思うが、Windows95のsetupを実行すると、ま ず最初にディスクドライブを検査して、ファイルの状況と、空き容量を調べるの である。ということは、この時点で空き容量が分かっているはずだ。この後、ど のようにインストールするか選択して、コピーを始めて、大分たってから「ディ スクが一杯です」というようなエラーが出たのである。空き容量が分かっている のだったら、その時点でエラーを出せばいいのに、わざわざコピーして途中でエ ラーにするというのは、マイクロソフトの嫌がらせとしか思えない。しかも、途 中までコピーした影響か、その次起動したらWindows95の起動中に例外が発生して ストール状態となり、セーフモードですら動作しなくなってお手上げである。手 元にマサカリがあったらここでキレてパソコンを破壊している所だ。

 私の使っているマシンは486DX/66MHzで、ISA+VESAローカルバスという、最近の ローエンドマシンよりもはるかに非力という環境なのだが、これでもWindows3.1か らNetscape Navigatorを使ってWWWをアクセスするには何の問題もないパフォーマ ンスが出ていた。例えば、データの受信中の速度は、速い時で4KB/s程度と表示さ れている。28800bpsのモデムを使っているので、これは殆どピークに近い速度では ないかと思う。こうなるとボトルネックは回線速度ということになり、例えば Pentiumの200MHzのpcにすれば20KB/sになるか、というとそんなことは絶対にない わけだ。もちろん、200kbpsのモデム(そんなのあるか?)を使えば話は別だが。

 ただし、もしかすると画像表示の速度などは、処理が少し重いのかもしれない。 Penitumの200MHzクラスのCPUを使ったマシンに置き換えたら、ビデオカードも多分 高速のものが入っているので、もう少し快適になるという可能性はある。でも、 Web Pageを見る時の速度が倍になるとか、そのような劇的な差があるような気は しないのだ。

 もう一つ困ったことがあった。Windows3.1からはJavaが使えないのである。Java を使ったページに何が起きているのか分からない。そこで、どうしてもWindows 3.1から一歩前進する必要が出てくるのである。決して某ゲームソフトをインスト ールするため、とかいうのではないと思う。というわけで、Windows95をインスト ールする決意をしたのだが。

 ここに誤算があった。モデムが使えなくなってしまったのである。構成は、 Windows3.1の時に全く問題なく使っていたままである。Windows95にした途端に、 モデム初期化の処理で無反応になってしまったのである。もう少し調べてみると、 モデムに送信することはできるが、モデムから来るべきデータが受け取れていな いことが分かった。例えばATというコマンドを送った時にOKという文字列が戻っ て来ないために、初期化でずっとOK待ち状態になっているのである。

 この場合、まず疑うのはモデムの設定である。しかし、モデムの設定を簡単に 調べることができない。ターミナルを開いてみても、モデムから何も文字列が戻 って来ないので、どうなっているのか分からないのである。しかも、コントロー ルパネルの「モデム」のアイコンを開いて詳細とか見た限りでは、正常に動作し ていると表示されるし、ちゃんと接続できるいるような感じなのだ。試しにDOS窓 を開いて自作通信ソフトの「魔王」を実行してみると、何の問題もなくオートパ イロットできてしまう。ATと入れたらOKが戻って来るのである。

 ということは、ハードウェアは問題ないわけだ。だとすると怪しいのはWindows95 以外にないのである。これで完全に行き詰まったというか、Javaを見るために Windows95を入れたつもりなのに、一切のWeb pageが見えなくなってしまうという のは話が違う。ちまたの噂ではWindows95はWindows3.1よりも安定しているから、 Windows3.1からWindows95に移行しない人は何を考えているのかわからん、という ような意見もあるようだ。確かにWindows95は安定している。私の環境では安定し て使えないのである。

 これじゃ全然話にならないので、やはりWindows3.1に戻してしまうことにした。 こういう時には、Windows95のペイバックが出来るのかもしれないが、とりあえず 記念に取っておく。


 もう一つの連載の方だが、これも結構大変である。Windows3.1からWindows95に グレードアップした理由は、実はこの連載にも関係するのである。それはさてお き、個人的にはゲームのプログラムを作るというのは非常に好きで、特に締め切 り間際の危機的状況のスリルは何ともいえないものだ(なんて書いてよいのだろう か?)。しかも、ゲームの場合はアイデアが勝負で、さらにデザインや運が必要、 という非常に厳しい市場になっていて、出来がよければ売れるかというと、もし かするとそうとは限らないギャンブル的要素があるというのもよい。

 PlayStation開発キットを配布する会員限定のサービス「ネットやろうぜ」は、 専用のネットニュースであれこれ情報交換しているのだが、Cマガジンとの連携に ついて少しflameぎみになったことがある。私がそこを読んだのは鎮火してからな のでフォローのしようもないのだが、会員の様子を見た限りでは、どうもCマガジ ンの方に最新情報をこっそり流して掲載し、会員にそれを買わせようとしている のではないか、という疑惑を持っているのではないかという雰囲気があった。冗 談ではないのである、こちらが情報入手のためにそのニュースを読みあさって 「おお、ここはやっぱりアレか」という感じが真相である。

 この開発キットがPlayStationと込みで12万円。会員は高いと思っている人が多 いような雰囲気だが、私としてはこの値段で出せるということは凄いと思う。専 用のハードウェアに対応したソフトウェア開発環境を準備するには人件費だけで も数千万円〜数億円はかかるだろう。確かにエンドユーザーから見れば、VC++の 値段と比較したりするからとても高いと感じるのは分かるのだが、現実は結構厳 しい。計算が安易すぎるかもしれないが、VC++が百万本、ネットやろうぜの開発 環境が1万本だとすれば、同じ利益を出すためには価格を100倍? んなことはない が、とにかく結構かかるような気がする。かといって、ライバルのマシンが続々 と登場する中、ハードウェアの情報を全部公開してフリーで誰かやってくれ、と いうわけにもいかないだろうし、SCEIのスタッフも辛い所ではないかと思う。


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