| 建設機械 |
| 走行系の駆動機構 |
● 走行系の駆動機構: 走行系の駆動機構には、おもなものに、機械式、電気式、油圧式、の3つがあり ます: ○ 機械式: ──────────────────────────────────── 原動機にエンジンを使用し、クラッチとトランスミッションを介して、走行系を 駆動させる方式。(乗用車とほぼ同じ方式です。クラッチ/トランスミッション については、後段参照。) ・ 構造: エンジンは比較的パワーが小さいため、発進時から走行系を駆動させることがで きません。そのため、エンジンの回転速度をある程度まで高めたのち、クラッチ でトランスミッションにつなぎ、トランスミッションで回転速度を変えつつ、走 行系を駆動させる方式がとられます。 トランスミッションからの回転が駆動輪にどう伝わるかは、走行系の種類により 変わります: ・ ホイール式: トランスミッションからの回転は、プロペラ・シャフトを介して、ディファレン シャルに伝わります。ディファレンシャルでは、回転力を高め(回転速度を小さ くし)、回転方向を車軸方向に変え(約90度)、ドライブ・シャフトを回転さ せます。最終的にドライブ・シャフトにより駆動輪が駆動されます。 ・ ホイール式(スキッド・ステア方式)、クローラ式: スキッド・ステア方式やクローラ式の走行系は、左右の駆動輪の回転速度を変え ることで、方向転換を行います。これを実現するため、トランスミッションから の回転は、左右それぞれの駆動輪につながる、ディファレンシャル・ステアリン グ・モジュールに伝えられます。 ディファレンシャル・ステアリング・モジュールでは、油圧モータの補助などに より、駆動輪の回転速度を増幅させます。これにより、左右の駆動輪の速度差を 生み出します。 ※ ともにFR(フロント・エンジン&リヤ・ドライブ)の場合です。エンジンと駆 動輪の位置関係により、駆動機構の構造は変わります。FF(フロント・エンジ ン&フロント・ドライブ)の場合、エンジンが横置きとなり、クラッチ〜トラン スミッション〜ディファレンシャル系統が一体化されがちです。4WD(4輪駆 動)などでは、トランスファやディファレンシャル(センター・デフ)などを介 し、前輪/後輪などが同時に駆動されます。 ──────────────────────────────────── |


● クラッチ〜トランスミッション系統: クラッチ〜トランスミッションの系統には、ダイレクト・ドライブ方式、パワー シフト・ドライブ方式、などが採用されます: ○ ダイレクト・ドライブ方式: クラッチに摩擦クラッチを使用し、トランスミッションには、メッシュ・タイプ のトランスミッションなどを使う方法−−大きな力を一気に出せる、燃費がよい、 といった利点があります。反面、人がクラッチを扱う必要があり(クラッチ・ペ ダルなどの操作)、そのぶん操縦が面倒になります。(ただし、電子制御により、 クラッチ操作をオートマチック化する機構もあります。) ・ 摩擦クラッチ … エンジン側の”プレッシャ・プレート”(円盤)を、トラン スミッション側の”クラッチ・ディスク”(円盤)に押さえつけることで、エン ジンからの回転をトランスミッションに伝えます。 ・ メッシュ・タイプ・トランスミッション … 複数のギヤを組み合わせ、出力側 の回転速度を変えていきます。 ○ パワーシフト・ドライブ方式: クラッチに流体クラッチを使用し、トランスミッションには、プラネタリ・ギヤ などを使う方法−−人がクラッチを扱う必要がない(クラッチ・ペダルなどがな い)ので、操縦が楽になります。反面、大きな力を一気に出し切れない、燃費が 悪い、などの問題があります。 ・ 流体クラッチ … ”フルード”(オイル)の粘性を利用。エンジン側の”ポン プ”、トランスミッション側の”タービン”(羽根車)から構成されます。ポン プとタービンが、フルードにより”絡み合う”ことで、回転が伝わります(=ト ルク・コンバータ方式)。また、ある程度以上の速度になると、ポンプとタービ ンを機械的に連結してしまう機構(ロックアップ機構)が採用されることもあり ます。 ・ プラネタリ・ギヤ(遊星歯車) … サン・ギヤの周りを複数のプラネタリ・ピ ニオン・ギヤが囲み、さらにその周りを、ひとつのインターナル・ギヤ(輪)が 囲みます。どのギヤを入力にし、どのギヤを出力にするかにより、出力側の回転 速度が変わってきます。 ※ おおまかにいえば、ダイレクト・ドライブ方式は、乗用車のマニュアル・トラン スミッション(MT)に。パワーシフト・ドライブ方式は、オートマチック・ト ランスミッション(AT)に対応します。 |
● 乾式/湿式、単板/複板/多板: 摩擦式のクラッチやブレーキでは、摩擦で発生する熱を逃がしたり、(ディスク 式の場合はその効果を高めるために)ディスクの数を増やしたりします。それぞ れ、次のような方式があります: ・ 乾式/湿式 … 乾式は、空気で冷やす方式。湿式は、オイルなどで冷やす方式 です。 ・ 単板/複板/多板 … 単板はディスクが1枚のもの。多板は、ディスクが複数 枚のもので、とくに2枚のものを複板といいます。 |
○ 電気式: ──────────────────────────────────── 原動機にモータを使用し、走行系を駆動させる方式。 ・ 構造: モータは比較的パワーが大きいため、その力を、発進時からダイレクトに走行系 に伝えることができます。駆動輪の回転速度は、パワー・コントローラにより制 御されます。大きな距離を移動する車両では、モータを駆動させるために発電機 が搭載されます。 モータにはDCモータが、発電機にはディーゼル発電機が多く使われます。 ・ 特徴: モータの回転速度を変えることで、無段階の変速ができるため、走行系の操作が 楽になります。またクラッチやトランスミッションなどの複雑な機構を必要とし ないため、装置が簡略化され、整備がしやすくなります。 ──────────────────────────────────── |

○ 油圧式: ──────────────────────────────────── 油圧機構を介して、走行系を駆動させる方式。 ・ 構造: 原動機の動力で油圧ポンプを駆動し、最終的にアクチュエータから走行系に力を 伝えます。ホイールやクローラを回転させる場合、アクチュエータには油圧モー タが使用されます。 ・ 特徴: 油圧モータは、その回転速度/回転方向を変えることで、ホイールやクローラの 回転を、無段階に変速/逆転させることができます。 さらに、駆動輪の回転方向を左右独立して変えることができるので、超信地旋回 による方向転換も可能になります。 ──────────────────────────────────── ※ 油圧機構(ポンプ/アクチュエータ/モータ) → 『作業機の作動機構』 |

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