Lemon People '97

1997年1月号

配線上のアリア 発行/スマナイ B5版変形/38P
 1996年8月3日発行

 今月の頭には来年公開予定の劇場版新作の制作発表も行われ、次のステップへと進みはじめている「エヴァンゲリオン」。同人誌の世界でも相変わらず強力な人気を誇っています。特に男性系の美少女作家の活動がゲームパロディ中心になりつつある中で、女性作家の活躍が目立ちます。
 この本の作者の孫御飯さんもそんなひとり。「エヴァ」の他にも「キャンディキャンディ」、「セーラームーン」、「エスカフローネ」といった作品まで、幅広くカバーする力量とそのチャーミングな絵柄は、なかなかのもの。
 まんがはアスカ×レイの2本。川原由美子の「観用少女」にインスパイアされたひらひらの服のレイと裸で誰もいないプールを泳ぐレイが好対照。アスカも母親の愛情に飢えた幼女時代と14歳の生き生きとした姿とを巧みに描き分けています。


TOKIME KISS 発行/OFF LIMIT COMPANY B5版/100P
 1996年8月3日発行

 今や美少女系同人誌の主流となりつつあるのが、ゲームのパロディです。コミケットでも「ゲーム男性向け」という新しいジャンルが冬から登場しました。そして、「同級生」パロディを通じて現在のブームの盛り上がりの一翼を担ったのが、OFF LIMIT COMPANYの位相同爆さんであることに間違いはないでしょう。この夏の新刊は「ときめきメモリアル」パロディのこの本で、相変わらずの分厚い読み応えのある個人誌となっています。
 ターゲットは、藤崎詩織、館林美晴、片桐彩子の3人。オリジナルキャラクターの魅力を生かしつつ、位相同爆さんらしい味付けが効いてるのがさすがです。特に詩織のまんがは、エロティックな描写に加えて、男の子に仮託したときメモラーの想いに夢と勇気を与えてくれる(笑)すがすがしい後味が、より一層の魅力を引き立てています。



1997年2月号

おとなのがんぐ 発行/林檎堂 B5版/38p
1996年11月17日発行

 春の新番組の中ではイチ押しの人も多かった「こどものおもちゃ」。演出・作画・声優一体となってのノリノリぶりは、最高。特に主人公の紗南ちゃんの性格設定は、今までの少女アニメの枠を大きく越えていて、私はこの作品を「本邦初の孫ギャルアニメ」と呼んでます(笑)。
 でも、人気の割には「こどちゃ」の同人誌ってあんまりない。パロディって原作の完成度が高いと、難しいんだよね。しかも「こどちゃ」の場合、あの動きやテンションを紙の上に落とさなければならないわけで、ハードルはなおのこと高い。
 そんな状況にお嘆きのあなた、ご安心下さい。まんだ林檎さんがやってくれました。ショタコン界の重鎮(なんじゃそりゃ!?)の彼女ですから、秋人くんが多いのは当然ですが、紗南ちゃんもかわいいし、ロリータ玲くんも笑わせてくれます。


BANDAGE-00・2 発行/ロケット兄弟 B5版/44P
 1996年8月3日発行

 2ヶ月続けての登場となりましたロケット兄弟さんの「エヴァ」本です。たまにはこういう趣向もいいでしょと、さもそういう企画のようなふりをする私(実は、秋山師匠と未調整だっただけ。でも、数え切れないほどの同人誌が発行されていても、読者にお勧めしたい! と評者たちが思う本はそんなに多くはないということの見事な証明である、とは言えるのでは?)。
 まんがはレイ、シンジ、カオルの3Pとアスカ×シンジの2本。やおいネタでは大人気のカオルくんですが、あんまり美少女系のエヴァ同人誌には登場してきません。でも、カオルくんほどの攻めキャラってなかなかいないので、動かし方ひとつだと思うです。
 その他、凝っているのがデザイン。美少女系というと、仕上げがどうも甘い本が多いのですが、この本は、CGなども用いて、キレイに仕上がっています。


1997年3月号

戀の花咲く 発行/薄荷屋 B5版/38P
 1996年11月17日発行

 篤見唯子さんの「ときメモ」中心の恋愛シミュレーションゲーム本。どっぷり感情移入して恋に盲目な純情な男の子たちに比べて、女の子の冷静な目が鋭い切れ味を見せてます(ツッコミが厳しい、とも言うけどね)。
 相変わらず、どこかにネジを2本くらい落としてきたようなギャグの破壊力は強力。彼女のペンにかかると、あのヴァーチャルアイドル(なんじゃそりゃ)藤崎詩織も、ムチャクチャあくの強い女の子に変身してしまうんだな、これが。怪しげな効果線トーンの威力も絶大というところです。特に、かわいい時の顔とギャグ顔のギャップがたまりません。
 巻末には、以前の商業誌作品が再録されていて、彼女が昔からその絵柄とはうらはらの強烈なセンスの持ち主であることを再確認できます。


千華の都 発行/たからのすずなり B5版/36P
 1996年11月17日発行

 この秋以降の男性系同人誌の人気を二分しているのが、「機動戦艦ナデシコ」と「サクラ大戦」。どちらもキャラクターと世界観が、おたくごころにジャストフィット、という感じ。よりどりみどりの女性キャラクターの中から、好みのタイプを見つけだせるというのも今風だなぁ。で、最近はどの男の子向けの作品でも女性ファンの数が随分多くて、男の子とはひと味違った魅力の本がいっぱい読めて、個人的にとても楽しいッス。
 富士屋好子さんとこうのゆきよさんのユニットたからのずずなりは、そんな女の子サークルの中でももはやベテラン的な存在。カップリングは、富士屋さんが大神×マリア、こうのさんが、大神×さくら。かっちりとセクシュアルな描写をこなす一方で、女性ならではの優しい感性も魅力的です。



1997年4月号

花はNADESICO 発行/自由ヶ丘商店会 B5版/60P
 1996年12月28日発行

 「ゲキガンガー3」に巨匠小松原一男本人まで参加してしまい、もはやパロディだか何だかわからない状態になってしまった「機動戦艦ナデシコ」。ギャグにしては仕掛けが派手だなぁ、と思っていたら、実は伏線だったというのも豪快。あとは、ちゃんとオチだけはつけてくれるのを願っています。
 さて、紹介するのは、自由ヶ丘商店会でアニパロを中心に活動している平木直利(ひらきなおり)さんの個人誌。
 内容は、まんが一本のみの直球勝負。メグミとユリカが軍人たちに陵辱されるのをハードに描いて読ませます。
 美少女系アニパロというと、長めの作品を書く人があまり多くない中、五十ページ以上にわたって読ませる作品を描いたことは、大いに評価されるべきと思うです。


CALPIS THEATER 7:30 発行/Munchen Graph B5版/340P
 1996年12月28日発行

 北かづきさんとまぁくUさんという強力ベテランコンビによるMunchen Graphの名作劇場本。当初の予定から随分と発行が遅れてしまいましたが、引っ張っただけのことがあったなぁと、思わせる仕上がりです。名作劇場へのこだわりと愛情の深さを感じずにはいられません。
 そして、二人の人柄の良さとキャリアの長さを反映して、うたたねひろゆき、森野うさぎ、あさりよしとお、新田真子をはじめとした、ゲスト陣も超豪華かつ膨大(約四十名)。先月号で秋山先生が紹介したキャプテンキーゼルさんの個人誌には及ばないものの、総ページ数三百四十ページ、内フルカラー二十四ページというごっつい本となりました。おかげで、冬コミケではサークルスペースに巨大なお城を築いてしまい、「搬入王」というあまりありがたくない裏称号までもらってましたね(笑)。



1997年5月号

HappyIcecream 発行/あつあつCOOK B5版/28P
 1997年2月16日発行

 一口に少女まんがといっても、結構間口は広い。その中でも一部男性の少女まんがファンにヒジョーに人気が高いのは、「りぼん」や「なかよし」いった本来的には低年齢層向けの低等身まんが。独特の世界観ととキャラクターの個性が、単なる子供向けに終わらせない個性的な誌面を作り出している。かたぎりあつこさんのぷりちー(死語)なキャラクターが、少女まんが男性ファンの琴線に触れて熱い支持を得ているのも、この下地があればこそ、と言えよう。
 今回の本は、「赤ずきんチャチャ」と「きんぎょ注意報!?」のリバーシブル本という本当に久しぶりの女の子メインの本(なんせ、裏表紙には1995なんて文字が入ってる。カラーだけを先に作ってたんですな(苦笑))。再録中心のショートストーリー本ですが、元気一杯の原作をうまく生かした楽しい本になっています。


人と呼ばれしケモノ2 発行/RACK&PINION B5版/60P
 1996年12月28日発行

 「エヴァ」劇場版の予告編での「保留」だの「作業中」だののオンパレードを見ていると、人間がだんだん崩壊していく姿ををライブで見ているような気がして、気分が悪くなった評者です。
 さて、紹介するのは「ヤングHiP」の「霊能探偵ミコ」などで活躍中の井荻寿一さんのエヴァンゲリオン本。RACK&PINIONというと、創作同人誌好きのオールドファンには懐かしい名前ですね。十年くらい前に洒脱な本を描いていらして、私も結構お気に入りでした。そのうちプロデビューされ、しばらくこのサークル名も見ないなぁと思っていたら、なんと美少女系で同人誌復帰です(笑)。
 まんがは、アスカ×シンジの長編が一本。過去の記憶に悩まされ、加持への想いも満たされないアスカが、シンジを身代わりにしてのセックスをするまでのエピソードの積み重ねが、さすが巧みです。



1997年7月号

Nervtype 発行/おきらく堂 B5版/144P
 1996年12月29日発行

 いつもながらに様々なコネクションを駆使して、豪華メンバーでの同人誌を出しているおきらく堂。しかし、ネームバリューに溺れることなく、作家陣の変化球勝負の競い合いといったノリがあって楽しめます。
 まんがもバラエティに富んで面白いのですが、それはそれとして、読ませるのは笹本祐一、あさりよしとお、むらかわみちお、岡昌平、Franken N、といった、いかにも一家言ありそうな(誉めてるんだよ)メンバーのエッセイ。「エヴァンゲリオン」という作品はいろんな人がいろんなメディアでいろんなことを語った作品ですが、なるほどと思えたものは数えるほど。ところが、そういう切れ味のよいものに限って、何故か自分自身もクリエイターである人の発言だったりするのが不思議です。
 「Newtype」をパクったタイトルと表紙のレイアウトがも楽しいですね。


VANISING BORIRIN-02 発行/船堀濡2街道 B5版/52P
 1996年12月28日発行

 なんのかんの言いながら「エヴァ」劇場版は初日のオールナイトで見た評者です(笑)。
「Rebirth」のTVアニメの<つづく>みたいな終わり方もスゴイけど、結局25話をきれいな絵でそれぞれのキャラクターの場合についてやった「Death」も何だかなぁと思うことしきり。まあ、事前に伝え聞いていた情報で想像していたよりは、はるかにまともに仕上がっていたようには思います。
 さて、紹介するのは、商業誌でも活躍中の船堀斉晃さんの作品。原作のストーリーやセリフ回しをうまく取り込んでの構成がよく練られています。豪快なのは、エヴァ同士のセックスに、シンジやアスカ、レイがシンクロしてしまうところ。完全なギャグまんがでは割とあるネタですが、ギャグぎりぎりのところを狙いつつ、しかもストーリー上の必然も作り出しているところが巧みです。



1997年8月号

GARDEN 発行/Myao B5版/30P
 1997年4月20日発行

 春の新番組アニメの中では、異彩を放っているのが「少女革命ウテナ」。セーラームーンシリーズでの巧みな演出で名を馳せた幾原邦彦監督作品ということで、事前の期待大でしたが、それに違わぬ強烈な印象を視聴者に与えてます。特に宝塚やアングラ演劇もかくや、という音楽と演出の大仕掛けには笑いを越えて、感嘆すらしてしまいます。声優陣も子安武人の相変わらずのとばしぶりもさることながら、川上とも子の男装の麗人っぽくない素直な演技とともにも好感が持てます。
 この本は森永みるくちゃんの2冊目の「ウテナ」本です。みるくちゃんは、既に昨年の冬コミケの段階で最初の「ウテナ」本を出して、ウテナのコスプレしていて(笑)、このジャンル一番乗り! というところでしょうか。一度ヒートアップするとそのパワーは誰にも負けない「火の玉少女」森永みるくちゃん(おいおい)ですので、今後ともLOVE2な本を期待してます。


ギャラリーフェイク 発行/90分15,000円 B5版/160P
 1996年12月28日発行

 同人誌におけるパロディというのは、原作を共通体験としたコミュニケーションツールとしての意味合いに特化した世界であるのが一般的。ここでは、キャラクターの設定やベーシックな世界観だけ借りて、後は自分の独自の表現を追求する事すらも可能です。
 その一方で、ここで紹介する宇奈無英雄さんのように原作の持ち味を生かしつつ、風刺といった本来的な「パロディ」にこだわる人は貴重な存在と言えましょう。この本は、宇奈無さんが、これまで描いてきた様々な作品を集めた総集編です(タイトルが「ギャラリーフェイク」とは実に言い得て妙ですね)。
 極初期の怪作である「沈黙のコミケ」、大きな話題を呼んだ「ブロック長島耕作」、ライブ感覚的ストーリー展開の「美作しんぼ」。青年誌・少年誌の様々な作品をモチーフにペンを使い分け、「毒」を織り込みながら、同人誌の世界を鮮やかに「斬って」います。



1997年9月号

恥ずかしいNERV 発行/沖縄体液軍人会 B5版/56P
 1997年4月20日発行

 「セーラームーン」のパロディで彗星のごとく同人誌界に登場し、なんとあの人が!! と、大きな話題を呼んだ沖縄体液軍人会さん(笑)。その後は「エヴァンゲリオン」のパロディで燃え燃えです。
 当初は地元の福岡での活動が主体で、東京ではほとんど手に入れることのできない幻のカルト同人誌として、多くのマニアを泣かせてきました。最近はコミケット等の即売会にも参加され、入手もずいぶんと容易になったのはうれしい限りです。そして、この総集編では、初期の作品も再録されており、まさにファン必携のコレクターズアイテムと言えましょう。
 内容は言わずもがなのいつもの沖縄体液軍人会ワールド。限りなく下品な下ネタと破壊力最強のギャグの連発は、凡百の追随を許さないハイレベル。久しぶりに腹の底から笑ったと実感できます。


MONKEY BUSINESS VOL.1 発行/MONKEY BUSINESS B5版/62P
 1997年4月20日発行

 愛知地方を中心とした作家さんたちによる新ユニットMONKEY BUSINESSが春から始動しました。描き手は、虎戦車、コマンダーキャッシュとゆかいな仲間たち、きお誠児。それぞれ、個性あふれる3人が、自分の持ち味を生かした世界を作り出しています。
 虎戦車さんの作品は、和風のファンタジー。少年の通過儀礼を初々しく描いて優しげ。コマンダーキャッシュとゆかいな仲間たちの作品は、「ストU」のキャミィ×春麗ネタ。アクロバティックな体位と画面構成が大胆。きお誠児さんの作品は、「戦場エロマンガシリーズ」(笑)。戦う男の哀しさと癒やしとしての女という「戦場マンガシリーズ」の伝統に則しつつ、サービスもたっぷり。
 今後もそれぞれの作家の描きたいエロまんがを載せていきたい、というのがプロデュース担当のOHHASHIさんの弁。



1997年10月号

大好きがとまらない 発行/AI・MIN B5版/36P
 1997年5月4日発行

 その可愛らしい絵とビビットなストーリーで、古くから少女まんが好きの美少女まんがマニアの根強い支持を得ている小杉あやさん。最近は動物のアルマジロについての同人誌を出したりもしていますが、こういう感じのえっちまんがはやっぱりいいなぁと思うのは、イケナイ発想なのでしょうか?
 まんがは表題作が1本。商業誌に発表された連作短編に加筆修正を加えたもの。レースとフリルとりぼんにデコレートされたピンクハウスを身にまとい夜の街に佇む少女と、彼女に声をかけた青年が、恋していく姿を短いエピソード丹念にを積み重ねながら描いていきます。
 特に、少女がこの年頃にありがちな背伸びをしている一方で、気分屋でまだまだ子供であるという多面性が、キャラクターの魅力を高めています。


AUTO MATA 発行/カエル企画 B5版/28P
 1997年5月4日発行

 ホラーやミステリーのストーリーの典型的パターンのひとつに、いわゆる「嵐の山荘」というのがあります。嵐や大雪などで交通や電話などが不通となり、外界との連絡が途絶えた状況の中で事件が起こる、というやつです。簡単に極限状態を作り出すことが出来るので、古くからよく使われている手法なのですが、それだけに巧く演出しないとありきたりのお話になってしまうのが、難しいところなんだな、これが。
 きりはら楓さんの表題作もそんなシチュエーションでのお話。嵐の中、難を避けるため洋館を訪れた青年と、彼を迎えた人形のメイドが繰り広げるストーリー全体を、静かな狂気が貫いていて読ませます。カラミの描写もなかなか濃厚な一方で、人間でもなく人形でもない少女の佇まいが、物語にも性的描写にも深みを与えています。



1997年11月号

ゴーゴーヘヴン 発行/たつねこ屋 B5版/30P
 1997年8月15日発行

 先日、夏のコミケット後に伊勢丹の画廊で開催されたまんが家5人による原画展「5人のプロジン・アマジン展」。萩原一至、武内直子、田村由美といったメンバーを集めて、しかも老舗デパート本店の画廊での原画展というところが、プロデューサーとしての高河ゆんのさすがの力量というところでしょうか。そういったメンバーに十分に伍してシャープで奇麗なカラーを見せていたのがたつねこさんです。
 夏の新刊は、「ポケットモンスター」。しかもピカチュウが女の子に変身しちゃって、サトシとバコバコヤッてしまうという、早い者勝ちあんどオキテ破りネタ(笑)。誰もが一度は考えるネタですが、それだけに趣向を凝らさないとがっかり、ということになってしまうのですが、そこはたつねこさんの本領発揮。笑えてしかもエッチなまんがになっているところはさすがです。


Torry JAPAN 発行/月刊とり B5版/60P
 1997年8月18日発行

 古くは九州に始まり、個性派の書き手が集まって,出す本ごとにユニークなまんがを競っている創作集団月刊とり。今回はいつもに増してノリノリの1冊になっています。
 巻頭8Pがフルカラー、一人予算1万円という制限のみでオリジナルのガンダムのプラモデルを好き勝手に作ろうという「ミーのザクは宇宙いち!」という企画がまず爆笑。表紙のチョーかっこいいアッガイにだまされてはいけません。大阪城くっつけたり、頭部があらいぐまラスカルだったりともう無茶苦茶。
 まんがは自分の作ったそのガンプラを基にしたお話で、これまたスゴイ。例えば、大連さんの「衝撃降下90度」は、松本零士ネタも取り込んでの怪作。
 記事ページの「ガンプラ用語辞典」も笑えるコメントたっぷりで、隅から隅まで一冊丸々しゃぶり尽くせる本になっています。



1997年12月号

健全安全好青年 発行/流れ者組合分室オフィスラビリータ B5版/44P
 1997年8月16日発行

 先月号のコミケ52対談でも話題になっていた本の紹介。どーゆーわけか、最近一部の女性系パロディサークルで盛り上がっているのが、男の子キャラを女の子にしてしまう「ギャル化」という手法。別に性転換が云々という理屈は全くなし。その世界ではその男の子キャラは最初から女の子として存在しちゃってる。この辺の「世界」のたたずまいが実に少女まんが的な論理によって裏打ちされているのが面白い。「やおい」というねじれが、さらにねじれて一回転した、とでも言えばいいのかしら?
 この本では、ご覧の通りシンジくんが女の子。第3新東京市立第壱中学校の制服がとてもよく似合う、ろりろりなキャラがかわいい。というわけで、この本も含めて「ギャル化」に共通のもう一つの特徴は、非常にキャラクターがロリ系なところでもあるんだな、これが。


包帯少女THE THIRD 発行/CHOCOLATE SHOP B5版/112P
 1997年8月15日発行

 そのチャイルディッシュなキャラクターの魅力と、CGを駆使した抜群のデザイン感覚で、美少女系同人誌の世界では、実力・人気ともに若手随一と言っても過言ではないCHOCOさん。斬新なセンスは、単なる美少女系という枠を超えて、まんが・アニメ・ゲームのあちらこちらに影響を与えつつあります。
 「包帯少女」シリーズの三冊目にあたる本書は、後書きでCHOCOさん自身もおっしゃっているように、氏の「エヴァ」に対する決着をつける作品となりました。かのTVシリースのラストを再構成し、ファンの望んだ最良のラストの形のひとつを堪能することが出来ます。やはり物語にはカタルシスが必要だと痛感。
 それにしても、「包帯少女」というある意味キワモノ的なタイトルをここまでカッコよくしてしまったところはすごい。「見せ方」の勝利というところでしょう。
与えています。


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