Lemon People '96

1996年1月号

VIOLET BLUE 発行/俺たちセーラームーン B5版/72P
 1995年8月20日発行

 先々月紹介したまつおゆりこさんとは大の仲良しの鶴橋タマゾーさん。彼女も女の子系アニパロの世界では、もうかなりのキャリアの持ち主。この本は、セーラームーンの再録個人誌となります。表紙と色替えページの青をモチーフとした装丁が、夏らしいすがすがしさと、みちるとはるかの静的なイメージを演出してなかなか。
ストーリー物は、全部で四本。みちる×はるかのカップリングが三本。どの作品も、みちるとはるかの微妙なあり方がふたりの愛情と絡み合って、エロティシズムを醸し出しています。大胆な省略とポップで乾いた画面、そして、まなざしの危うさが、独特の個性を発揮していて、魅力的。
 残り一本は、うさき×まこと。恋人がいることに憧れるまこちゃんの乙女心を描いた佳作。エンディングが実にさわやか。


MOON VENUS4 発行/HIGH RISK REVOLUTION B5版/44P
 1995年8月20日発行

 この一年ほどで、人気、実力ともに急上昇のあいざわひろしさん。ときめきメモリアルとセーラームーンを中心に活動中で、今もっとも旬の作家のひとりと言えます。
 この本は、美菜子を中心にした「MOON VENUS」シリーズの一応の区切りということになるそうです。
 美しい花を守るために備わっている薔薇の棘に、セーラー戦士をたとえつつ、その一方で、棘というものが、本質的に傷つけ合うものである存在である、とした重層構造は見事。穏やかな前半部とは趣を変えてのエロチックな後半部に深みを与えています。このような価値の複合化というのは、良質の少女まんがが常に内包しているものであり、美少女系という枠組みを越えて、高く評価したいと思います。


1996年2月号

KARMA U 発行/かるま屋 B5版/26P
 1995年11月23日発行

 この秋のコミックレヴォリューションでも大人気、冬コミケの美少女系の台風の目となりそうなのが「エヴァンゲリオン」。主人公のあまりの暗さに感情移入できないところ無きにしもあらずですが、あざといワナに、それでもはまってもいいような気にさせるところが、GAINAXのすごいところ。モロ渡辺美里中期みたいな主題歌も個人的にお気に入りです。おそらく冬コミケは大量の綾波レイちゃん本で美少女系スペースは大いに盛り上がるのでしょう。
 で、この本は、商業誌でも活躍中のかるま龍狼さんのシンジ×ミサトの個人誌。かるまさんの貞本キャラってあまり想像つかなかったのですが、ごらんの通りすっきり仕上がってます。超おかしいのは、子供の落書きみたいに描かれた使徒。自然と笑いがこみ上げてくる不思議な絵です。


天国の花 発行/ろむろむ倶楽部 B5版/80P
 1995年10月8日発行

 TMネットワークのパロディ時代から、その可愛らしいキャラクターで人気を集めていた三池ろむこさん。彼女もここ最近はセーラームーンに夢中で、天王はるかちゃんがお気に入り。特にはるか猫が超ぷりちぃなんだこれが(コミックレヴォリューションで出た「猫めぐり」カレンダーはとってもファンシーでおすすめ。ぷくぷくしたほっぺや伸びきらない四肢がたまりません。
 ストーリーは、はるかサイドとみちるサイドを交互に描いた連作。いまひとつ伸びきれない自分を持て余しているバイクレーサーのはるか。親を亡くし、大切な物を失いたくない故にうちに閉じこもるみちる。ふたりが出会うまでを感情ゆたかに描いています。
 次回は、「みちる×はるかのお初を!」とゆーことなので、皆さん期待しましょう(笑)。



1996年3月号

オトモダチ 発行/薄荷屋 A5版/48P
 1995年11月23日発行

 薄荷屋の篤見唯子さん個人誌。以前から女性キャラクターの可愛らしさには定評のある彼女ですが、セーラームーンでは絶好調。特にぷりちーな絵柄とは裏腹のギャグのパワフルぶりは特筆モノです。
お気に入りのカップリングは、ほたる×ちびうさで、当然ながら病弱根暗少女ほたるちゃんが怪演。激しい思いこみと病弱体質で、周りを巻き込んでいって笑わせてくれます。ちびうさも無頓着ゆえの行動の突飛さが楽しく、どちらのキャラクターもユニークに生き生きしています。
 残念ながら、えっちシーンはありませんが、口絵フルカラーの前をはだけたほたるちゃんの吸い込まれそうな蒼い瞳が印象的。成熟途上の少女だけがもつ魅力を、いやらしくなくしかしエロティックに描いています。


阿佐ヶ谷遊覧 B5版/50P
 1995年10月20日発行

 古くから、その個性的な絵柄と、不思議な世界観で、根強いファンをもっているあびゅうきょさん。最近は、「アフターヌーン」や「コンバット・コミック」などで活躍中です。同人誌は、昨年、学生時代の初期作品をまとめたのがはじめての本ということで、この本が二冊目ということになります。
ユニットを組んでいるのははまのにやさん。独特の太い描線と、白黒のコントラストで温かみあふれる絵を描かれる方。
 阿佐ヶ谷という東京の近郊をモチーフに、この街の様々な風景をイラストに切り取っています。中央線沿線のまちというのは、そもそも、古さと新しさ、賑やかさと静けさの奇妙な同居が何とも言えず居心地がよいのですが、おふたりの持ち味を生かした筆がそれを余すところなく伝えています。



1996年4月号

天使のいない夜 発行/Twin−Fizz A4版/28P
 1995年12月29日発行

 ここ最近は、「るろうに剣心」を中心に活動しています宮下未紀さん。その一方で「セーラームーン」や女性アイドル本(パードルや制服向上委員会)も出していて、男性ファンも要チェックなサークル。これが、お初の「エヴァンゲリオン」本です。
 メインのまんがは、レイ×シンジ(決してシンジ×レイではない。そこんとこ間違えないよーに)。シンジの気弱さとレイの無機質感がうまくミックスして、違和感なくえっちシーンが描かれているところはさすが女性作家さんです。小道具としての「天使の」羽根の使い方もおもしろく、暑い夏をイメージした白い画面効果にアクセントを与えています。白と言えば、その中で青を泳がした表紙も綺麗。綾波レイのイメージカラーをうまくアレンジしています。


天使失格 発行/BODY TALK B5版/28P
 1995年12月29日発行

 去年は、商業誌に、パソコンゲームの原画にと、お仕事で大活躍だった森永みるくさん。その分同人誌が出なくなってしまい、昔からのファンとしてはちょっと寂しい年でした。でも、「エヴァンゲリオン」は、「セーラームーン」以来のお気に入りということですので、今年は元気いっぱい森永印の同人誌がたくさん出ることをみんなで期待しましょう(笑)。
 まんがはシンジ×レイですが、誘うのはもちろんレイ。フリートークでの、レイもシンジも受けキャラなのでレズまんがになっちゃうというのは、けだし名言です。確かに、どちらのキャラも保護欲と征服欲を刺激する性格設定で、この辺もおたく視聴者への効果的な仕掛けとなっているわけです。
 ゲストはぷるこれもんさん。四コマ一発ギャグが爆笑。



1996年5月号

REVOLUTION 発行/ぷぷぺ堂 B5版/70P
 1995年12月29日発行

 ここ最近は「幽遊白書」を中心に活動してきたおときたたかおさん。その昔、「魔女の宅急便」で、可愛らしい本を作ってらしたことを覚えている男性ファンの方もいらっしゃるでしょう。今回は「エヴァンゲリオン」ということで、また彼女に注目が集まりそうです。
 パワフルな描線、ダイナミックな構図、躍動感と表情溢れるキャラクター。その一方での強烈なギャグセンス。いつもながらのおときたさんの持ち味は、この「エヴァンゲリオン」パロディでも遺憾なく発揮されてます。
 他に、楽しいのがいろんなイラスト。レイのブルマやアスカのSM女王様、リツコのカメリア・ダイアモンドなんて大ハマりという感じ。インターネットのホームページをアレンジした見開きのアイディアもなかなかです。


海から来た機械 発行/PIKAPIKA・月光盗賊 B5版/52P
 1996年2月12日発行

 冬コミケの「エヴァ」本は綾波レイがズコバコされるお約束のストーリーのオンパレードで、すっかり食傷してしまった人も多いと思います。そんなあなたにお勧めしたいのがこのタカハシマコさんと野火ノビタさんの合同誌。
 野火さんは、「幽遊白書」で骨太な長編を描く一方で、富樫義博についての切れ味鋭い評論をものし、さらにはオリジナルロリコンまんがも描いてしまうという多芸な方。吾妻ひでおが大好きというところも何ともユニーク。タカハシさんは、「幽白」の他にも「チャチャ」や「セラムン」で活躍の方。可愛らしいキャラとお話で描く、恋一歩手前のドキドキ感が素敵です。
 対談もおもしろくって、特にエヴァって何だろうという疑問に、「シンジのちんこ」、「レイのま●こ」って言い合うところがさすが。タダ者ではないっスこのふたり。



1996年6月号

極楽祭典 発行/Cheshire cat company A5版/124P
 1996年3月17日発行

 この同人誌ページジャックの中では常にイロモノに徹する秋山道夫さん。そのサービス、サービスなライター精神は、自分で作っている同人誌「極楽シリーズ」でも遺憾なく発揮されてるね。
 「うちは、ふつーの少年まんがのサークル」とは、秋山さんの言だけど、このシリーズのそこはかとないエロティズムとマニアックな本づくりは、秋山さんのふつーじゃない趣味丸だしだぁ。今回は今までのより抜きということで、うたたねひろゆき、鈴木雅久、蘭宮涼、後藤寿庵、下北沢鈴成、米村孝一郎、林家志弦などなど、豪華執筆メンバーが揃い踏み。これだけの面々を集めつつ、しかし、本としてのトータルコーディネイトを崩していないところはさすが。過去の表紙のノー・トリミングのイラストも収録して、マニアへの配慮も忘れないところも心憎いね。


COTERIE 発行/林檎堂 A5版/68P
 1996年2月11日発行

 まんだ林檎さんのオリジナルの同人誌「A−PRISM」シリーズでメインの作品である「COTERIE」の一話・二話を納めた総集編。今はプロとしても活躍の彼女ですが、3年前にはじめたこの作品は、彼女にとって生まれてはじめてのオリジナルまんがだそうです。
 主人公の祥太郎は高校生の男の子。文芸部の部誌に書いた詩が友達のお姉さんに気に入られ、彼女の同人誌に転載することになった。しかし、その本はお約束通りやおい本だった…というのがイントロダクション。主人公は「しょうたろう」という名前に恥じないキャラクターで可愛いですが、お姉さんもいい感じ。メガネと煙草が似合ってます。
 ちょっと生硬なところもあるのですが、それを補ってあまりある初々しさと意気込みに大いに魅力があります。



1996年7月号

人生変えちゃう箱かもね 発行:ナバール小唄 B5版/44P
 1996年3月31日発行 

 以前、猫本の「HIDEKI」を紹介しましたが、それ以外にも「キャプテン翼」や「ファイアーエンブレム」にと質の高い活動をしているへうがけんさんと里中守さん。今回紹介する本はゲストを多数招いてのよろずゲーム本です。取り上げられてるゲームは「風来のシレン」「プリンセスメーカー」、「オウガバトル」、「スーパーマリオRPG」、「ウィザードリィ」などなど。基本的にはリプレイマンガなのですが、えみこ山、くりこ姫、松平徹、甘夏三太郎というゲスト陣も含めて、参加者全員が芸達者なので、これがムチャクチャ楽しい。オリジナルのゲームの面白さを活かしながら、鋭いつっこみをガンガン入れて笑える笑える。さすが関西系のお笑いの血が騒ぐ、といったところでしょうか(おいおい、そういうオチでいいのか、と自分につっこむ私)。


Virtual Fantasy 発行:AB−TYPE A4版/42P
 1996年3月31日発行

 古くはトルーパー、最近では幽遊白書などで活躍している遠野麻樹さんの「エヴァ」個人誌。いやあ、最近は女性系の「エヴァ」本がたくさんあって楽しいッス、わし。あの自己啓発セミナー最終回にメゲてしまって、エヴァ本を出すのをやめてしまった人も多いようですが、同人誌は基本的には良かった探しです。楽しんで本を作りましょうね。それにしても、なんと言い訳しようと庵野監督は罪作りな人ですね。言いたいことはわからんでもないけど、他人にわかってもらおうと思ったら、あんなやり方はないなぁ。
 まんがは、長めのが2本。一つは、きもだめしネタのお笑い。アスカのノリや綾波のボケぶりが楽しいですね。もう一つは、綾波のモノローグ。原作の台詞をうまく使ってます。特筆すべきは、レイの服の質感。女性ならではの微妙な色気がいい感じを出しています。



1996年8月号

ANGEL 発行/ピリカ B5版/24P
 1996年5月3日発行

 Sparkle Orbitというサークル名でオリジナルでは古くから活動しているきむるさん。白泉社などの商業誌で、にしざわみゆきさんとして活躍していらっしゃることをごぞんじの方も多いかもしれません。最近は、ピリカというサークル名で、精力的にエヴァンゲリオン、セーラームーン、ガンダムWなどのアニパロ本を出されています。
 この本は赤ずきんチャチャパロ本の4冊目。チャチャたち3人が、みんなの願い事をかなえようとするストーリー。ロリロリ、ショタショタなキャラクタの魅力とハートウォーミングな物語がうまくマッチしています。
 本放送が終わってずいぶん経つので、最近はすっかり数も少なくなってしまったチャチャ本ですが、これからもしばらくは楽しい同人誌を作ってほしいと思います。


習慣エヴァシャンプー 発行/90分15,000円 B5版/44P
 1996年4月28日発行

 ギャグ作家というと、プロでもなかなかテンションを維持できないハードな仕事ですが、この本の作者、宇奈無英雄さんのバイタリティはすごい。一連のコミケット&同人誌ネタの「ブロック長・島耕作」シリーズは、里透みどりさんの「ベルサイユの即売会」シリーズとともに、肥大する同人誌界を鮮やかな切り口で描いた怪作として、大いに我々を楽しませてくれました。
 その宇奈無さんが最近目をつけているのは、当然に「エヴァンゲリオン」のブーム。同人誌界での超過熱ぶりを「るろうに剣心」、「スラムダンク」、「こち亀」といったまんがのパロディを通して笑いのめしてくれます。絵柄だけでなく、このキャラクタならxxしそう、と思わせるところがうまいです。



1996年9月号

APOCRYPHA 発行/血祭屋本舗 B5版/92P
 1996年4月28日発行

 以前から厚めで読ませる本作りで、男性系では底固い人気を得ている血祭屋本舗さんの「エヴァンゲリオン」本。
 メインのまんがは朝凪葵さんの長編「開かない扉」の第2話。シンジ、レイ、ミサトの内面を、原作の味を生かしつつ落ち着いた筆致で、丁寧かつ繊細に、そしてエロティックに描いています。人と人とが気持ちを通じ合わせられず、すれ違ってしまう情景を、カットを積み重ねていく演出が見事。性的な描写の説得力を高めて効果的です。
 このサークルの代表の方は、海賊版同人誌(よいこの読者は絶対買わないように!)の被害にあったサークルさんたちのまとめ役でもあります。時間の流れるのが早いこの世界で、今でも熱心に啓蒙活動を行なって、がんばっている姿勢には、本当に頭が下がる思いです。


放課後綾波倶楽部 発行/旅館はなむら+豺狼出版 B5版/86P
 1996年4月28日発行

 旅館はなむらと豺狼出版というここ最近上り調子のサークルによる「エヴァンゲリオン」合同誌。本とポスターがセットになってます。今回お見せできないのが残念ですがこれの出来がいい! 即売会の会場から汚さずに持ってかえるのにえらく難儀してしまいました。
 本は、タイトルの通り綾波レイ中心。黒犬獣さんのロリロリなレイ、橘祐樹さんのダッチワイフなレイ、ばうばうさんの小悪魔なレイ、穂積貴志さんのシャープなレイ、J・さいろーさんのぷにぷになレイと、それぞれの個性に合ったレイが描かれています。
 特に、J・さいろーさんのタイトル作は秀逸。レイがゲンドウの眼鏡にこだわるのを、よもやそんな風にギャグにしてしまうとは思いもつかない飛ばしぶり。それでいてほのぼのさを失っていないところに持ち味をフルに発揮しています。



1996年10月号

SURVIVAL GAME 発行/もぐらんど,提供こくそ虫,ラスカル軍団,NAIL CUT CLUB B5版/52P
 1996年6月30日発行

 昔気質のガンダムファンにとっては、最近のTVシリーズの名前だけのガンダムにはやっぱり違和感がありますよね。ガンダムと思わなければ楽しめはするんですけど。その一方で、一応元々の世界観を引き継いでいるのがオリジナルビデオ。「0083」はよく出来てましたし、現シリーズの「第08MS小隊」も続きが楽しみです。
 で、同人誌ですが、OVAガンダムのパロディ本って意外なほどにに少ないんですよね。今回ご紹介するのはそんな中での貴重な一冊。滝沢のぼる(ラスカル軍団)、秋野あきら(もぐらんど)、八田カズロヲ(提供こくそ虫)、K.A.R(NAIL CUT CLUB)という脂の乗った描き手による合同誌です。ギャグ系のショーとストーリーが中心ですが、このあたりのメンバーがノッて本を作っていると、まぁハズレは絶対にないですね。


オメデトウ 発行/GROUP PINKODACHI B5版/44P
 1996年4月28日発行

 SYSTEM GZZYの影夢優さんとY's Companyの荒木瑛さんのユニットGROUP PINKODACHI(しかし、なんちゅー名前なんざんしょ。)の初めての本がこのエヴァンゲリオン本になります。芸達者な人たちのギャグからシリアスまで取り混ぜての面白い作品がとりそろっています。
 影夢優さんも荒木瑛さんも、ご自分本来の持ち味と「エヴァンゲリオン」ネタをうまくミックスしていてさすが。本全体としての詰めは少し甘いかなという感もありますが、放映終了後の勢いがそれを補完して余りある、という感じでしょうか。
 ゲスト陣の中で絶好調なのは、やまのべきったさん。ショートストーリーで絶妙の一発ギャグをかますかと思えば、少々陰惨なアスカの陵辱話までと縦横無尽の大活躍です。



1996年11月号

3rd MILLENNIUM 発行/おきらく堂 B5版/140P
 1996年8月3日発行

 一言でいえば、超豪華なメンバーをそろえた「エヴァンゲリオン」本。
 まんが&イラストは、園田健一、ことぶきつかさ、野火ノビタ、岡昌平、キャプテンキーゼル、こいでたく、希有馬、沖縄体液軍人会、砂倉そーいち、ものぐさうるふ、タカハシマコ、富士屋好子、やまのべきった、乾海苔などなどといった面々。評論&エッセイも、あさりよしとお、藤田和日郎(!)、野火ノビタ、大西通博、柏木喜之と論客を揃えています。
 おすすめは、藤田和日郎さんのエッセイ。優れた描き手が語ると説得力が圧倒的。あさりよしとおさんの「エヴァは普通の作品である。アニメファンが馬鹿になっただけだ。」という言い方も手厳しいが正論。希有馬さんのマリア信仰とエヴァの語り口も鮮やか。
 全体としてのまとまりには欠けますが、面白い本にはなっています。


PINK ROSE 発行/PINK ROSE B5版/64P
 1996年8月4日発行

 主人公少年キャラが全員女の子という、オキテ破りのガンダムWのエッチ本。高橋庚子さんと、猫屋まあぶるさんの合同誌です。高橋庚子さんは、女の子系アニパロでは、別ペンネームで名の知れた人ですが、たまーに、こういうイっちゃった遊びをする人だったりします。
 女の子の作るエッチ本ってどうしても照れがあったりするのですが、どうしてどうしてエッチもギャグも絶好調。「殿方の夜のおかず君スペシャル」を目指したというだけのことはあります(笑)。やはり、セラムンブームなんかのはるか昔から、美少女系大手サークルの長蛇の列に並んでいたという経歴はダテじゃない!? 変にやおいや、いかにもな原作にしがみついておかしくなってる女の子系を軽やかに離れて、自分のやりたいことを楽しくやってる、というのが本からあふれています。



1996年12月号

妹SISTER 発行/ジ○トピア B5版/50P
 1996年8月3日発行

先月号で秋山道夫師匠もゆーとりましたが、アニパロではなくオリジナルであることという意味は、パロディ全盛の現状の美少女同人誌界の中で見直されてしかるべきかもしれません。同人誌の価値の一つは商業誌ではできない表現を追求していくことであることに疑いはないでしょう。しかし、山のようなB5版三百円本の描き手として、多くの同人誌作家がプロ化していく中で、商業誌ではできないことがパロディだ、という形になりつつあるのは、あまりに寂しいような気がします。
 その中で取り上げたいのがこの1冊。やまと正臣さんのオリジナル個人誌です。いとこ同士と思っていたふたり。実は腹違いの兄妹であることを知らされるが、それでもふたりが好き合って結ばれるまでを丁寧に描いています。やまとさんの特徴でもある優しげな眼差しがなんとも魅力的です。


HI-SIDE Ver.3 発行/男屋(GUY-YA) B5版/74P
 1996年8月3日発行

 すっきりとした絵柄が印象的な山田秋太郎さんと、強力なパワーを誇る平野耕太さんという、好対照の描き手がユニットを組んでいる男屋。新旧交代が進む美少女系サークルの中でも、最近赤丸上昇中のサークルの一つです。先日創刊された「コミックGUM」では、平野さんが「銀と金」ばりの異色な同人誌界ネタのまんがを描いていて、これが大受けでした。
 この本は「エスカフローネ」を中心としたアニパロ本。平野さんの作品は、アクの強いキャラがノリノリのハイテンションをぶちかましつつ、オチの抜き加減の強引さも笑えます。山田さんの作品は、キャラクターの微妙な表情が巧み。媚びる、誘う、恥じらう、という振る舞いの中に確かなエロティシズムを感じることができます。
 ゲストに、きくちせーじ、刻田門太、谷武士。


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