入院日記

岩田さんが入院生活を綴る日記です(2003年11月その1)。

11月1日(土):入院13日目

 5時半起床、病室は空調が効いているのだけど、これが高めで暑いくらい、上に掛けるのは毛布一枚なんだけれど暑くて寝汗をかいて仕方ない、今日も洗濯しよう。朝食後にシャワーを浴びて全て洗濯や乾燥を行う。後は読書とメール作業、徐々に心配のメールが来始める、定型フォームを作って返事を容易にしておこうかな。昼食後にふと爪を見るとステロイド剤の副作用だと思うが、白く変色したり割れている。気をつけて保水しておかないと。
 13時に母と親戚の親しい叔母さんがお見えに。誠に申し訳なし。叔母さんには背中を痛めて検査中とのみ伝える。今は休養と言って信用されるのが、ありがたい。母に病棟引越しを伝える、手伝いと言うか病室の確認かな。ついでにジャージーを持ってきてもらうように頼む、来週からは少しはリハビリも始めないと。筋力が滅茶苦茶に落ちているからね。14時半お二人でお帰りに。15時B君お見えに、雑談あれこれ。書庫撤収について相談、来年1月にプロジェクトで組むしか無いかな。16時看護婦さんに体重計を持ってきて貰う。十日間、間食をし、食事も2400Kcal/日にしてもらったのはこの時の為だ。私 は身長178cm、体重57kgが通常なんで、これをできれば65kg程度まで増やしたかったのだ。治療が始まれば体力必須だからね。先月が56kgだったので、何キロか楽しみ。その結果→56kg…、全く変わらないじゃん。やはり足の筋肉が落ちているので、腹を太らせても意味無いか(笑)。まぁ体操やトレーニングしないと駄目かな。
 16時半に三崎尚人君お見えに、雑談と私の病気の公開のスケジュールに関して相談。これでとりあえず進行させよう、17時三崎君お帰りに。夕食後、告知用の第一次案を三崎君にメール、チェックをお願いする。夜にMO君に電話して、書庫撤去について、新規に必要になるトランクルームの費用などを聞く、1万5千円程度だったらOKかな、22時就寝。

11月2日(日):入院14日目

 5時半起床、寝汗が本当に多い、今日もシャワーと洗濯必至。朝食を済ませた後ですぐにシャワー。これからは午前中はこうした雑事をこなすようにしよう。もちろん、検査や治療が無い時間帯が前提だが。
今日から「入院日記」の入力を行おう、準備あれこれで昼食後に入力開始、何故か集中できて夕方までに10/26分の日記まで入力完了、夕食後に10/28分の日記まで入力完了、後は明日だ。
 19時半に看護婦さんが見えて、11/4に検査が入った旨のお話が。骨シンチレーション検査、骨組織への転移が無いかの確認だと思う。午前中に造影剤注射を行い、午後にRIを行うようだ。看護婦さんにタオルケットを持ってきてもらう、寝汗対策(笑)。今日は休みながら入力したのに一気に捗った、考えてみれば入院後初めてお見舞いの方が来ていなかったのだ、そりゃ捗るね。しかし入力に集中したので、日記に書くことが無いと言う面もあるかな。21時就寝。

11月3日(月):入院15日目

 5時半起床、タオルケットの有難さで寝汗は減少、しかし明日の引越しに備えて今日もシャワーと洗濯をする。昨日は入力を連続して行ったので、少し疲れたようでよく眠れた、ただ夜中にトイレに行くと、その後は中々寝付けないのは困るな。まぁ熟睡感もあるので気にしても仕方ない。眠くなったら寝ればよいし、昼寝だってできる、そんなに肩肘張って眠らなくては、というのも変な話だしね。RTさんからメール、対応が難しい。朝食後にトイレに行く、尾篭な話だがオナラがやたらと多い、運動していないのとやや食べ過ぎが原因なんだろう。あと、オナラは病室でするわけには迷惑で拙いので、トイレに通うことになる。世間的には休日で、今日は検査も無いので午前中は洗濯に精を出す。
 昼食後、母と姉が見舞いに来る、報告あれこれ、でも特に頼まなくてはならないものも無いので、早めに帰ってもらう。治療が始まれば足のリハビリも必要になるので、ジャージーを持ってきてもらうように頼む。パジャマじゃカッコ悪いし(笑)。病室ではパジャマ姿で、病室から出るときにはガウンを掛けて出るようにしている。何か暖炉の前に座っているのが似合うような(笑)。午後は入力が捗り、11/2分の日記まで入力完了。15時NS君お見えに、J-GARDENの戦利品多数(笑)、うれしいなぁ。本当に有難いことだ、ゆっくり読むことにしよう。NS君と雑談あれこれ。入院の連絡をしなくてはならない人が増えていくばかり。16時にNS君お帰りに。17時半TY君、KS君お見えに、TY君曰く「いやー入院して2週間ともなるとガツンとしたものが食べたいでしょ、食事制限も無いので差し入れ持ってきましたよ」で、来たのがマックのチーズバーガー(笑)。いや、食べたけれどね、確かにガツンと来るものでありました。病院食は薄味で塩分や脂肪分が少なめなんで、マックのようなこってり味は新鮮、でももう止めてちょうだい(笑)。
 夕食後、汗をかくので困る、室温設定が24℃というのも効いているが、私の体温調節が上手くいっていない感じ、家では冷暖房なんてしなかったから夜にこうキツクなる感じ。20時にベッドに入り「電波猿」の新刊を読む、以前読んだコピー誌などの再録が過半だが、まとめて読めるのはとても嬉しい。21時就寝。
 寝ながらメールを頂いたRTさんへの対応に悩む、どっちみち判るのなら来て貰ってから説明した方が良いか。悩んでも仕方ないので眠る。

11月4日(火):入院16日目

 5時起床、トイレは夜中に2回。
 寝汗対策で、朝早めにシャワーを浴び、全て着替える、夜は時間を空けてデイルームで身体を少し冷ましてから部屋に戻るようにしよう。5時からデイルームで「蔵王組」の落書読本再録を読む、うーん、ボリュームがあるが既読部分も多いので、2時間ほどで読み終わる、実に満足。引越しに備えて全て洗濯し片付ける。朝食後に看護婦さんから10時引越しが告げられる、荷物を全部まとめて、同室の方々に挨拶後移動開始、呼吸器内科病棟の病室に移る。ここで最低でも2ヶ月近くを過ごすことになりそうだ。
 今度の部屋は元6人部屋を4人部屋に使用しているので、隣のベッドとの間が実質2m以上開いている。おお、荷物積み放題だ(やってはいけません)。ベッドサイドデスクとかをずりずり押して領土拡張を図る(笑)。
 10時半慌しく骨シンチレーション検査でRI室に、RI撮影用に放射性物質の注射、金属製の注射器が新鮮、「ヨード化合物ですか?」と聞いたら「今はこのテクネです」「テクネチウムTc?」「そうテクネチウム99です、このほうが扱いやすいし普通です」おお進歩だ。2時間後の13時にRI撮るので再度来るようにお知らせ。昼食待ちで楽しみにしていたら、H先生お見え、説明を行いたいとのことで急ぎナースルームへ、H先生の説明。
 「先週の気管支鏡検査で一番病変が明らかだった左肺の組織は異常無し、炎症状態ではあるが、今の時点ではガンでは無い(将来はわからないが…笑)。従って組織検査は外れ(笑)。そこで今度は4ヶ所あることが判明している右肺から組織を採取することにしたい」結論、気管支鏡検査のおかわり(笑)。
 で、早く結果を出したい(治療を始めたい)ので、今日14時から検査を行うとのこと。ひゃー、RIの後は気管支鏡検査だ、昼食は無し、打撃を受ける。検査よりも食事に打撃を受ける私であります。13時に一人でRI室に、CTやMRIに似ているけれど、全く無音で静かに機器が動くと眠くなってくる。一旦終わったかと思ったら、撮影装置が斜めになってまた撮影、そうか胸椎が曲がっているからだね。終わったときに検査技師の方に聞いたらやはり重なってしまう部分があるので斜めで撮りましたとのことでした。13時40分に戻るともうストレッチャが来て検査室へ、ちょうど母も引越しで来たので病室に待って貰うようにする。
 検査は前回と全く同じ、今回は念を入れて採取したみたい。麻酔中でも先生方の声が聞こえるので、面白い。針とかは判るんですがブラシって何ですか(笑)。気管支鏡のチューブからコップブラシのようなものが出るのかと思っていました。擦り取るのに使うのかな。16時終了、病室に戻って抗生物質の点滴、点滴中は病人みたい(病人そのものなんですが)なんであまりお見せしないようにしているのだが、16時20分のCOMITIAの中村君お見えに。この検査は予想していなかったから仕方ないよね。本を差し入れて頂いて申し訳無し。17時に点滴も終わり、ホッとする、中村君、母もお帰りに。18時呼吸器内科病棟デイルームで食事、整形外科は車椅子患者が多かったからデイルームも広かったのだが、呼吸器内科は車椅子は私ともう一人の患者しかいないし、その患者の方は安静状態のようでベッドで食事をしている。つまり呼吸器内科で車椅子で食事するのは私一人。そこでデイルームの脇に車椅子を置き、手摺を伝ってデイルームのテーブルに移るようにした、これで楽になるな。車椅子用のトイレは一つしか無いので不安だったが、利用者が二人しか居ないので、これが私の占有状態(笑)、逆に環境は良いのかも。夕食後メールチェックしてMO君にメール、コミケットのスタッフ関係で迷惑をかけてしまうなぁ。その後、中村君に差し入れてもらった「信長5巻」を読む、ああ良いよ、「信長」がこれから毎月読めるとは幸せだ。20時半TK君に電話して状況説明すると共に、自宅のThink-Padを持ってきて貰う事にする。「岩田読書会」の案内メールアドレスはこのマシンにしか入っていないのよ。21時就寝。

11月5日(水):入院17日目

 5時半起床、昨日の検査の影響かちょっと喉の奥に違和感、水分を取ると消えたが。昨日の検査でもほとんど出血がないと言われて、ちょっと嬉しい(何故)。前日に看護婦さんにお願いして、毎朝6時頃からシャワーを浴びさせて頂くようにお願いする。本来なら浴室は10時から利用可能なのだが、許可していただく、本当に嬉しい。6時10分から浴びたが気持ちが良い、シャワーの温度設定も高めにできるので最高の気分。そのまま洗濯も行って言うことなし。気分は良いのだが朝食までの時間が結構慌しい、無理はしないようにしよう。朝食後、9時半にH先生お見えに、とりあえず結果を待ちましょうとのこと。午前中はハイランドの「ハチ丸」同人誌再録本を読む、上手いのは当然だけど、絵の凄さに大半は目が行くが、間と構図が鍵のような気がする。それにしてもキャラクターの会話の上手さはいいなぁ。
 呼吸器内科に転科すると、患者がガラリと変わる、こちらは男性が圧倒的、7割は男性じゃないかな、整形外科は逆の比率だったけれど。同室の私を含めた4人は肺ガン仲間(笑)、病気の状況について話が盛り上がる(みんな告知済みだし)。家族を持った人は大変だ、毎日お見舞いで奥様と高校生ぐらいのお子さんが来る患者さん、欠かさず奥様が来ている患者さん、私なんかとは比べ物にならない。昼前に看護婦長さんがお見えになり、諸注意。特にコンピュータはキーボードの音が響くのでキーボードを使うのはデイルームで、と言われる。当然のことなので指示に従うことにする。デイルームのほうが気が紛れるし、姿勢もよくなる。昼食後ベッドで休んでいたら、看護婦さんがお見えに、明日は採血とレントゲンがあると告げられる、検査はまだまだ続くね。
 何か欲しいと思ったら、ウチワが欲しかったんだ、でも家にあるのは趣味が全く合わない家族のウチワと、人にはお見せできない私のウチワ(笑)しか無い、どうするかな。  15時半に頼んでいた診断書を看護婦さんがお持ちになり一安心。16時にTK君がお見えになり、自宅からThink-Padを持ってきてくれる、嬉しいな。作業用にマウスも買ってきて貰って一安心。TK君にコピーとか買い物を頼む、この病院にある売店の最大の不備はコピー機が無いことか?
 17時にTK君が戻ってきてくれたので、用意した封筒に診断書や共済申請書、休職申請書などを突っ込んでTK君に送るように頼む。17時20分TK君お帰りに、本当に申し訳なし。明日はメールアドレスの抜き出し作業を行わねば。夕食後、何人かの方に電話で雑談。21時就寝。

11月6日(木):入院18日目

 5時起床、トイレに行くことで目が覚めると何か半分眠ったような状態になるので、不思議な気分。トータルでは睡眠時間は6時間前後確保されているので良いのだが。実際に眠気も疲労感も全く無い。デイルームでメールチェックしていたら看護婦さんが食事前にと採血。朝食後、柿とリンゴを剥いて食べる。9時H先生回診、すぐにレントゲンを撮りに行くように指示、胸部を1枚撮って今日の検査はおしまい。10時半から自宅から持ってきたThink-Padのメールアドレス抜き。ところが、自宅にあったThink-Padは外部出力がFDのみで、CD付きだが古いのでCD−Rに記録することもできない、KS君から借りた方は新しくてDVDもCD−Rも使えるのだが、これでは逆方向で意味が無い、考えた結果100名ほどなので、手書きし、それを再入力することにする。時間は山のようにあるから良いか。11時半に抜き出し終了、これで家から持ってきたThink-Padはとりあえずはお役ご免。
 昼食後、今度は借りたThink-Padにテキストでメールアドレスリストを入力。今はweb-mailで使っているので、この方がやりやすい。14時終了、「岩田読書会中止」のメールを出す。直後に看護婦長さんが事務の方二人と見える、何事かと思ったら依頼していた不在者投票。面倒だけどちゃんとやるのが大事。私は過去一度も棄権したことが無い。
 14時半に病院の玄関に出て携帯の留守電チェック、出向元のSさんから連絡、直ちに現在の状況を報告する。そのまま玄関入口脇の喫茶コーナーでコーヒーにドーナツ、勤務で南浦和に通っていた頃のミスタードーナツを思い出す、喫茶コーナーのドーナツは美味しくない、シュガークルーラーが食べたくなるな。15時に母来る、もう用事無いのに来過ぎ、心配なのは判るが私よりも父の方が心配だ。あまり来なくて良いと重ねて言う。夕食後に何か胃に膨満感がある、少し食べ過ぎかも。夕食後にはあまり食べないようにしよう。
 19時からメールを出さなくてはならない人のリストアップ、webから探したり、過去のメールを検索したり、でももう全員は無理かも知れないな。MHさんに電話、ショックを受けやすいので、慎重に対応を図ったが、いつものように、元気に笑いながら話すと何とかなったようだ。22時半就寝。

11月7日(金):入院19日目

 4時半起床、ちょっと早すぎ。デイルームでwebのチェックを行いながらあれこれ考える。昨日のMHさんだけじゃ無いけれど、私がどう対応し、どう話し、どのような雰囲気かが鍵なのであって、それが一番大切なことだと気が付いた。みなさんへの連絡メールも直そう。そうだCOさんにも今日電話とメールを出しておこう。5時にトイレに行きそのままシャワーと洗濯、気分誠に良し。朝食後トイレに、少し我慢していたら危険な状態に、トイレに車椅子で走り込み座ってギリギリセーフ。もう十秒遅ければプライドを無くすところ(笑)。両足の麻痺状態は緩和されているが力は入らない、実は下腹部(トイレ関係…笑)も同様で感覚はあるし自由にはなるのだが、力が弱くなっているので我慢力が足りないのだ、我慢禁止(笑)。あと注意しないと下腹部の力がやや弱いのでオナラが出やすい、トイレに行って出すようにしているのだが、これもちゃんと注意しておこう。CTさんからメール、お仕事終わったのでお見舞いに来たいとのこと、大歓迎、嬉しいな。午前中はメールのチェックとあれこれ処理。
 昼食後、メールアドレス収集、知人にも色々とメール関係を頼む。B君に明日来たときに買ってきて欲しいものと外出の車椅子押しを頼む。
 15時半にCTさんお見えに、お花を頂く。17時半まで状況報告や雑談色々。お仕事で大変なのに元気そう。話をしてもしっかりしているのには嬉しい。CTさんと話すのは本当に楽しい。いつも通りの会話ができたし(場所が病院だというのを除けば…笑)。夕食後、COさんに電話して状況報告、実にしっかりした対応で一安心。こちらが心配をし過ぎたのかも知れない、報告のメールをCOさんに出しておく。夜に良く寝れないのでメールチェック、COさんからの返信メールが来ていて、これが嬉しくてしかたが無い。私がやってきたことを、これほど見ていてくれたとは。私ももっと自信を持ち、治療にチャレンジして楽しまなくては。23時就寝。

11月8日(土):入院20日目

 5時起床、そのまま起きてシャワー、洗濯は6時から。きのうCTさんからお花をお見舞いで頂いたので、やはりキャスター付き台を誰かに頼もう。
 6時から勤務先にメール、これは本当なら毎週出さなくてはならないこと、申し訳なし。夕方ATMの作業があってB君に介添えをお願いしていたので外出許可書の申請を出しておく。今日は入力にあてる予定なので9時半から10時半まで入力続行、11/5分の日記まで入力完了。病室に戻る時に試しに身長と体重を計ってみる。体重は自分でできるので、計ってみると57kgで全く変わりなし、困ったものだ。身長は看護婦さんに数値を読み取って貰う「えーと、172.5cmですね」仰天する、私は今まで30年以上178cmで変わらないのに、なんと5cmも縮むとは、胸椎の障害はそんなに重いのか!「ごめんなさーい、読み間違えました、177.5cmです」、膝に力が入りにくいので少し曲げて計っているので、実質今までと変り無し、でも驚いたよ(笑)。
 昼食後に11/7分の日記まで入力完了。14時にジャージーに着替え外出準備完了、ところが直後に担当のH先生から、話があるので少し待っていて欲しいと言われる。14版半にB君お見えに、雑談、お待たせして申し訳なし。H先生は治療やら対応やらで飛び回り、中々お見えにならない。これは仕方無いね。15時40分、H先生からの連絡でナースステーションで面談。要するに今週行った2回目の気管支鏡組織検査の結果報告でした。これが何とまたも病変部組織に異常なし、もうどうなっているのかしらん、私の身体はよほどヒネクレているみたい(笑)。気管支鏡が届く肺上部の病変部は、もうどれも組織は炎症ばかりで異常無しなんで、これ以上気管支鏡検査の意味が無い。私は気管支鏡検査全然辛くないので、何度やっても良いけれど、取れないのならしょうがないよね。そこでH先生の提案は以下のとおり。

1.肺を一部切開して基底部にある病変部の組織を採取するか、やはり穴をあけて胸腔鏡(内視鏡の一種ですね)で病変部の組織を取りたい
2.胸椎部分から採取できないか確認してみる
3.他に疑わしい部分が無いか念のため確認する(検査の残りは大腸のみなので検便を取る)

 3.は月曜日に実施するが、1.の了解が欲しいとのこと。
 私は即時で「どうぞ、どうぞ、検査に必要なのは当然なので、ばっさりやってください」とお答えする。だって当然じゃないですか。治療には正確な検査が必要で、その為に必要なら受けるのが当たり前の話だもの。リスクを考えても、得られるメリットのほうが比較にならないほど高いし。即答したのは、全身麻酔の手術と言われても、実際に治療で外科手術があれば、もっとハードでハイリスクなんだから(笑)。
 H先生は2週間かかっていまだに組織生理分析ができず、こうした検査を行うことについて謝られたが、これはH先生の責任では全く無い、実際に気管支鏡の映像を見せてもらっても、私が見たって変な色と形だよなぁ、と思えたのだから(素人見ですが)。そう、きっと私の身体がヒネクレているせいだね(笑)。
 しかし、疑われる組織は肺の下部の2個所と取りにくい上部の一箇所のみのみ(胸椎にはちゃんとありますが採取するのはどうかな…笑)。多発性肺腫瘍と思われる病変部も数が減ってきた。もちろん下部の病変部はまず腫瘍に間違いないとのことだが、ここは気管支鏡が届かないし血管が邪魔をしているとのことで、肺腔鏡か、直接切開で組織を取るしか無いとの判断。11/11に家族含めて術式の説明が外科の先生を含めて行い、その週のうちに実施したいとのこと、私には全く異存なし。

 それにしても人生塞翁が馬と言う諺がこれほどピッタリな事例も面白い。運が良いのか悪いのか(笑)。
・歩けなくなった障害が出たのは運が悪い
・しかし、それで自覚症状が無かった原発の肺腫瘍が見付かったのは運が良い
・腫瘍のターゲットが少し減ったのは運が良い
・腫瘍の組織が不明では運が悪い
・各種検査で比較する限り、転移が他に今のところ見つからないのは運が良い
・治療が始まらないのは運が悪い

 15時40分に説明が終わったので病室に戻ると母が居たので、後で説明すると伝えてB君と外出に(待たせていて悪いもの)。と言っても近所のローソンに行ってATMの処理をするだけ。しかしここでも予想外の出来事が。まぁ、「りそな銀行」と「埼玉りそな銀行」はシステムまで違うのね(苦笑)。一番行いたかった振込みはできず、B君に月曜日に頼むことにする、申し訳ないな。
 16時半に戻るとCOMITIAの中村君と玄関で遭遇、「本を持ってきました」「ありがとう、紙袋でいくつ」「いやゆうパックで4箱」「……」そんなに頼んだのか私は(笑)。中村君は多忙でそのまま玄関で別れ、B君と病室に。確かに4箱ありました(笑)。ベッド周りのセットを行い一段落、母に概要を説明し、11/11に来て貰うように話する。17時母とB君がお帰り。B君には本の買い物も頼んだりして本当に申し訳なし。入れ替わりにYI君とNH君がお見えに、YI君には例のキャスター付き台を頼んでいたので。即組み立て、部品不足や棚板サイズ違いが発覚(笑)、でも使えるからOKね。YI君は少し悔しそうで、また今度来た時に交換すると言っていただける。これでベッド周りは片付くので助かるのだ。18時YI君、NH君お帰り、私は夕食。夕食後に整理片付け、結構忙しい。明日はベッドサイドの片側を楽に空けられるようにしておこう、全身麻酔だとストレッチャで病室に戻ってくるときに大変だからね。21就寝。

11月9日(日):入院21日目

 5時起床、トイレに行った後でシャワーを浴びておく、胸腔鏡検査に備えて、スケジュールを考えておこう。特にシャワーと洗髪関係。洗髪は洗面台で可能だろう、下半身シャワーはOKのようだから、上半身は拭いてもらう形で良いかと思う、私は手術よりシャワーが重要なのか(笑)。あと、手術日によってはお見舞いのスケジュールも多少変わるかな。ゴミ捨てとか片付けを終わらせ、売店へ。驚いたのは六十歳ほどの患者の男が、売店の新聞スタンドで立ち読みしている、入り口なので車椅子では通れないので待っていると、次々と新聞を堂々と立ち読みしていく。読み終わる度に新聞スタンドに乱雑に突っ込んでいくのに仰天。5分ほど待っても止めないので声をかけて退いてもらう。不満そうな顔をして何も買わずに帰っていくのにも笑える。情けない姿だねぇ、そんなに数百円が惜しいのか。各階のナースセンターには新聞は2誌程度置いてあるので、それでも読みなさい(笑)。どうもこの年代の元会社員(現?)のオヤジは自分の常識(実は非常識)を振りかざすのかなぁ。そう言えば定年後5年経ったとか言う隣の病室に居るオヤジの患者も、「いやー定年して5年もすると面会は無くなるよ」と愚痴を言う、そりゃ会社以外に人間関係作っていなかったからじゃ無いのかな。今まで会社の世界に安住して、あたかも擬似家族の家長のような居心地の良さに慣れた男性は、いきなり入院でそんなところから切り離されて途方に暮れているという感じがありありと見える。女性の方が家庭とは別の地域の社会があるのか、まだ良いと思う。それに入院中に何か病棟仲間も作っている方も多いし(笑)。
 朝食後ベッド周りの整理、ストレッチャを入れやすくしておかないと。11時半に片付け終了、昼食後はゴミ捨て後は恒例の日課。午後はメールの整理、20名ほどは判らないので、これは逆に送ってくれるのを待つか。15時に処理終わると、看護婦さんが来て明日の検査内容を伝えてくれる。採血、検便、レントゲンの3点セット、検便容器を受け取る。その後は11/8分の日記入力を済ませる、16時半に入力完了。夕食後、あれこれ片付け、19時半にデイルームでメールチェックでもするかと思ったら、ナースセンターの真ん前にある個室前に看護婦さんお二人と患者の家族らしい人が立っている、察して廊下の5m前で車椅子を止めて静かに待つ。病室内からシーツで覆われた輸送キャリアーが出てきてスーツ姿の人が押しエレベーターに向かう。数日前からこの個室病室はいつもドアが閉まったままだったので、絶対安静の方かな、と思っていたが、実に厳粛な気分。私にとっては他人事では無いのだよ、あの方と私を隔てる何かは、少なくとも健康な方より狭いのだから。
 21時に消灯だがベッドで選挙速報を見る、選挙結果は興味深いが、選挙速報が愚劣なほど面白くない。必要なのは、どの選挙区で、どのような開票か、当落予測や議席予測はどうなのかだけで、幹事長とか万歳劇なんか不要。それは最後の結果でインタビューすれば良い。急いで結論出さなきゃならないことは無いんだから。
 結局、今回の選挙では「その公約やマニュフェストを実行できるか」が問われてしまって、実行できないことが明らかな「小党」は除外されたと見たほうが良い。これから小党は意味を失うだろう。私たちができることは、実行できる力を持つ政党に意思を反映させることしか無いのだろう。社民を例にすれば、「護憲」のみの主張では政党として消滅してしまうということ、「護憲」とは憲法の何を護り、それをどのように実現させるのか、という具体策を実現可能なように展開することが必須。「憲法は一箇所も変えさせない」という主張は立派なものだが、変えて良いという自民党や民主党にどう対峙するのか。共産も理解される時間が足りないのでは無く、実行力が無いと判断されたと見るべきだろう。実際に実行可能な地方議会ではある程度の議席を占めてはいるのだから。時間が足りないと言うのはいつも言う言い訳だ。では何日、何月、何年あれば良いのか。また、小選挙区制という制度の問題にしてはいけない、実際の比例代表の得票数パーセンテージでは共産も社民も3%程度で、この方向はさらに進む。もう両党はこのままでは共産は地域政党(地元密着)に、社民は消滅するだろう(民主党ができたときに社民は無くなる運命だったような気がする)。保守新党はもう消滅したしね。報道内容がつまらないのでTVを消して22時就寝。

11月10(月):入院22日目

 4時半起床、今週も検査が多い、今日は採血(生理学その他)・検便(大腸潜血)、レントゲン(胸部)がある、手際良く運ぼう。5時になったのでそっとシャワーを浴びに行こうと思ったら、看護婦さんがお見えになり、直ちに採血開始、6時以降だと起床関係で忙しいので、起きている人を見つけると採血するとのこと、トイレに行った時に見られたか(笑)。5時半にトイレに行き無事に検便提出、そのままシャワー。寝汗対策はバッチリできた。夕食後に直ぐにベッドに戻らず電話チェックやトイレで軽く身体を動かし、熱気を冷ます、寝るときには首筋と肩のあたりにタオルを引いておく、これだけで随分寝汗が軽くなる、これに朝シャワーを浴びて、パジャマから下着から全部取り替えれば完璧だ。朝そのまま洗濯すれば8時半にはベッドで回診をスタンバイもできる。治療が始まればこれまで上手くはいかないだろうけれど(化学療法も放射線療法も副作用とかあるからね)、とにかく習慣化しておくことが大事。C0さんにメールを送り、すぐに朝食。8時半に看護婦さんが検査の指示書を持ってくる、受け取って8時45分にレントゲン室受付に、胸部レントゲンを撮って検査終了。検査とかは一人で行けないものを除いて私一人で行くようにしている。看護婦さんから明日の面談は15時との連絡を受ける。11時か同人誌の読書開始、「Rengaworks」の夏コミの新刊「RE−Enginialing」を読む、満足できて実に良い。煉瓦君の絵は何よりも心意気と言うような潔さがあるのだ。あれこれ弄って表面的に美しくすることは今のCG環境だと容易だしいくらでも見ることができる。しかし、煉瓦君の絵は、そうした小細工をスパッと切って捨てる面白さがある。鋏やカッターナイフであれこれ工作するのではなく、サバイバルナイフでぶった切る面白さと言う比喩が近いか。精緻な村田連而君と好対照かもしれない、村田君は外科メスの切れ味と尋常でない手際、それに何度も重ねる思考の美しさがあるからね。いや、煉瓦君が乱暴者だと言うことでは無いのだ(笑)。
 昼食後、玄関に出て携帯のチェック、出向元の勤務先から連絡、人事関係の打ち合わせを行うとのこと、全てお任せする。14時にH先生がお見えに、胸腔鏡検査を最終的に行うかどうか、本日夜に呼吸器科のカンファレンスがあるので、その時に相談して決めたいと言われる。もうリスクは覚悟しているんで、バッサリやって貰って良いのに(笑)。検便の結果は異常は無く、腫瘍は肺と胸椎以外には転移は発見されていない。これも、良いことの一つかな。15時請求書来る、予想よりも安い。入院費から検査費用まで全部合わせて1日1万円以下だ。治療が始まれば治療費が上がるが、検査費用が大幅に減るので、他の方から聞いた事例でもこれより安くなるだろう。午後はあれこれwebサーフィン、ふと思い立って「ガン闘病系の日記サイト」を見てみる。全く面白くない、何か必死さというか、楽しみ感が少ないサイトが過半。それに、やたらと皆が自宅に帰りたがる、病院で適切な管理をして貰った方が安全確実なのに。家だと無理したり、栄養管理や効果測定も大変だろう。もちろん、入院が辛いとか自宅が恋しいとか、自宅でやることがある(そんな無茶な…)とかだったらの仕方が無いけれどね。私は不思議にそういう感覚が少ない、家は連絡の場と寝るところ、それに本を読む場所というだけで、病院でも大半がこなせる。それに繋がらなくてはならないのは家という物理的な場ではなくて家族や友人との精神的なものじゃないのかな。それが病院では作れないというのはちょっと違和感がある。唯一残念なのはイベントに行けないことぐらいかな(笑)。ベッドで休んでいたらすぐに眠くなった、20時50分就寝。

11月11日(火):入院23日目

 4時半起床、何か喉が引っかかる、今日は気をつけよう。シャワーを浴びて、洗濯。寝汗対策はほぼ完成したので、苦労は無くなった。出版案内をチェックして買う本を考える、一般書はアマゾン、web-BOOKはビットウェア、マンガ関係は差し入れ依頼(笑)と言う割振りを考える、問題は一般雑誌だけだな。朝食後にトイレ。8時半に呼吸器内科の回診、H先生より昨日のカンファレンスの結果から気管支鏡検査の3回目を行いたいとの話がある。自宅に連絡して立会いと面談について話をする。午前中は11/10分の日記まで入力、昼食が無いので少し暇。13時に母と姉が見える、どうも母が不安で姉にも立会いを頼んだらしい。インフォームドコンセントや、医療事故対策で家族立会いを盛んに行うが、これって結構家族に負荷が高い、上手い方法は無いものかな。
 予測通り時間はベタ送れ、14時呼び出し予定が結局15時になる。気管支鏡検査はいつもの内容なんだが、今回は時間が長い、チューブを通す時間は、1回目20分、2回目30分だったのが、今回は1時間、麻酔の点滴が残り2O分も無いほど(笑)。チューブを交換したり、右肺や左肺を移動するのが何となくわかる。呼吸器内科の先生方も多く集まり、検討しながら様様にチャレンジして下さるのが嬉しい。終わった時には思わず「取れました?」と聞いたくらい。
 出血も相変わらず少ないとのことだったが、喉はさすがに少し違和感が残った、時間が長かったからね。検査とはストレッチャで点滴付き、少し顔色も悪く外見的にはダメージ状態なので姉は驚いたかも。そのまま安静状態でベッドで静かに休むことにする。
 もう16時半になり、時間も無いので私を置いて母と姉にH先生と面談を行ってもらう。私は麻酔から抗生物質に点滴変更。17時20分に面談終わり、母と姉はお帰りに。18時にYF君お見えに、点滴状態なのでちょっと驚いているので、18時半に再訪するようにお願いする。18時半全て終了、即刻トイレに(笑)、点滴が検査では多いので水分取るより効くのよ。18時40分YF君再訪、あれこれ雑談、コミケットカタログに関する話もでる。私のカットの扱いは難しいかも、まぁこれはモローに任せるしかないよね、怖いけれど(笑)。
 お見舞いの差し入れで「HELLSING6巻」を頂く。でもこう書くとYF君って誰だか丸判り(笑)。19時にYF君お帰り、そのまま冷めた夕食。検査疲れからか、夜巡回の看護婦さんに少しあたってしまう、口ごたえ程度だが実に情けない、後で大いに反省しナースセンターにも謝りに行く。翌日の巡回の担当看護婦さんにも謝っておこう。21時就寝。

11月12日(水):入院24日目

 5時起床、シャワーを浴びたいが、昨日の点滴管が残っているので看護婦さんにお願いしてビニールを巻いてもらう、申し訳ないこと限りなし。戻って外してもらうと濡れてはいないが湿気ているようなので包帯巻き直しをお願いする。早朝なのに手数をお掛けして重ね重ね申し訳なし。メールチェックの後で朝食、9時からベッドで待機、今日は検査は無いと告げられる。時間もあるのでアマゾンの登録と注文を開始する。まぁテストのようなものだ。病院にも届けることが可能なのは嬉しい(アマゾンもこの病院も)。昼食後は同人誌を読み耽る。
 13時半にH先生お見えに、昨日の面談のお礼を述べる。14時に少し疲れたのでメールチェックをしていたら、勤務先の専務理事がお見えになり驚く、あれこれ報告と挨拶。私が血色も良く元気そうなので安心されたみたいで嬉しい。14時半にお帰りに。15時に母来る、最終的な治療方針と面談は11/18の夜になりそうだ。前日午前中までに面談時間を母と姉に伝えるようにしなくては。16時母はお帰り、土曜までは来なくて良いように伝える。16時半同人誌読み継続「風の谷のナウシカDVD発売記念本」を読む、良い。自分が受けた想いをどのように伝えることが出来るのか、それがパロディの妙味かもしれない。自分の想いと、楽しみ、それに時間、それらをどのように共有するのか、どのように共有できないのか、そうした楽しさと悲しさがこの本にはある。夕食後も読書、18時半にのんびりデイルームでメール作成していたら、KS君、RI君、YT君がお見えに、差し入れ頂いて実に嬉しい、細々したものだけどあると便利なのよ。19時20分みなさんお帰りに。ちょっとお腹の具合が良くない、食後の間食が多すぎるからかな、消化不良の感じが近いかも。仕事関係者にも公開の案内を出さなくては。20時50分就寝。

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