Super8 MCU

Zilog社はZ8の上位版のシングルチップコンピュータとして、Super8シリーズを投入しました。まぁ、単純にZ8にいくつかの命令を追加して、レジスタポインタも増やして、えーと、それからI/O周りを強化したような石です。

Z8800 MCU
48ピンプラスチックDIPで20 MHzクロック品。SYSTEM ON SILICONと書かれていますね。昔は、いや今でも分野を限ればSOSというのはSilicon On Sapphireという方を思い浮かべたりするんですけどね。Z8という表示も見えますがSUPER8 ROMLESSとも。

なお、上の写真はROMを内蔵していないZ8800ですが、これに8 KByteのマスクROMを搭載したZ8820や、I/Oポートを7本削ってパッケージを小型にしたZ8801なんかがあります。

機能の概要としては、こんな感じでしょうか。

乗除算命令やビット操作命令を含むZ8上位互換の命令セット。
プログラム64 KByte、データ64 KByteの128 KByteのメモリ空間。
内蔵レジスタ325 Byte分。汎用レジスタが272 Byteで制御レジスタ類が53 Byte分。
40本のI/O端子。
UARTを1回路、16 bitのタイマ・カウンタを2回路内蔵。
DMAコントローラ内蔵。
8レベルの優先度付き割り込み。要求源は外部16本と内部I/Oから11本の合計27本でベクタは16種類。
DMAコントローラが内蔵されているため、SCSI付きのハードディスクドライブの制御用なんかにも使いやすくなりました。え、このクラスのシングルチップで制御できるのかと思われるかもしれませんが、なにしろハードディスクドライブ1台の容量が80 MByteくらいの時代の話ですから。そんな時代でも、データ1 Byteずつソフトウェアで転送していたのでは遅いと言われてしまうので、DMA転送で1.5 MByte/sのピーク転送速度を容易に実現できるこの種のDMA内蔵プロセッサが盛んにコントローラとして使われていました。
内蔵レジスタといっても、汎用レジスタと呼ばれている分は単なる内蔵RWMだと考えてください。制御レジスタ類と表記したものには、I/Oポートに関係したものや、スタックポインタやレジスタポインタ、メモリアクセスタイミング制御など、各種設定用レジスタまで含まれます。前後しますが、汎用レジスタを16本、命令体系の中で使用できますが、それは8本ずつ独立して汎用レジスタの任意のブロックを使用できます。そのため、レジスタポインタを2本備えていて、それぞれがレジスタ参照の際の汎用レジスタのアドレス空間8 bit分のうちの上位5 bitを保持しています。
スタックやDMA対象のデータメモリは、汎用レジスタを使うようにも、外部データメモリを使うようにも、設定できます。
Z80ファミリからそうでしたが、割り込みにも力が入っています。汎用入出力ポートのP20 - P27とP30 - P37の合計16本は、設定しておけばどれも割り込み入力として使えます。
I/Oポートを単純な出力ポートとして使用する場合、トーテムポール出力回路とオープンドレイン出力回路のどちらにするか、個別に設定できるようにもなっています。このあたりもなかなかの気配りで。

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