YM-3526 OPL

ヤマハのYM-3526は同社のFM音源LSIの第2弾であるFM Operator Type-L (OPL)です。9音同時発音モード、メロディ6音リズム5音モード、音声合成モードの3モードがあります。9音同時発音モードでは、FM音を9音、音色やエンベロープまで完全に独立に制御できます。
同社のコンピュータ用FM音源には、先にOPNという名称のPSG上位互換のLSIがありました。PSGとほぼ同じピン配置でPSGの機能を含みますが、そのためにI/Oポートまで付属して40ピンとサイズが大きくなっています。これは4オペレータ3音同時発音(他にPSGの3音とノイズ出力あり)可能です。
OPLはI/OポートやPSG部分などを含まず、24ピンパッケージと小型になっています。各音は2オペレータになっていて、複雑な音色作りではOPNに負けるかもしれません。ただし、発音数が多いので、一般的な応用にはこちらが便利でしょう。

YM-3526, YM-3014

OPNとは異なり、24ピンパッケージ。右のYM-3014は専用のD/Aコンバータ。
これが秋葉原の店頭で購入できたのは1985年頃。

FM音源の原理というのは、複数の周波数変調可能な発振器を用い、ある発振器の出力で別の発振器の周波数を(高速に)変化させることによって、複雑なスペクトルを持つ発振器出力を得るというものです。ここで使用する発振器は正弦波発振器で音叉の音に近いような音色のものです。これを高速で周波数変調することにより、音色が変わります。変調の速度や深さによって、多様な音色の音が作れるのが特徴です。
この音源回路をアナログ回路で実現することもできますが、高速乗算回路とROMを利用することができればデジタル回路化することも容易です。正弦波発振器部分はROMとアキュムレータを用いたデジタル周波数シンセサイザという回路で実現できます。変調の深さを変化させるために高速乗算器が使われます。細かいことは図を書いてからになりますかね。
とにかく、高速乗算回路やアキュムレータなんかが集積されたプロセッサがありました。DSPです。ROMを用いた表引きだって可能です。FM音源はDSPを用いれば容易にプログラムできます。(ワイヤードプログラムかもしれませんが)専用のDSP回路をひとつのチップに納めたのが、OPLなどのFM音源LSIだと考えることができます。

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