VIVA S-PULSE

以下に示す写真のチップはPC-9801-85というPC-9801シリーズのC-Bus用拡張基板のひとつ、Windowsアクセラレータ基板に搭載されているカスタムチップです。

VIVA S-PULSE chip

部品にきざまれた文字の3行め、VIVA S-PULSEとありますね。これが、このICの発注者側の付けた名称です。まぁ、ただそれだけなんですけど。
半導体メーカはさまざまなLSIを開発していますが、普通はユーザの要望を調査したりしてどんなLSIを開発すべきか決定した後、メーカ内部で回路設計してLSI化して製造します。それが、どんなお客さんからも注文があれば販売される標準品です。その場合、もちろん型番や名称はLSIメーカが決めるわけです。
しかし、LSI開発技術が進歩してくると、回路設計までお客さんが行って、最後の製造段階だけメーカが行うカスタムLSIというものも広く使われるようになります。このようなカスタムチップは特定のお客さんの注文によって製造されるため、販売は特定のお客さんにしか行われません。どの段階までお客さん側がLSI設計に関与できるのかによって、フルカスタムとかゲートアレイとかさまざまな呼び名で呼ばれたりしますけどね。そういうカスタムチップは、お客さんが要求すればお客さん側で決めた型番が表示されたりするわけです。それで、ちょうどこのチップを開発した技術者は、その手の趣味が合ったららしいと。まぁ、LSIの話でなくても、特定の部署で使われるLANにつながれたコンピュータの名前など、管理者の趣味で決められているのがみえみえだったりすることもありますけど。
もっとも、製造メーカ側も統一感のない型番では管理しにくいので、マスク番号とか受注番号のようなものをLSIに表示したりしています。このチップの場合は2行目がそれに相当します。ちなみに4行目の文字列は製造時期とか製造ラインなんかを意味する品質管理用のコードです。

しかし、開発中には、「なんだ、このVIVA S-PULSEぜんぜんダメじゃねえか」とか、「早くVIVA S-PULSEをちゃんと動くようにしろよ」とか、その手の会話が繰り返されていたりしたのだろうか。
なお、NEC製の同種のWindowsアクセラレータの基板のカスタムチップにはJubilo関係の名前のついたのとかいろいろあるみたいですけど。

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