SCN68562 DUSCC

Signetic社のSCN68562は、型番からわかるとおりMC68000系の周辺LSIです。Dual Universal Serial Communications Controller (DUSCC)と呼ばれ、多種類のシリアル通信の規格を満足するように設計された、多機能のインターフェースが2回路分内蔵されています。
サポートする通信プロトコルには、周辺機器との1対1通信でよく使われる調歩同期から、キャラクタ同期系のBISYNC, DDCMP, X21やビット指向のHDLC/ADCCP, SDLC, SDLC Loop, X.25ないしX.75のリンクレベルなど多岐に渡っています。送信バッファ、受信バッファ、各4 Byte分を内蔵していて、パリティ以外にもCRCの発生検査回路もあります。送受信データのエンコードやデコードについても、NRZ, NRZI, FM0, FM1, Manchesterの符号化が可能で、特にManchester符号化をサポートしてる通信用LSIは(LAN専用なら多いですが)珍しいと思います。当然、デジタルPLL回路もサポートしているほか、通信速度を決めるビットレートジェネレータも内蔵しています。さらに高速の通信サポートのため、割り込みのほかDMAによるデータ転送も可能です。

SCN68562
48ピンセラミックDIP。金属のふたの上にはマーキングがなく、セラミックパッケージの右にマーキングがある。小さくて読み取れないけど。1987年製。

このSCN68562と同じ分野をサポートしているLSIにはZ8030/Z8530 SCCが有名ですが、そのSCCよりも高機能となっています。
SCN68562はMotorolaとSignetic社がMC68000系LSIを分担して開発するという契約のもと、Signetic社が開発したもので、Motorola社からはMC68562として資料の発表がありましたが、Motorola社製のものを私は見たことがありません。いずれにせよ、高機能で開発が遅れた分、採用される例が少なく、価格が安くならずにますます使われにくくなるというパターンに陥っていたように思います。よほどのことがない限り、Z8530 SCCを使えたはずですし、そちらならセカンドソースもあって安定供給されていて価格も安かったですから。

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