EPCI

MC68661はEnhanced Programmable Comunication Interface (EPCI)と呼ばれるシリアルインターフェースです。これはSignetic社の2651の改良品ですが、その2651もIntel社の8251の改良品です。つまりはMC68661のベースにあるのは8251です。ピン配置も、一部の制御信号がM6800バス風になっていたりする点を除けば、ほぼ8251とコンパチブルです。

MC68661
MC68661のA, B, C各バージョン。

8251にビットレートジェネレータを組み込むなどしたのが2651です。指定された周波数のクロックを与えるだけで、レジスタに設定された値に応じてビットレートクロックを生成できるため、8251より使いやすくなっています。それに、さらに同期通信の際に使いやすくしたり、端子機能を強化したものがMC68661です。写真の石にはSignetic系の型番も印刷されていますね。
EPCIにはビットレートジェネレータ部の違いによってA, B, Cの3種類のバージョンが存在します。MC68661AとMC68661Bはビットレートジェネレータ用クロックに4.9152 MHzを、MC68661Cは2651と同等のビットレートジェネレータを内蔵していて5.0688 MHzを使用します。さらに供給されたビットレートジェネレータ用クロックを内部分周回路で分周してデータ転送に用いるビットレートクロックを生成します。この分周比はプログラマブルで、モードレジスタ2のビット0から3に設定する値で決められます。その分周比もA, B, Cの各バージョンで異なっていて、下の表のようにビットレートを設定することになります。
 
MC68661A MC68661B MC68661C
MR23-20 4.9152 MHz 4.9152 MHz 5.0688 MHz
0000 50 45.5 50
0001 75 50 75
0010 110 75 110
0011 134.5 110 134.5
0100 150 134.5 150
0101 200 150 300
0110 300 300 600
0111 600 600 1200
1000 1050 1200 1800
1001 1200 1800 2000
1010 1800 2000 2400
1011 2000 2400 3600
1100 2400 4800 4800
1101 4800 9600 7200
1110 9600 19200 9600
1111 19200 38400 19200

単位はすべてbpsです。分周比はそれぞれのバージョンごとに16種類に限られていて、基準クロック周波数を変更しない限り上記の表以外の値に設定できません。もちろん、従来の8251と同様にTxC端子やRxC端子にビットレートクロックを供給する方法も使えます。同期通信の場合などには外部クロックが必須の場合も多いでしょうしね。
内部クロックを利用する場合、TxCあるいはRxC端子の両方ないしどちらかの機能が不要になります。そのような場合、RxC端子はビットレートクロック出力端子、あるいはブレーク検出出力端子として利用できます。またTxC端子もビットレートクロック出力端子、あるいは外部強制同期入力端子として利用できます。
 

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