DMAC

MC68000ファミリのDMAコントローラとして日立が開発してHD68450という型番で出荷するとともに、Motorola社にライセンスしたのがMC68450です。日立がMotorola社のMC68000ファミリのセカンドソースとなる代わりに、日立が一部ペリフェラルLSIを開発してモトローラにセカンドソース権を供与するという契約の結果、このようなことが行われました。このDMACは単に従来の8 bit CPU用のDMACをMC68000用に24 bitアドレスに拡張してバスタイミングを設計し直したようなものでなく、このHD68450自身がメインメモリに納められた転送指令を読み取って、それに従ってデータ転送を行うといった機能があり、新時代の強力なDMACとして印象的でした。たとえばあるI/Oポートから512 Byte読み取って特定のメモリブロックへ転送した後、中断条件(I/Oエラーなど)がなければさらに512 Byte読み取って別のメモリブロックに転送するといったコマンドをメモリ上に定義して、CPUはDMACにコマンド列の最初のアドレスを指示して実行開始させればDMAデータ転送が行われるといった具合です。ある意味、大形汎用コンピュータで用いられているチャネルアーキテクチャを実現するためのLSIということもできるでしょう。
このHD68450は4回路分のDMAコントローラを内蔵しています。ただ、初期のマスクでは複数のDMAを同時に実行しようとすると異常が生じるなど、例によって機能の多い分だけバグもあった石でした。

HD68450, HD63450
上はn-MOSプロセスで作られた最終版と思われるUマスクのHD68450-8。右上のUの文字がそれを表している。他に無印とSのマーキングがされているものも所持している。写真下のHD63450は後に作られたCMOS版。共に8 MHzクロック。

最近入手したのが次のMotorola社製のMC68450です。
MC68450RC10
PGAパッケージのMC68450で最大動作クロック10 MHzクロック。

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