MC68340

MC68340はMC68332と同じCPU32コアを持つ組み込み用プロセッサです。ただ、MC68332より大規模応用を考慮されていたのか、RWMやTPUは内蔵せず、その代わりにDMAコントローラが追加されたり、外付けのメモリ空間が24 bitから32 bitアドレス分に拡張されたりしています。

MC68340
145ピン(内1本は誤挿入防止用キーピン)プラスチックPGAパッケージに収められた16.78 MHzクロック5 V動作品。ほかに25.16 MHz版や3.3 V 8.39 MHz版もある。

内蔵機能を整理してみます。

CPU32コア
外部32 bitアドレスバス、16 bitデータバス
チップセレクト出力4本、他クロックジェネレータなどを含むSIM内蔵
MC68681 DUART相当のシリアルインターフェース2チャネル
16 bitタイマ・カウンタを2本
DMAコントローラ2チャネル

といったところでしょうか。
SIMはMC68332のものと似ていますが、チップセレクトロジックが減っているなど、相違点もあります。集積されている機能だけ見ると、まるでCPUコアを取り替えたHD64180みたいな雰囲気もあります。外部にメモリを大量に接続することを配慮したアドレスバス仕様や、ディスクの類を接続するには便利なDMAコントローラ装備から、小規模組み込みとは異なる種類の装置に使われることを意図していたように思われます。
そこで、マニュアルを調べてみると、そこにはCompact Disc-Interactive (CD-I)に関する記述がありました。このMC68340はCD-I用途を意図して開発されたようです。CD-IはCDに音声データやビデオデータに加えてプログラムまで記録し、CD-Iプレーヤに内蔵されたプロセッサでそのプログラムを実行して、マルチメディアアプリケーションをユーザに提供するというものです。プロセッサはMC68000系列のものが想定され、MC68000コアを内蔵した68070というプロセッサも使われていました。その68070より高性能な改良版としてMC68340が開発されたものと思われます。

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