8212, 8214, 8216

8212は8 bitパラレルの入力ポートか出力ポートとして使用できる8 bitラッチです。ハンドシェーク用の制御回路も含まれています。8255のひとつのポートをプログラマブル機能を取り除いて独立させたようなICですが、特徴はPNP入力のLS TTLプロセス、つまりはバイポーラプロセスの一種というところにあります。通常のTTLと同程度の高速で動作し、しかも入力電流は最大250 uAと規定されていて、通常のLS TTL入力の入力電流より小さくなっています。今はマイクロコンピュータが普及してしまったため、8 bit単位のラッチをひとつのパッケージに入れた入力の軽いTTL系ICが多数揃っていますが、当時はラッチといえば7475/74LS75でした。これは4 bit単位である上に、入力が通常のTTL/LS TTLよりも重かったりして、出力電流の小さなMOSプロセスで作られたマイクロコンピュータシステムでは利用しにくいところがありました。パッケージサイズが大きめですけれど、もしかしたら本来の入出力ポートとして使われるよりも、負荷の少ないICとして8 bitのラッチやバッファに使われる方が多かったかもしれません。

8212, 8214, 8216
上が8212中央がNEC製のuPB8214、下が8216。

8214は8080A用の初期の割り込みコントローラです。優先順位付きエンコーダに状態保持用のラッチを付けて、割り込み要求信号やオープンコレクタで3 bit分のエンコード出力を出力できるようになっています。これひとつでは8ラインの割り込みしか受け付けられませんが、カスケード接続によって多数の割り込みを受け付けられるように拡張することもできます。この8214では割り込み優先順位や発生されるRST命令のコードなど、すべてハードウェア設計時に固定されてしまいます。そういった要素をプログラマブルにして強力にしたのがPICです。

8216はついでですけど、8212と同じPNP入力バイポーラプロセスで作られたデータバス用の双方向バッファです。4回路入り。厳密にいうとバス側は双方向ですがローカル側は入出力が分離していました。2102みたいなデータ入出力が分離したメモリも多かったですし、TTL ICで入出力ポートを増設する場合なんかは単方向の方が都合が良いこともあります。バス側のドライブ能力は高かったけど、消費電流も多いICです。74LS245が普通に手に入るようになるまでは、これが主に使われていました。双方向のバスバッファの品種って、昔はあまりなかったので。

どれもバイポーラプロセスで製造されています。

Returnto IC Colleciton.