HD6303

モトローラ系シングルチップの簡単な流れはHD6301の項に書いたので、そちらを参照してください。基本的にはMC6800を強化したシングルチップコンピュータがMC6801ですから、MC6801をシングルチップとして使わずにマルチチップのプロセッサとして使用してもMC6800より便利なはずです。CPU機能ブロックの能力としては、MC6800 < MC6803 < MC6809の関係にあります。そこで最初からROMを組み込まずに、外付けすることを前提にしたものがMC6803です。それを日立がCMOS化したのがHD6303です。
HD6303でもアドレスやデータの入出力に使用しない端子をI/Oポートとして使うことができます。そこでHD6301のそれぞれのI/Oバリエーションに対応して多数のHD6303が存在します。
下に示すのはもっとも単純なHD6303Rと、I/Oを強化した2 MHzクロックのHD63B03Yです。

HD6303R, HD6303Y

HD6303Rの中にはRWMが128 Byte、タイマやシリアルインターフェースの他、パラレル入出力として13本の端子が使用できるようになっています。ただし、それらのパラレルI/O端子はタイマやシリアルの端子と兼用で、どちらか一方しか使えません。
HD6303Yの方は、RWMが256 Byteに増強されているほか、ピンが増えた分だけ使用できるポートが増やされ、その機能も増強されています。
ROMを外付けしなければならない分、ピン数の割にI/Oポートが少ないのですが、8 bit同士の乗算や16 bitデータの加減算などの操作が可能になっている命令体系を使用できて、ROMや不足分のI/Oポートを追加するだけで組み込み用のコンピュータが完成するのですから、便利なことは確かです。

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