MIC-8

このMIC-8、カナで表記するとミックエイトですが、日本のテルエンジニアリング社で製造され、パネトロン社から発売された8 bitコンピュータシステムです。テルエンジニアリング社のテルはアルファベット表記だとTELでして、これからも想像できるでしょうが東京エレクトロン研究所の子会社として設立された企業です。テルエンジニアリング社もパネトロン社も、現在は東京エレクトロン社に吸収合併されています。

MIC-8はCPUにはintel社の8008を採用し、ちょうど後のALTAIR 8800と同様に、プロセッサやメモリなどモジュールごとに分割された基板を組み合わせてシステムを構築できるようになっていて、ミニコンスタイルの筐体に組み込まれた開発用のシステムから、基板数枚から成る組み込み制御システムへの応用もできるようになっていました。

これが、そのMIC-8のCPUボードです。
MIC-8 CPU board part side
わかりにくいですが、青いICソケットに挿入されたセラミックパッケージのICが8008です。右上には多回転型の半固定抵抗が4個並んでいて、その両脇のSN74123がクロック発振回路となっています。CRタイマを4回路接続して、非対称な2相クロックのタイミングを生成していたのですね。8008の両脇の黒い2個のICがSN74L04で、(CPUから見て出力方向だけの)バスバッファとして使われています。このSN74L04と8008以外のICはすべて74シリーズTTL ICです。主にFairchild社の製品が使われていて、一部TI社とNS社のものが使われています。これらのICで、バスバッファやアドレスラッチのほかに、エッジカードコネクタに出力するメモリやI/O用の読み書きストローブパルスなどを生成しています。

基板の裏側はこのようになっています。
MIC-8 CPU board solder side
右下に製造元のTEL ENGという文字が読み取れます。その少し中央寄りに検査印がありますが、その日付けは49.4.11、つまり昭和を西暦になおせば1974年4月11日となっています。このMIC-8は、まさか個人で遊びのために購入した例はないだろうとは思いますが、TTY端末を接続して一人で占有して組み込みソフトウェアを開発するというスタイルの、マイクロプロセッサを利用したコンピュータシステムがこの時期に日本でも成立していた実例の一つといえるでしょう。

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