まずはポケットコンソール、H68TR01-1から。本体基板よりも印象に残っている方もいるかもしれません。
実物の大きさは幅が約8 cmで高さ約15 cmです。まぁ、見事に関数電卓のようなコンソールです。この上部に仕込まれた蛍光表示管の7セグメント表示に無理矢理のアルファベット表示パターンを表示していました。なんたって、標準セットだけでアセンブラを内蔵した数少ないシングルボードコンピュータでしたから。
これが基板ですね。
この基板はマイクロプロセッサがプラスチックパッケージになっていたり、PIAがHD46821になっていたりで後期モデルのようです。クロックは3.6864
MHzを発振させて、その1/4の0.9216 MHzを使っています。初期型も1枚ありますが、LSIの金属部がひどくさびていたりして、ちょいと汚いので。
基板のサイズは幅230 mmで高さ200 mmです。カードエッジコネクタには3.175
mmピッチの100端子で、バスがバッファリングされて接続されています(一部I/OポートのPIA端子がそのまま接続)。そのバッファ回路などはオプションですが、この基板には全オプション部品が実装されています。
これがメモリボードです。
左下の方に規則正しく32個並んでいるのが2114で合計16 KByteの大容量だ。残りのICがアドレスデコーダとバッファ類。上部のジャンパが飛んでいる部分は、アドレス空間のどの位置にメモリを割り当てるかの指定。4 KByteごとに別々の場所に割り当てられます。
次はデジタルカセットテープインターフェースと思われるH68TPRIです。
ほかにシリアルインターフェースとパラレルインターフェースが含まれているのかな。ROMソケットのひとつにはIOCS
VER1.0と印刷されたシールの貼られたHN462716(Intel社2716相当品)が挿入されています。基板右側の40ピンのLSIはHD46821Pで、中央の24ピンのLSIはHD46850です。
他の基板もそうなのですが、ハンダ付けされているIC類はすべて日立製に統一されています。H68/TRの75452なんてICまでHD75452が使われています。さすが総合メーカの底力といった感じですけどね、このH68TPRIと次のH68CTVIに使われている2114だけは品不足だったためかシャープ製のLH2114を使用しています。しかし、ご丁寧にICに表示されているSHARPの文字の部分をサインペンで塗りつぶして隠してあります。さすがだ。でも不滅インキでなくて単なるサインペンなので、アルコールで落ちてしまう。ちょっとなさけない。んー、そんなに他社の名前が見えてしまうのがイヤなのかなぁ。ユーザが分解することのない家電品なんかでは平気で使うのだけど、これはユーザから丸見えだったからかな。
最後にCRTインターフェースですが、通常はH68TVが使われているんですが、なぜかH68CTVIです。こいつだけサイズが大きくて、写真からはみ出している。
RFモジュレータがなくてビデオ信号がそのまま出力されていますから、コンピュータ用のCRTモニタを前提にしていたのでしょうか。コントローラはHD46505SP-1で、11 KByte分のRWMと16 KByte分のマスクROM、おそらくキャラクタジェネレータとしてPTG2と書かれたシールが貼られているHN462716が1個使用されています。
私のH68/TRは少々変わった筐体に納めれています。日立純正なんですが、はたしてこの筐体はどれだけ使われていたんでしょうか。
確かにパネルにはHMCS6800と日立のマークが入っています。
フロントパネルは下部に蝶番があり、上部を手前に引っ張るだけで内部をいじれるようになっています。ふたを閉じる機構には磁石が使われています。左にあるのは電源スイッチで、自照式になっています。
内部には5スロットのカードケージと、5 V 10 A出力の電源、ファンなどが納められています。
右下から電源ケーブルが出ていて、その上にヒューズ。ファンの窓の下にはサービスコンセントが3個付いています。コネクタ用の穴が2個空いているほか、ケーブルを取り出せる丸穴も空いていますし、ケースの下部には細長い角穴が前後に2ヶ所あって、ポケットコンソールのケーブルなどを簡単に引き出せるようになっています。
左上部の銘板を拡大してみるとこう書かれています。
製造が1980年12月なのはよいとして、No. 000001というのが気になります。まさか特注品ということはないよね。
Return to IC Collection