BPK 72

Bubble Memory Prototype Kit: BPK 72はIntel社が1 Mbitバブルメモリの評価用に販売したキットです。

箱の一部
BPK72 box

主要な部品は以下の通り

7220-1 Bubble Memory Controller
7110-1 1 Mbit Bubble Memory
7250 Coil Predriver
7254 Drive Transistors
7230 Current Pulse Generator
7242 Dual Formatter/Sense Amplifier
IMB-72 プリント基板

BPK72 ICs part 1
BPK72 ICs part 2

バブルメモリ本体はこのような形状です。
7110-1 MBM

サイズは43 mm角の正方形で、厚みは11 mmあります。こんな形。
7110 edge

内部には回転磁場を与える2個のコイルが入っている上に、磁気シールドのためか磁気回路の一部に利用しているのか偏平チューブ状の金属の筒の中に納められているため、重く感じます。専用のソケットに入れて、外れないようにソケットの押さえをネジ止めして使います。

これらを取り付ける基板は約10 cm角あり、このようになっています。ICソケットを並べてみました。そういえば、このキットは未組み立てで所有しています。
IMB72 PCB

中央の余白部分にバブルメモリの専用ソケットが入ります。

バブルメモリは不揮発性のシーケンシャルアクセスメモリで、機械的可動部分のない外部記憶装置として注目を浴びていました。しかし、CMOSのバッテリバックアップ可能な大容量メモリやEEPROMの集積度が上がるめどがつくと、記憶容量で追い抜かれてしまい、消えてしまいました。磁気バブルのサイズを半導体のトランジスタサイズと同じペースで縮小することができなかったのですね。
 

バブルメモリは磁気バブルという現象を利用した記憶素子です。ある種のガーネット薄膜には膜の厚み方向に磁化が生じ、しかも大部分の磁化の向きと逆向きの小さな磁区が安定して存在できるものがあります。その反転した小さな磁区を磁気バブルと呼びます。磁気バブルはわずかな磁場勾配で膜の面内を移動し、変形も簡単にできます。磁気バブルのサイズが大きすぎたり小さすぎたりしなければ、移動や変形の際にも面積は一定で、突然消えることはありませんし、自発的に二つのバブルが近づいて合体したり分割することはありません。しかし、ある程度の力を加えることができれば合体させたりちぎることができます。強い外部磁場でバブルのサイズを大きくしたり小さくしたり、新たに生成したりもできます。ガーネット薄膜上に別の強磁性体が付着していると、まるで表面張力があるかのように強磁性体表面にへばりつきます。このように、洗濯槽の水面の泡のように振る舞うため、磁気バブルと名付けられました。
このバブルをバケツリレーのようにガーネット薄膜上で移動させながら、バブルの有無を記憶内容に対応させるのがバブルメモリです。バケツリレーのしかたを説明するにはゾウさんや三日月の絵を描いた方がわかりやすいので、絵を準備できるまでお待ちください。

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