uPD416 16 Kbit Dynamic memory

タイトルをMK4116にすべきかどうか少し悩んだのだけれども、当時最高品質のD-RAMを供給して地位を確保したNECに敬意を表してuPD416にしてみました。
16 KbitのD-RAMは初期のパーソナルコンピュータを始め、16 - 64 KByteのメモリをいっぱいに使ったアプリケーションが登場しはじめる頃、急激にマイクロコンピュータの世界でも使われるようになりました。MC6800/MC6809はもともとD-RAMを使いやすいバスタイミングだったし、8080系の世界でも8080Aや8085よりD-RAMを使いやすいZ80が使われるようになったというのも一因でしょうし、そこそこの価格で16 KByte以上のメモリシステムを作成するのにうってつけだったということもあるでしょう。また、D-RAMが以前ほどノウハウが必要なデバイスでなくなったということもあるはずです。あいかわらず+12 V, +5 V, -5 Vの3電源が必要でしたが、すべての信号がTTLレベルであり、速度は一部もう少し速ければと思うところもなかったことはないのだけれど、実用上問題がない程度に当時のマイクロプロセッサの要求に合致していました。コンパクトな16ピンパッケージというのも大容量メモリ実装のために歓迎されていましたし、タイミング設計の考え方は4 KbitのMK4096のものと同じでしたので、設計経験も活かせたはずです。
いやぁ、当時はいろいろなメーカが(細かく見るとタイミングが5 nsくらい異なる点がよく見つかるのだけど)互換品を作っていました。

uPD416 etc.
左上からNEC、Motorola、TIで、左下がIntel、右下はなんとZilog!

だいたい1979年から1981年が16 Kbit D-RAMの旬といっていいのではないでしょうか。1982年あたりから64 Kbit D-RAMへ主流が移ります。64 Kbit D-RAMでは8 bitプロセッサのメモリ空間がすぐいっぱいになって役に立たないかと思いきや、時代は16 bitのコンピュータだったのですね。実にうまくできています。

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