セカンドソースですけどNORTEC社の1103です。これは1974年製。金属部分がすべて金メッキなのが時代ですね。
電源電圧は16 Vと19 Vの2電源(高速品では19 Vと22 V)で16 Vの方が主電源になります。19
Vは内部バイアス用でわずかな電流しか流れません。
恐るべきはロジックレベルで、Lが1.8 V以下(ものによっては1.0 V以下)なのはよいとして、Hは15
V以上です。データ出力は電圧レベルでなくて電流の大きさで表され、500 uA(高速品では900
uA)の流れ出しでHを、0 AでLを表します。この電流値は負荷抵抗100 ohmで規定されているため、その時の電圧レベルは0.05
Vか0 Vかということになり、周囲では15 V振幅のロジック信号が多数駆動されている中で50
mVの電圧を増幅しなくては読み出せないわけです。リフレッシュは2 ms以内に32ライン分行いますから、こちらは4
Kbit以降と変わりません。アクセスタイムは通常でも310 nsでサイクルタイムが480
nsですから、当時の大容量メモリ素子としては最高レベルの速度です。高速品ならアクセスタイム125
nsのものがあります。同じp-MOSプロセスのS-RAMのアクセスタイムが1 usを切れない時代ですから数倍の高速アクセスが保証されているわけです。ただ、逆にいえばその速度を活かすだけの駆動方法や出力レベルの増幅回路が必要ですから、その点でも使い方が難しいですね。
この頃のD-RAMとは、明らかに普通のデジタルICではなく、特別なインターフェース技術のいる特殊な素子でした。その意味で使い易さはコアメモリと差がありませんでした。
Return to IC Collection