HD46503

日立のHD46503はMotorolaのM6800系バスに直接インターフェースできるフレキシブルディスクコントローラです。Motorola系のFDCは、唯一、これだけですね。型番から想像できるようにHD46503はHD46502(コンパクト磁気テープドライブコントローラ)、HD46504(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)、HD46505(CRTディスプレイコントローラ)と共に発表されました。このうち、HD46502はセカンドソースがありませんが、HD46504はMC6844、HD46505はMC6845としてMotorolaからも供給されていました。このHD46503はMotorolaからはMC6843という型番でセカンドソース供給されていたようですが、まだ実物は見ていません。HD46504やHD46505は1 MHzクロック版のほか、1.5 MHz版や2 MHz版もありますが、HD46503に関しては1 MHzクロック版しか存在しないようです。
このことからも、あまり使われていなかったことが想像できますし、実際、使われているところはあまり見たことがありません。雑誌などに発表された自作例なんかもなかったのではないかなんて思っていたところ、別冊トランジスタ技術「6809オールマイティ」トランジスタ技術編集部編CQ出版社の中に、松尾樹芳著、「ASSIST09をモニタにした6809ボード・コンピュータの製作&実数BASIC」の記事で紹介されていました。

HD46503

このHD46503はIBM3740フォーマット専用で、1セクタあたり128 Byteの単密度しかサポートしません。倍密度のディスクの読み書きはできません。もちろん本来は8インチディスクを前提にしていますが、ドライブ用のタイミングクロック周波数を半分にすることで、なんとかミニフロッピディスクドライブにも応用することができます。もちろん、その場合も128 Byte単密度固定ですから、ミニフロッピディスク1枚あたり80 KByteとか、がんばって両面使用しても160 KByteとかの容量にしかなりませんけど。8インチでも250 KByteとか500 KByteの容量しかサポートできません。
資料を読んだ限りでは、10種類のシンプルでそれなりに強力なマクロコマンドやレジスタの数が比較的多くて機能が分かれていて使いやすそうだったりと、倍密度をサポートしない点以外に機能的には特に悪いところも見つかりません。しかし、両面倍密度のディスクドライブが主流になっていく傾向があったため、そちらへの互換性がないHD46503は使いにくいでしょうね。ほぼピンコンパチブルで倍密度に対応したファミリLSIが開発されていれば別でしょうけど、WD1793とかuPD765の系列ばかりが使われていましたし。あまり使用例がなくてユーザが少ないとプログラマやハードウェア設計者の経験を活かすためにも売れているLSIを採用するケースが多いでしょう。

詳細については後ほど。

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