96年6月発売コミックスのレビュー
スプリガン 〔11〕(完)
原作/たかしげ宙(Hiroshi Takashige),作画/皆川亮二(Ryouji Minagawa)
- 少年サンデーコミックススペシャル/小学館
- ISBN4-09-122836-4
迫り来る<COSMOS>、本格的に動きだすアーカム新会長
・ヘンリー・ガーナム。そして明かされるティアとアーカム財団の真実。
激しい戦いが続く中、解けてゆく謎と伏線。そして決着。
一癖も二癖もある個性的なキャラたちと、周到に用意された謎と解。
特に、ティア・フラットの正体には大納得させられた。
究極の必殺技、奥技、切り札は最後の最後に有効に使ってこそ
意味のあるものである。巷にあふれる乱発、大安売りはやっぱりだめ。
あまりの見事さに拍手を贈って、もう一度1巻から読み直したいと思う。
沈黙の艦隊 〔32〕(完)
かわぐちかいじ(Kaiji Kawaguchi)
- モーニングKC/講談社
- ISBN4-06-328470-0
海江田凶弾に倒れる。この時を予期していたかのような、
深町宛の手紙、いや、全世界へのメッセージは「独立せよ」であった。
やまと独立宣言から一貫して持っていた言葉であろう。
Internet により、個人が国境を越え独立するこの時代に
この言葉は決して空々しいものではない。それ故、作品中でも、
ミニコミがマスコミから独立していると描かれている。
作者がこの時代を予見していたとしたら、凄いことだ。
大長編作品がついに完結。長期連載での最大問題は、ソビエト連邦始め、
政治体制の劇的変化であったろうか。しかし、この作品が示すような方向が
見られたのもまた事実であり、同時に核兵器排絶までの道のりが長いことも
また事実である。まずはお疲れ様と言いたい。
TOKIOの我王 〔2〕(完)
清水たかし(Takashi Shimizu)
- 少年キャプテンコミックススペシャル/徳間書店
- ISBN4-19-830138-7
動き出す覇魁王と雷冥王。新たな世界の覇権を争う戦いは然るべき終局へ。
と、こじんまりまとまっちゃった印象がある。設定自体が、ナウシカ+
ガンダム(ニュータイプ)のようなありがちなものだけに、これで終るのでは
あまりにも物足りない。
同時収録は、93年に読みきりで描いた『光りのハデス』。
個人的に、清水たかし氏はこの作品が印象深かった。
メカの描き込みや重力レンズ効果の描写が見事で、話もまとまっていていい。
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