96年6月発売コミックスのレビュー


スプリガン 〔11〕(完)

原作/たかしげ宙(Hiroshi Takashige),作画/皆川亮二(Ryouji Minagawa)

 迫り来る<COSMOS>、本格的に動きだすアーカム新会長 ・ヘンリー・ガーナム。そして明かされるティアとアーカム財団の真実。

 激しい戦いが続く中、解けてゆく謎と伏線。そして決着。 一癖も二癖もある個性的なキャラたちと、周到に用意された謎と解。 特に、ティア・フラットの正体には大納得させられた。 究極の必殺技、奥技、切り札は最後の最後に有効に使ってこそ 意味のあるものである。巷にあふれる乱発、大安売りはやっぱりだめ。 あまりの見事さに拍手を贈って、もう一度1巻から読み直したいと思う。


沈黙の艦隊 〔32〕(完)

かわぐちかいじ(Kaiji Kawaguchi)

 海江田凶弾に倒れる。この時を予期していたかのような、 深町宛の手紙、いや、全世界へのメッセージは「独立せよ」であった。 やまと独立宣言から一貫して持っていた言葉であろう。 Internet により、個人が国境を越え独立するこの時代に この言葉は決して空々しいものではない。それ故、作品中でも、 ミニコミがマスコミから独立していると描かれている。 作者がこの時代を予見していたとしたら、凄いことだ。

 大長編作品がついに完結。長期連載での最大問題は、ソビエト連邦始め、 政治体制の劇的変化であったろうか。しかし、この作品が示すような方向が 見られたのもまた事実であり、同時に核兵器排絶までの道のりが長いことも また事実である。まずはお疲れ様と言いたい。


TOKIOの我王 〔2〕(完)

清水たかし(Takashi Shimizu)

 動き出す覇魁王と雷冥王。新たな世界の覇権を争う戦いは然るべき終局へ。 と、こじんまりまとまっちゃった印象がある。設定自体が、ナウシカ+ ガンダム(ニュータイプ)のようなありがちなものだけに、これで終るのでは あまりにも物足りない。

 同時収録は、93年に読みきりで描いた『光りのハデス』。 個人的に、清水たかし氏はこの作品が印象深かった。 メカの描き込みや重力レンズ効果の描写が見事で、話もまとまっていていい。


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(c) Mitsutaka Nakamura / minaka@st.rim.or.jp
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