95年11月発売コミックスのレビュー


おたんこナース(1)

佐々木倫子(Noriko Sasaki)/[原案・取材]小林光恵(Mitsue Kobayashi)

白衣のエンジェル−ツバサは無いけどツノがある。

理系研究室に常駐する漫画No.1と言われた『動物のお医者さん』で人気を 博した佐々木倫子さんが、連載終了後なんと青年誌スピリッツに電撃移籍。 どんな作品にあんるかと思えば、やはり『動物のお医者さん』の雰囲気を 引き継ぎ、菱沼さんを強力にしたような主人公。本作品では、原案・取材に 小林光恵さんがつき、非常に細かな病院の描写、それも表も裏も知り尽くした ような描写になっている。小林さんはおそらくナース経験があるものと 推察されるが、現状の看護婦の労働環境のひどさがこの作品では ほとんど出ていない(出していないのだろうが)、それどころか 病院が何かパラダイスな世界に見えてくる。 全編に溢れる「佐々木節」は、大学の研究室同様に 病院という世界にマッチするのは間違いないようだ。


永遠の野原(13)

逢坂みえこ(Mieko Osaka)

長い前髪で自分の顔を隠しがちな内気な女の子はよく見かける。 今回登場するマリコは、潔癖性を加えた「抗菌少女」。 何かをきっかけにそうなったわけでなく、原因は潔癖性の母親。 そんな彼女が初恋したとき…。

電車のつり皮を直接触るのを嫌うような人は、最近多いという話だが、 このマリコのモデルも現実にいるそうだ。 だが、女の子なら、一度は男を汚らわしいと思うものかもしれない。 そんな思春期の通過点の少女に恋されたらどんな気持ちなのだろうか。


We are

渡辺多恵子(Taeko Watanabe)

『はじめちゃんが一番!』のSPECIAL番外編。もちろん、主人公は WEの二人。その二人、瑞希・12歳、亮・13歳の出会いを描いた作品。

『はじめちゃんが一番!』ファンにとって最も気になっていた 瑞希と亮の不思議な関係。この作品はファンへのサービスと素直に 受けとって素直に読ませて頂いた。でも、個人的には、二人の関係よりも、 瑞希の家庭がじっくり描かれているのが何より嬉しい。亮の(複雑な)家庭は 本編でたくさん描かれたけど、瑞希ん家は複雑さが全然ないのが敗因だな:-)。


愛の若草山物語(1)

寺島令子(Reiki Terashima)

巻頭で、「この漫画の家族は、うちの家がモデルではない」という コメントがあるが、うーんどうみてもそうは思えない…。こんなコメントをが 出てくるのは結婚した余裕かもしれないけど。内容に関しては 何も言うことありません。娘を持ったお父さんは大変ですね。


LAWMAN

伊藤明弘(Akihiro Itoh)

表紙だけ見て、「裁判(法律)ものか?」と衝動買いした一冊。 もちろん、内容は大きく裏切られるガンアクションもの。しかし、 その構成/作画力で、いい意味で裏切られたというところ。

主人公は入江省三。肩書は大蔵省特殊査察部執行官。レーザーサイトガンを 愛用する政府の非公然活動要員。いわゆる裏の存在。といっても、 この設定が結局活かされてないのが残念。上司や同僚が出てくれば もっと面白かったろう。査察部つーと「マルサの女」を思い出すが、 ああいう面白さも入れて欲しかった。


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Mitsutaka Nakamura / minaka@st.rim.or.jp