95年6月発売コミックスのレビュー


FUJIYAMA MAMA[フジヤマ ママ]

池田恵(Kei Ikeda)

家政婦ロボットのフジエさんがおかあさん?  13歳の少女・ひなぎくにはあまりにも酷な真相。でも子守歌の記憶は…。

ロボット(機械)が感情を持つという話は数多くある。この話も「2001年宇宙の旅」 ネタが見られるし、結末やそこまでのプロセスもどこかで見た記憶がないでもない。 だが、そんな話をほのぼのとハチャメチャに描けるのは池田 恵氏ならではと 言える。池田 恵氏の作品+予告カットでかわいい主人公を期待した人には残念な 作品かもしれないが。


MONSTER[モンスター]

CHAPTER 1. HERR DOKTOR TENMA (第1章/ヘルDr.テンマ)

浦沢直樹(Naoki Urasawa)

1986年、脳神経外科医ケンゾー・テンマは、院長の命令を無視して銃撃事件の 当時者の少年のオペをしたことから出世の道を閉ざされる。だが、その少年は失踪。 院長は市民から少年に贈られたキャンディを食べ、謎の毒殺。 テンマは再び出世の道に。そして 1995年…。

ビッグコミックオリジナルでは、「パイナップル ARMY」「MASTER キートン」と、 非常に緻密な内容と、奥の深い設定の原作の世界を見事に描写をしていた氏が 今回は原作なしで挑んだ作品。前2作の影響は大きいが、うまく吸収した 印象もある。もともとこういう話を描ける人でもあったし。医学関連の取材は 結構やっているようだ。前2作の1〜数話完結と違い、連続話になっている分、 浦沢氏の力が発揮されているように思える。
この巻では導入と伏線だけではあるが、次の巻への幕引きはうまい。 ただ、暗い話になりそうなのがやや不安。


国民クイズ (4)

杉本伶一(Reiichi Sugimoto)/STORY, 加藤伸吉(Shinkichi Katou)/ART

日本国憲法第12条104条
国民クイズは国権の最高機関であり…あらゆるものに絶対!無制限に優先する!!

とにかく読ませる作品だった。最終第4巻は打倒国民クイズ派と 国民クイズ支持派、そして佐渡島、アメリカが入り混じっての大アクション! だが、この作品の根底に流れる「日本人の真実」はいかなるものだったろうか? ふくれあがった日本人の利己主義と欲望はいつまで抑え続けることができるのか? 「国民クイズ」という設定を創り出した杉本氏と、一見狂気じみているが、 日本人の現実の内面を見事に描いた加藤氏の両氏にはさらなる「日本人」を 描いて欲しい。


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Mitsutaka Nakamura / minaka@st.rim.or.jp