スーパーリアル麻雀PVのアルゴリズムに関する考察

スーパーリアル麻雀PV(以下PV)で上がったのはアニメの質だけでなく、 麻雀そのものの「リアルっぽさ」も上がっている。 ツミコミや裏技のアイテム麻雀ゲームが多い中、 普通の麻雀好きには大変嬉しいことである。PIVの頃さんざん和了られた 天和四暗刻などというコンピュータの馬鹿げた和了はないのだ (裏ドラはよくのるけどね)。となると、「攻略法(勝てる打ち方)が あるのでは?」と思ってしまうのが人情。アーケードでは5クレジットで クリア経験を持つ(しかもみづきと綾はノーコンティニュー!)私が、 サターン版で徹底ビデオ研究した結果をここにまとめようというわけである。 今回の解析の為に、レベル4、着ないの設定で、激闘33局、49分08秒を たった一人で闘い抜いた(ホント)。

[東] ゲームはランダムなのか? [東]

 んなことあるわけがない。二人麻雀であるから、牌の半分は「山」なのである。 コントロールしないと、鳴くのはつらいし、出和了も難しい。だが、配牌に コントロールは感じない(不感症ではない、念のため)。 1つあるかないかの出来面子、カンチャン・ペンチャンも多く、 字牌が2〜4枚程度。これはほぼランダムと考えていいだろう。 コンピュータ側も手出しで一九字牌が結構出てくることから、 配牌からテンパっているというようなことはないようだ。 ただ、4〜6枚の入れ換えでリーチがかかることも多いので、 配牌時の構成は良いものであることが伺える。

 となると、コントロールしているのはツモ牌である。 配牌がどんなに悪くても、6枚ツモれば最低七対子はテンパイできるのだから どうにでもなるわけである。逆に自分の手が進むツモが入るだけでなく、 相手のアタリ牌を引くこともある。特にコンピュータはその傾向が高い。 もうひとつコントロールされているもの、それはウラドラだ。 ただしコンピュータ側のみだ。10回のリーチ和了のうち、ウラ2がなんと 5回のトホホ状態であった。私の雀友T君は「そんなんあたりまえやで、ぷぅ」と のたまったが、やはり精神的ダメージは大きい。昔マンガで 「ウラドラはデジタルだ」という台詞があったが、 まさにその通りのコンピュータ麻雀である。天和よりは点数が低いのが 唯一の救いだけど…。


[南] どう手作りするべきか? [南]

 これは33局の私のデータから考えてみよう。 平和は15局中7局、タンヤオは4局和了っている。 無論、狙った結果でもあるが、変に対子形ばかりだとか、 役牌中心ではないことを示している。その一方で、清一を3回も和了っている。 混一清一は遅くて不利と言われているようだが、 決して和了れない程ではないようだ。これで結論を 「タンピン中心に動きやすい役を狙った手作り」としたいところだが、 そんな当たり前の事を言ってもしょうがない。

 一方、PVには「七対子が和了り易い」という伝説がある。 七対子は一般にイーシャンテンからが遅いと言われるが、 PVにおいてはその印象はあまりない。むしろ速いテンパイの印象の方が高い。 今回は一度テンパっただけであったけど、配牌二対子から4順でイーシャンテン、 7順目にテンパっている(結果は次順コンピュータがツモ和了)。 しかし、七対子は手変わりのしにくさなどから、狙って有利な手とは言えない。

 では今度はコンピュータ側の和了から考えてみよう。 16局の和了のうち、平和8局、タンヤオ6局は私とほぼ同じである。 しかし、一盃口で和了ったのが16局中5局、[三四四五五六]のような 一盃口崩れや役にならなかったものも含めると、なんと11局にもなっている。 つまり、順子が重なり易いということであろう。 なぜか私がテンパった七対子の時も、一盃口形面子ができていた。

 なぜそうなるのか? ここでツモ牌コントロールのアルゴリズムを 考えてることにしよう。例えば、(5) を 一枚孤立して持っていたとすると、 ここから面子を作るにはこの周辺かそれ自身を持ってくる必要がある。 つまりそうコントロールすればいいということだ。 ここで、その牌自身とその隣の引き度を2、二つ隣を1としよう。 (5) を持っている時の引き度は次のようになる。

(3)=1  (4)=2  (5)=2  (6)=2  (7)=1 

これから、 (4) (5) (6)  の順子を持っている時の引き度は次のようになる。

(2)=1  (3)=3  (4)=5  (5)=6  (6)=5  (7)=3  (8)=1 

そして、 (4) (5) (5) (6)  の場合は、次のようになる。

(2)=1  (3)=4  (4)=7  (5)=8  (6)=7  (7)=4  (8)=1 

つまり、2つの両面の受けであり、また引き度が高いというわけだ (中ぶくれになる可能性も高いが、これは残り枚数から低いと言えよう)。 この理論でいくと、清一や混一にも有効であるということになるが、 それを証明するかのように、今回は3度も清一を和了ることができたわけである。 ただ、遅い手であることは事実であるので、注意は必要だろう。

 結論は、「下手な両テンビンよりは、ある程度役(鳴ける役)を決めつつ、 複合面子をうまく処理すること」である。もちろん、引き度はこれだけで 決まるわけではないだろうから、それは覚悟して欲しい。


[西] リーチに負けるな! [西]

 PVはとにかくリーチ麻雀だ。今回の全33局中リーチは17回。 そのうちリーチ和了は10回。成功率 0.588 はイチローの打率を大きく 引き離している。リーチをかけるられる前にこちらがテンパってしまえば いいのだが、平均8順目のリーチではさすがにそうもいかないだろう。 速く、かつ仕掛けができる柔軟な手作りが必要だ。タンヤオを中心に役作りを 進めていくのが最も無難なのは言うまでもない。このゲームは高得点を 競うものではない(むしろ二倍返しが恐い)ので、鳴ける時には積極的に 鳴いて手を進めるのがいいだろう。とにかく和了ることなのだ。

 では、コンピュータの捨て牌から待ちを読むことはできるだろうか? 捨て牌を見ていくと一つの傾向が現れる。第一打に字牌を打つことが ほとんどないのだ(みづき・綾・晶の三人は雀鬼会なのかもしれない…)。 同じ色の牌を2〜3枚手出しした後、字牌を手出しすることが多い。 しかも、その色の牌は中張牌を含めて、無造作に切捨てられる。 結果、手牌は二色傾向を示すことになる。その代表的な手が綾との対戦の3局目、 次のような捨て牌でのリーチだ。(↓はツモ切り)


214(6)南3白(1)東

一見すると萬子で染めているように見えるが、リーチの前の手出しの (1) が キーポイントである。最初の索子の切りは面子無関係牌(色)の処理であり、 二色傾向を示している。(1) の手出しは面子構成が固まったということであり、 リーチ直前の (1) はそれに絡む面子が手にあることを示している。 結局、次のような手牌であった。

三三四四五五六六八九(1)(2)(3)

コンピュータの牌処理順序は、不要色牌→字牌→面子関係牌の順であるので、 手出し牌をチェックしていれば、テンパイ気配を読むことはできる (どーせすぐリーチで知らせてくれるけど)。

 待ちの傾向は、リーチ和了10局中5局が両面であるから、 そうスジを信じるわけにもいかない。いや、両面だからと言って、 西家も北家もいないんじゃ、ヒントが少な過ぎてそう安全牌があるわけでもない。 あるとして、二色傾向の使われてない色くらいだ。まぁ、おりたってツモられる 可能性も高いし、点も高くなるし、1000点しかなければツッパるしかないので、 考えるだけ無駄かもしれない。結局は自分のツキを信じるしかないのかも (注:私は信じていない)。


[北] これで必ず勝てるか? [北]

 というとそれは無理でしょうな。しかし、PVはコンピュータがあまりに 理不尽な和了をしているわけでもなく、それなりに相手の打ち筋がわかるので、 結構麻雀が楽しめる。

 さぁ、みづき・綾・晶の三人をギャフン(死語)と言わせよう!
 返り討ちにあっても知らないけどね。


このページで使用している牌画は、 田中猛彦氏 (takehi-t@is.aist-nara.ac.jp)作成の 牌画です。
快く使用を許可頂いた田中氏に、この場を借りて御礼申し上げます。

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Mitsutaka Nakamura / minaka@st.rim.or.jp