●WINDS CAFE●

WINDS CAFE 24

●WINDS CAFE 24●

1998年12月26日(土)13:30開場

【『バラの騎士』の夢】松本智勇+岡田暁生

13:30  開場
14:00  おやつ時間

15:00  岡田先生によるお話
16:30  レクチャー終了
 16:30 休憩+オークション

17:15  LD上映
 17:15 第一幕(75分)
 18:30 休憩 15分
 18:45 第二幕(60分)
 19:45 休憩 15分
 20:00 第三幕(60分)
20:45  LD終了

〜23:00 パーティー

入場無料、出入自由。飲食物の差し入れを是非!


▼川村からひとこと

松本智勇さんは、今や WINDS CAFE にはなくてはならない人材となりました。そのセンス、そのボランタリティ、そしてその知識……。私もオペラは好きですが、松本さんの徹底した「好き振り」にはもうやられちゃいます(笑)。今回の企画にははるばる関西から岡田先生をお呼びしています。ぜひ岡田先生のお人柄にも触れてください。


▼松本智勇さんからの手紙

12月担当(?)の松本です。今回は久しぶりのオペラ、『薔薇の騎士』(リヒャルト・シュトラウス作曲)です。

この作品を最初にみたのは1990年のベルリン国立歌劇場来日公演でした。東ドイツ時代最後の公演でしたが音楽に似合わず簡素な舞台装置であったのが印象的でした。次はなぜかヴェネツィア、フェニーチェ座の向かいの建物を会場にした学会の折、お昼休みに歌劇場の周りを散歩していたらマルシャリンのモノローグが聴こえてきたのでした。この日の演目が『薔薇の騎士』、けれども夜は予定が既にありみられず、たいへん残念に思った記憶があります。3度目は1994年のヴィーン国立歌劇場来日公演10月7日の初日、今回上映のLDとほぼ同じメンバーによる公演でした。この日の体験に匹敵するものはこれまで生きてきた中でフェルメールの作品をみた時くらいでしょうか。今に至るまでこの日の余韻が残っていて、その雰囲気の中にいるように思えます。

『薔薇の騎士』をWINDS CAFEでとりあげる、という企画は96年5月、まだWINDS CAFEという名前ではなかった頃既に挙がっていました。実現に2年以上かかったのは、その前に『こうもり』(96年12月)と『ルドンをめぐる音楽』(97年12月)の企画、川村さんによる『トゥーランドット』があったためですが、ふさわしい時期になって初めて実現される、何か運命のようなものを感じています。というのも、半ば近いうちに実現されることを意識して97年夏にR・シュトラウスが半生を過ごしたガルミッシュ=パルテンキルヒェンを訪れたこと、今回お話して頂く岡田先生の著書『バラの騎士の夢』が昨年末に上梓され、その担当をされたのが今年1月の『音楽療法』(98年1月)をされた近藤文子さんだったのでした。

近藤さんを通じて岡田先生にお願いし、今回の企画をご快諾頂いたのが今年2月、ちょうどベルリン・ドイツオペラの『薔薇の騎士』公演のため横浜に滞在されていた時でした。開催時期についてもこの時、年末にしようと決められました。今回は何よりも松本本人が楽しみにしています。なお、タイトルは岡田先生の著書から借りています。

お茶とおやつ、まずはおやつから……R・シュトラウスのバレエ音楽に『泡立ちクリーム』という作品があります。作品に登場するお菓子のインスピレーション源となったのがシュトラウスもファンだったヴィーンのデメルのお菓子。というわけで今回はデメルのお菓子です。

お花……今年もお花を川村幸子さんにお願いしました。どんな風になるかは当日までのお楽しみ。


▼岡田暁生さんからの手紙

オペラはヨーロッパで絶対王政が成立する一六○○年前後に生まれ、第一次大戦によって古き良きヨーロッパ世界が完全に姿を消してしまう一九一○年前後にその歴史的使命を終えた芸術ジャンルです。

そして一九一一年に初演されたリヒャルト・シュトラウスの<バラの騎士>は三百年近いこのオペラ史のろうそくの最後の輝きであって、その退廃と紙一重の極度の洗練は、あるエポックの最末期にだけ現われる類のものであると言えましょう。

この作品の中にはいわば「オペラ的なもの」の粋が濃縮されているのです。「オペラ的なもの」とは例えば、ある種のスノビズムであり、浪費性であり、儀礼性であり、そして何よりも「貴族的なものと庶民的なものの奇蹟的な結合」であるとお考え下さい。例えば最高級のフランス料理店では前者(貴族的なもの)は味わえても、後者(庶民的なもの)は完全に排除されています。またサッカー競技場には後者は存分にありますが、前者は望むべくもありません。しかしオペラ芸術においては、宮廷社会の格調高さと場末の芝居小屋の熱気とが完璧に溶け合うのです。

十二月二六日には、「作品解説」というよりむしろ、<バラの騎士>という作品の中に凝縮されたこの「オペラ的なもの」について色々とお話ししたいと考えています。


▼上映作品

バラの騎士 音楽のための3幕の喜劇 Rosenkavalier Komoedie fuer Musik in drei Aufzuegen

作曲:リヒャルト・シュトラウス(1864−1949) Musik: Richard Strauss
台本:フーゴー・フォン・ホーフマンスタール(1874−1929) Libretto: Hugo von Hofmansthal
作曲年代:1905−1910、主にガルミッシュで
初演:1911年1月26日 ドレースデン宮廷歌劇場

ヴェルテンベルク侯爵夫人(または元帥夫人)…… フェリシティ・ロット
レヒェナウのオックス男爵…… クルト・モル
オクタヴィアン・ロフラーノ伯爵(愛称カンカン)…… アンネ・ゾフィー・フォン・オッター
ゾフィー(ファーニナルの娘)…… バーバラ・ボニー
フォン・ファーニナル…… ゴットフリート・ホーニク
マリアンデル…… アンネ・ゾフィー・フォン・オッター
ヴァルツァッキとアンニーナ…… ハインツ・ツェドニック、アンナ・ゴンダ

オーストリア連邦劇場舞台オーケストラ/指揮:ラルフ・ホスフェルト
ヴィーン国立歌劇場合唱団・管弦楽団/指揮:カルロス・クライバー

演出:オットー・シェンクの演出に基づく

録画:1994年3月下旬、ヴィーン国立歌劇場でのライブ


▼資料

「音楽の友」99年1月号(発売中)に「もっとR・シュトラウスを!」という特集があります。104ページに岡田先生の特別寄稿が掲載されています。

「バラの騎士の夢 リヒャルト・シュトラウスとオペラの変容」 岡田暁生著、春秋社 1997年(当日会場にて販売予定)

「ばらの騎士」 津雲なつみ、YOU文庫版コミックス、集英社 1998年(最も手軽にストーリーを知ることが出来ます)

「R・シュトラウス 作曲家別名曲解説ライブラリー9」 音楽之友社 1993年

「リヒャルト・シュトラウスのオペラ」 ウィリアム・マン著、原田茂生監訳 第三文明社 1997年


▼展示作品(薔薇とR・シュトラウスでまとめてみました)

『宵咲きの薔薇』 ハンス・ベルメール、エッチング、1967年
ハンカチーフ ニードルレース(ポアン・ローズ)、19世紀ブリュッセルで製作
『R・シュトラウスの泉』(ガルミッシュ=パルテンキルヒェン)


●松本智勇(まつもと としお):

1963年長野県生まれ。長岡技術科学大学大学院修了後某写真機会社で全く関係ない医用材料(+お魚)に関わりながら現在に至る。日本セラミックス協会、フラーレン研究会、医学・生物学電子顕微鏡研究会、日本リヒャルト・シュトラウス協会会員。洋梨が大好き、今年も木之本桜のファン。WINDS GALLERYでの企画 『蝶々夫人』(96年5月)、『こうもり』(96年12月)、『ルドンをめぐる音楽』(97年12月)
共著論文 J. Biomed. Materials Res., 30, p.109, 1996., J. Biomed. Materials Res., 39(1), p.23, 1998., J. Biomed. Materials Res., 41(2), p.296, 1998., J. Dent. Res., 77(6), p.1426, 1998.


●岡田暁生(おかだ あけお):


1960年京都生まれ、大阪大学大学院博士課程単位取得退学。1991年まで、ミュンヘン大学およびフライブルク大学に留学(DAAD)。大阪大学文学部助手を経て、現在、神戸大学発達科学部助教授(西洋音楽史)。
著書 『バラの騎士の夢』(春秋社)、 共著書 『音は生きている』(勁草書房)、『キーワード事典:マーラー』(洋泉社)など
(『バラの騎士の夢』著者紹介をもとに最新記事を追加しました:松本)


それでは、12月26日(土)に吉祥寺でお会いしましょう。

川村龍俊+幸子


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