===========================================================================


                            IBSpbem 提督への道
                             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        96/11/08 きしもと


      IBSpbemは今、Royal Navyルールの導入などの試みで大きく変貌を
      遂げようとしています。ルールを選択する事で様々なゲーム展開が
      愉しめる様になるのでしょうが、逆に初心者にはとっつき難くなり
      つつあるのではという危惧がないでもありません。そこで、基本の
      IBSpbemルール内でのプレイ解説書を書いてみました。残念な事に
      私は抜群の戦績不良を誇っていますので、このガイドを元にプレイ
      するとエライ目に会うかもしれません。勘弁してね。

                              第一部 
                        【プレイ手順心得】

      この章では、プレイ時の各手順で注意すべき点に関して述べます。

1. 参加申込み

  IBSpbemにはサシ対戦を含めて様々な参加申込みのスタイルがありますが、ここ
  では通常の公募匿名スタイルのプレイでの注意点を挙げます。

1.1 本名の定義

  本名と言ってはいますが、実はなんでもいいようです。ログがやって来る時の
  「○○さん(△△グループ、プレイヤー名××)の第□□ターンの◇◇報告です」
  の○○の部分に使われているだけの文字列だと思います。

  メールアドレスを「名字@部署.組織」の様な形に和訳したものを使うのが一般
  的ですが、あまり長いのもうざったいですから同姓がいなさそうならば「名字」
  だけにしても多分かまわないでしょう。
  
1.2 プレイヤー名の決定

  プレイ内で利用する名前です。俗にいう提督名という奴です。プロットも交信も
  この名を使い、匿名性を保っています。従って「過去に使った名前」「あからさ
  まに誰か判ってしまう名前」はシステム上は問題ありませんが好ましくないでしょ
  う。

  また、米軍の田中一郎や日本軍のジョンスミスでもやはりシステム上問題はあり
  ません。でも、気分の問題と言うのはありますんで、それなりに配慮した方がい
  いでしょうね。

  私自身は参加するシナリオの陣営のどちらにいっても大丈夫な様に二つのプレイ
  ヤー名を書きます。

1.3 自己紹介

  自己紹介は、指揮順位投票の根拠とする為に書くものです。自分のIBS歴、過去
  の戦績等を書くのがよくあるパターンですが、グループ数が増えるに従って自己
  紹介がマンネリ化しつつあるのは事実です。この際です。しっかり希望を書いた
  方がいいでしょう。

  「砲撃部隊を指揮したいです」「私が総司令になれば突入します」
 
  なお、参加者名を明かす様な記述は避けましょう。司会者がチェックし連絡し修
  正するという手間がかかります。事前会議の言動や第一ターンのムーブ、全角の
  フェースマーク(笑)等でモロバレってのは事実なんですが、それはまた別の話です。

2. 指揮順位の決定
  
2.1 総司令のススメ

  あなたが総司令をやった事がないなら、是非総司令をやるべきです。え?そんな
  実力はないって?…総司令に実力がいると思っているならそれは間違いです。

  大抵総司令はシナリオで最強の砲撃力を持つ艦を指揮します。砲撃艦よりも水雷
  戦隊の指揮の方が難しいのは多くのプレイヤーの認めるところです。ベテランが
  砲撃艦を預り、あなたが水雷戦隊を指揮するよりその逆の方が大きな戦果が得ら
  れるでしょう。
  
  また、総司令の作戦指導が上手でも部下がヘボでは総司令にストレスが溜るばか
  りです。総司令がヘボでも部下が上手なら臨機応変に対応し、なんとかしてしま
  うものですし、総司令の命令を無視してよい結果をもたらすのは部下をやる楽し
  みの一つでもあります(強弁だなぁ)。

  なお、総司令をやって勝った場合、それはあなたの勝利です。大いに誇りましょ
  う。敗けた場合、それは「プレイヤー名」の敗北です。「すいません。総司令で
  した」って白状しなきゃ司会者にしか判らないっス。堂々と総司令になりましょう。
  (敗けたのに名乗りでてこない総司令には非難轟々でしょうが、あまんじましょう)

2.2 次席指揮官の選び方

  次席指揮官の役割は大変重いものです。勝っている時はあまり大した仕事はあり
  ませんが敗け戦さでは以下の様な活躍が期待されます。

  総司令が誤断した場合:
    手持ちの戦力をうまく運用して窮地を救う

  総司令が倒れた時:
    勝つ見込みがあるのなら被害を拡大させない様にし、逆転させる。
    勝てそうもなければ撤退指示を出す。

  これが次席指揮官の仕事です。最近では次席が水雷戦隊を率い、遊撃軍的な位置
  につくのが流行です。この職ばかりは一番ベテランっぽい人を選ぶ事をお勧めし
  ます。

  ま、次席の仕事は敗戦処理なわけですから、例え自陣営が敗けても「俺が損害を
  抑えた」と思えれば、それはそれで勝利に匹敵する達成感を得られると思います。

3. 事前会議

3.1 Ideaメール

  Ideaメールでは全員が以下の事を書くべきでしょう。

  ・戦力分析
  ・勝利条件をどう満たすか
  ・敵の機動の予想
  ・以上より自軍にどんな作戦があり得るか

  以上はシナリオをどう認識しているかを全員で確認する為に行います。戦力分析
  といっても細かい計算はいりません。パッと見にどういった点が有利/不利かを
  書くだけでも構いません(さすがに総司令はちゃんと分析するべきですが)。意外
  とシナリオを誤読していたのが判明したりしますし、意識合わせをしておけば通
  信が限られていてもうまく連係がとれる事もあります(といいなぁ)。総司令が思
  いつかなかった作戦を他の人が思いつく事もままありますし。
  
  通信フォーマットや割り当ては総司令に一任するしかありませんから、わざわざ
  触れるまでもないでしょう。

3.2 Discussメール

  Discussでは、総司令は特に書く事はありません。せいぜい直前の自分のIdeaの
  誤りを訂正する程度でしょう。

  その他の人は、他人のIdeaに関し、どの様な意見があるかを述べましょう。
  ここで他人の意見に賛成/反対を述べておけば、その両方の意見の得失を見て総
  司令がどの意見を採用するか決めやすくなります。

3.3 Planメール

  全員のIdea,Discussを参考に、総司令はPlanを書きます。項目は以下でいいでしょう。

  ・戦闘距離をどのくらいにするか
  ・砲撃方針
  ・第1ターンの移動
  ・編成
  ・通信フォーマット

  また、各司令の独断裁量がどこまで許されるのかを明確にしておくと有益でしょう。

  多くの場合、砲撃艦は総司令の指示にあわせ動いた方が安全です。その反対に雷
  撃艦に関しては各司令の判断で動かした方が戦果が期待できます。少なくとも魚
  雷の発射タイミングは各司令の判断にまかせるべきでしょう。

3.4 通信フォーマットの例

  総司令をやる人が楽ができる様に、ここで一般的なプロトコルを紹介しておきま
  しょう。「通信は提督への道準拠」とでも書けば少しは最終計画が楽になるかな
  という期待がありますんで。

3.4.1 通信内容

  プレイ中の通信は以下の様な内容が主です。

    ・移動プロットと同時に出すもの。
         - 前のターンの砲フェイズの戦果
         - 砲撃指示
         - 照射指示
         - 照明弾指示

    ・砲撃プロットと同時に出すもの。
         - 次の移動指示
         - 指示がなかった場合の移動予定
         - 味方から見えない位置での視認情報

3.4.2 前ターンの戦果

  戦果は以下の様に報告しましょう。

  位置+級名+船体への戦果+速力低下+MFC+主砲破壊+副砲破壊+火災+不明

  位置はヘックス番号を書きます。HH+1より東は(+3)、AA-1より西は(-2)等とHHや
  AAを省略して書くといいでしょう。

  級名は、その艦が何級であるのか特定できる文字一文字を書きます。あらかじめ
  重複のない様に最終計画で決めておきましょう。同級艦がいて区別がつかない時
  は位置を前に置きましょう。初期配置から辿れば艦名まで判る事が多いですが、
  位置+級名の方が混乱が少なく、無難です。

  船体への戦果は全角数字で、速力低下数は半角数字で書きましょう。
  #半角数字、全角数字という用語についてのツッコミは却下します。
  船体ボックスへの戦果には、破壊された主副砲への命中による戦果を含めては
  なりません。

  MFC破壊はただMと記入します。

  主砲破壊は位置により、首・央・尾と書きます。同じ位置に複数命中した場合は
  前2などと記入しましょう。

  副砲破壊は位置により、右・左と書きます。同じ位置に複数命中した場合は左2
  などと記入しましょう。

  火災は火災発生の確認回数を書きます。一回ならば火、二回以上ならば火2と書
  きます。

  不明弾は「弾種からして有効と思われる不明弾」の個数を書きます。一個ならば?
  、二回以上ならば?2と書きます。

  複数艦の報告の場合は句点で区切りましょう。

  大31M首右2炎2、(+3)-4利火

  上記は大和級に船体BOX3破壊、速力1低下、MFC、艦首主砲一基と右舷副砲2基破
  壊、火災2回確認、不明弾1発の戦果を挙げ、(HH+3)-4の利根に火災一回発生を
  見た事を意味します。

3.4.3 砲撃指示

  砲:砲撃艦名+目標名

  名称は全てユニークな一文字を決めておきます。砲撃艦名は複数指定可能です。

  砲:PR大PEシ

  上記はPowとRepulseが大和を、PerthとExeterがシェーアを狙えという場合の例
  です。

3.4.4 照射指示

  照:目標名+砲撃可否

  砲撃可否は照射艦が砲撃してよいかどうかを記します。わざわざ照射指示する以
  上は補助艦による照射指示でしょうから、特に指示がない場合は砲撃してはいけ
  ません。

  照:大利可シ

  上記は大和と利根、シェーアに照射せよ、利根への照射艦による射撃は許可する
  という場合の例です。

3.4.5 照明弾指示

  星:目標ヘックス

  目標ヘックスの表記は戦果報告に準拠します。複数ヘックスへの指示には句点を
  使い判りやすくします。

  星:(+3)-4、GG2

  上記は(HH+3)-4とGG2への照射指示です。

3.4.6 次の移動指示

  次:艦名+移動プロット

  これは上位の指揮官が伝えるものです。

3.4.7 移動予定

  次:艦名+移動プロット

  上位指揮官からの連絡がなかった場合の予定進路です。

3.4.8 味方から見えない位置での視認情報

  味方に視界外の状況を知らせるには以下の様にします。

  敵:位置+艦名
  我:位置+艦名

  敵が単縦陣を引いている場合は

  敵:先頭位置+進行方向+艦名+艦名+…

  進行方向は全角数字で記します。

  移動結果で沈没が確認された艦については

  敵:沈没位置+艦名+沈

  と表記しましょう。

4. 初期配置の確認

  プランメールが流れ、Assignで各員の搭乗艦が決まったら初期配置メールが流れ
  ます。しかしここで慌てて第1ターンの移動メールを書いてはいけません。

  各種ツールを使い、自分の艦が割り当て通りになっているか、性能はShip_DB通
  りか、シナリオ通りの位置/速度かどうかなど確認しましょう。

5. プレイ

  さあプレイです。メールを読んだり書いたりしましょう。

  凡ミスで敗けるのは悔しいですし、仲間にも相手にも申し訳ありません。
  各種ツールを活用し、凡ミスを防ぎましょう。

  最低利用したいツールはmktmplとplan_chkです。lslocatかgenmapがあると更に
  いいでしょう。機動に自信がない場合はmove_chkを使い衝突を防いでください。
  
  なにか報告に矛盾を感じたら司会者に相談しましょう。バグの疑いもあります。
  でも「なぜ敵の砲撃だけ当たるのだ!」という文句は無しね。気持ちは判ります。
  ええ、判りますとも!

  個人的には週1ターン位のペースでやると緊張感が途切れなくていいと思います。
  なお、長期間プロットを提出できない時は司会者にメールしましょう。あまり長
  い様だと代役を立てる必要があるやもしれません。

5.1 移動計画時にチェックすべき事

  移動計画で間違いがちな事は以下の通りです。

  ・RとLを取り違える
  ・最後のRとLを付け忘れる/付け過ぎる。
  ・1Rとか1LLとかを繰り返し過ぎる/繰り返し足りない。
  ・1LLの機動で後続艦の衝突が発生する。
  ・移動開始位置/方向がきちんとマップに記述されていないのに計画した。
  ・艦名を間違う。特に同型艦の単縦陣の場合。
  ・雷撃が味方に交差する。
  ・雷撃時の方向を間違い、予期せぬタイミングで魚雷を発射する。
  ・右舷と左舷を間違って雷撃し、味方の第二列に命中する。
  ・AB方向とXY方向を間違って雷撃し、後方の味方に命中する。
  ・雷撃指示は正しいが移動プロットのミスで魚雷と交差する。

5.2 砲撃計画時にチェックすべき事

  砲撃計画で間違いがちな事は以下の通りです。

  ・味方の障害艦の存在を忘れる。
  ・味方他部隊との共同砲撃で四隻以上砲撃艦が重複する。
  ・照射すべき時に照射し忘れる。
  ・中距離以上の戦いで照明弾を撃ち忘れる。

  以上は必ずチェックしましょう。

6. 最終集計

6.1 戦果報告

  この報告はどの艦に何発当たったかを誇るものではなく、次に来る勝敗宣言の得
  点算出の基礎データを提供するものです。自分の隊の戦果及び損害を書きますが、
  他隊との共同で沈めた場合は、何発命中ではなく他隊との共同戦果で撃沈と書き
  ましょう。

  自隊の損害はlstotalを利用すると簡単でしょう。

  観測された他隊の戦果は、それが全滅した他隊の戦果と思われるのならば総司令
  に知らせる必要があります。「なお、××隊の戦果で我が隊から確認できたもの
  を報告する」という形式で報告しましょう。

6.2 勝敗宣言

  総司令、あるいは最先任指揮官の最後の仕事が勝敗宣言です。戦果報告から得た
  情報と通信で得た他隊の戦果を総合し、勝敗宣言を行いましょう。

  まぁ正しい集計は司会者がやってくれるんだから「勝ったと思います」「敗けで
  すなぁ」程度でも実はいいのかもしれませんが、ログに残る最後の発言ですから
  勝因、敗因の分析をやった方が後々のためになるでしょう。
  
7. 反省

  プレイが終ったら、ログを取り寄せ、反省を行いましょう。自分のどこが良くど
  こが悪かったか、他人のプレイで見習うべき点はなにかなど…。しかるべき場所(笑)
  で他の参加者と共に語り合いましょう。なにか得るものはある筈です。

  そして…次こそは勝ちましょうね。




                              第二部 
                            【作戦編】

      この章では、作戦基礎知識について述べたいと思います。

1. 移動について

1.1 移動一般則

  どう機動すべきか?というのは非常に難しい問題です。CASE-BY-CASEな所が大き
  いですし。とりあえず私なりのセオリーを挙げてみましょう。

  第1条:右折と左折は間違うな
  第2条:自分に雷撃するな
  第3条:味方に衝突するな
  第4条:島と脱出禁止ヘックスサイドに気をつけろ

  ちょっと情けなくなってきましたが、大変重要な事です。これらを守れない様で
  は勝てる戦いにも勝てなくなります。

  第5条・最大限に移動せよ。
  第6条・敵の移動しにくい方向へ機動せよ。
  第7条・直進は2ターン以上連続させよ。
  第8条・全艦のベクトルを揃えよ

  これは移動のイニシアチブを取る為のセオリーです。とにかくこじんまりと動い
  ていると、次ターンの予想が付きやすく、あまりいい事はありません。

  第9条:去る敵は追わず、来る敵は迎えよ
  第10条:敵の一部に自軍の全部が当たる事を目指せ。
  第11条:ぶつける気持ちで行け。きっと敵が避けてくれる。

  これは有利に戦闘する為のセオリーです。ともかく敵の手にのらない事が重要だ
  と思います。

  ルールを検討し、自分なりにいろいろ試して自分の戦い方を見付けましょう。

1.2 衝突

  艦の進路が交差した時、回避に失敗する可能性は33%です。この時の損害は魚雷
  の損害判定表を利用して判定します。大型艦にぶつかられた小型艦の方に厳しい
  修正が与えられるので、駆逐艦は下手をすると沈んでしまう可能性があります。
  また、魚雷の判定表の結果はかなりバラツキがあるので大型艦の方が大きな損害
  を被る可能性もあります。

2. 雷撃

2.1 魚雷の命中率

  以下が「一発以上命中確率」です。側面の場合、2発命中する事もあります。遠
  距離にならないと日本魚雷の命中率の違いはないのですが、そんな距離じゃそも
  そも狙って交差させるのも難しいでしょう。ですから省略します。

  米軍MK15以外の魚雷:
     速力   │  4以上  │    3    │    2    │  1〜0  │
    入射角  │側面│前後│側面│前後│側面│前後│側面│前後│
  ─────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼
  距離1〜2│ 72%│ 42%│ 83%│ 58%│ 91%│ 72%│ 97%│ 91%│
  距離3〜4│ 42%│ 17%│ 58%│ 28%│ 72%│ 42%│ 91%│ 72%│
  距離5〜6│ 17%│  3%│ 28%│  8%│ 42%│ 17%│ 72%│ 42%│
  距離7〜10│  8%│  3%│ 17%│  3%│ 28%│  8%│ 58%│  8%│

  敵魚雷と交差しそうな場合、艦首尾方向に当たるようにしむければ、被雷確率を
  30%程度落す事ができるのが判ります。

  米軍MK15魚雷:
     速力   │  4以上  │    3    │    2    │  1〜0  │
    入射角  │側面│前後│側面│前後│側面│前後│側面│前後│
  ─────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼
  距離1〜2│ 42%│ 17%│ 58%│ 28%│ 72%│ 42%│ 91%│ 72%│
  距離3〜4│ 17%│  3%│ 28%│  8%│ 42%│ 17%│ 72%│ 42%│
  距離5〜6│  3%│  3%│  8%│  3%│ 17%│  3%│ 42%│ 17%│
  距離7〜10│  3%│  3%│  3%│  3%│  8%│  3%│  8%│  8%│

  米軍MK15魚雷はよほどの運が無いと当てるのは難しいでしょう。

  また、英軍魚雷は軒並低速力の為、命中率以前に交差させるのに苦労します。

2.2 魚雷の移動

  IBSpbemでは、移動中の雷撃が許されています。しかし艦の移動した分魚雷も移
  動している事になるので(一ターンは8移動力分に時分割されているとみなすべし)
  撃つ位置、交差までの疾走距離が変わるだけで、一ターンに魚雷が移動できる範
  囲は艦の移動開始位置を起点に魚雷の最大速度分のヘックスの範囲を超える事は
  ありません。

  一ターン以内に魚雷を届かせられる範囲(艦速6、雷速8):▲
                そのうち疾走距離2で届かせられる範囲:■

     □□□□□□□□□□□□□□□□□□□
    □□□□□□▲▲□□□□□▲▲□□□□
     □□□□□■■■▲■■■▲▲□□□□□
    □□□□□■■■■■■■■▲□□□□□
     □□□□■■■■■■■■■□□□□□□
    □□□□■■■■■■■■■■□□□□□
     □□□■■■■■■■■■■■□□□□□
    □□□■■■■■■■■■■■■□□□□
     □□■■■■■■■■■■■■■▲□□□
    □□■■■■■■■■←■■■■▲▲□□
     □□■■■■■■■■■■■■■▲□□□
    □□□■■■■■■■■■■■■□□□□
     □□□■■■■■■■■■■■□□□□□
    □□□□■■■■■■■■■■□□□□□
     □□□□■■■■■■■■■□□□□□□
    □□□□□■■■■■■■■▲□□□□□
     □□□□□■■■▲■■■▲▲□□□□□
    □□□□□□▲▲□□□□□▲▲□□□□
     □□□□□□□□□□□□□□□□□□□

  上記範囲より外にいる艦への雷撃がこのターン中に交差する事は絶対にありません。
  次のターンに大変針あるいは大移動されてしまうと魚雷を交差できませんから、
  魚雷を8ヘックス以遠の距離から撃つのは、撃つ側にとってかなりの賭けにな
  ります。

2.3 敵艦の移動

  敵が比較的素直なら(笑)各移動シークエンス中には以下の様な位置にいる
  可能性が高いと思われます。

     □□□66666□□□
    □□□655556□□
     □□6544456□□
    □□65433456□
     □65432□56□□
    □65432106□□
     □65432□56□□
    □□65433456□
     □□6544456□□
    □□□655556□□
     □□□66666□□□

  自分の雷撃がどの移動力で交差するか計算し、上記の想定位置をなめる様に魚雷
  の射線を引きましょう。
  
  敵が最大限に移動した場合、その可動範囲は

     □□□66666□□□
    □□□655556□□
     □□6544456□□
    □□65433456□
     □654323456□
    □654321056□□
     □654323456□
    □□65433456□
     □□6544456□□
    □□□655556□□
     □□□66666□□□

  という事になります。

  0移動MFを使用した艦の移動範囲 1HEX
  1移動MFを使用した艦の移動範囲 2HEX
  2移動MFを使用した艦の移動範囲 5HEX
  3移動MFを使用した艦の移動範囲 14HEX
  4移動MFを使用した艦の移動範囲 29HEX
  5移動MFを使用した艦の移動範囲 51HEX
  6移動MFを使用した艦の移動範囲 79HEX

  ですので、なるべく移動力の低下した艦か、移動力を発揮する前の序盤に交差で
  きる様に接近しない限り、魚雷を交差させる為の予想が難かしい事がわかります。

2.4 雷撃方法

  雷撃方法は以下の四つだと思います。

  近付いて撃つ/逃げつつ撃つ/迎え撃つ/遠くから撃つ

  これらについて説明しましょう。

2.4.1 近付いて撃つ…肉薄雷撃

  敵に突入して魚雷を撃ち、交差を狙う雷撃法です。充分近寄れれば交差率/命中
  率は高いのですが、駆逐隊だけで突入すれば各個撃破の浮き目にあう事は必至で
  す。砲撃隊と水雷隊が協調して突入する事で敵にプレッシャーを掛け、どちらか
  が被害担当になってもう一隊に戦果を挙げさせるのが基本でしょう。ですから砲
  撃隊との連係が鍵になるでしょう。

  対策ですが、肉薄雷撃は肉薄させなければ問題がありません。距離を保つ様にし
  ましょう。逃げ戦術(後述)が大変有効です。

  せっかく突入して、ドンピシャで魚雷が交差しても命中しなければなにも意味は
  ありません。突入時に数ターン敵の砲火に晒されるリスクを考えると米MK15魚雷
  装備艦は肉薄雷撃を行なうべきではないでしょう。

2.4.2 逃げつつ撃つ…置き逃げ

  敵の追撃に対し、魚雷を放ちつつ逃げる戦法です。逃げ戦術に併用すると効果的
  ですが、逃げる側の雷撃力は普通貧弱です。移動開始時に雷撃し、非交戦側に移
  動し続ければ、移動終了時に敵の砲火に晒されるリスクも少ないでしょう。別名
  保険ともいいます。

2.4.3 迎え撃つ…迎撃

  突入してくる敵の動きを読み、こちらも接近して雷撃する戦法です。一気に
  10HEX距離が縮まる事もざらですから、敵の砲火にさらされる時間は最小です。

  しかけるタイミングは突入する側の最大進出範囲が自分の水雷戦隊の最大進出範
  囲にぎりぎり触れそうなターンです。

  しかける前に逃げの姿勢を見せると、相手は最大限接近する為に単調に追ってく
  る事が多いので、それをうまく利用しましょう。

  日本軍水雷戦隊に向かって突入する相手はあまりいない為、普通は逃げつつある
  米軍が使用する戦法です。問題はMK15魚雷の命中率の低さだったりします。

2.4.4 遠くから撃つ…遠距離雷撃

  交差する事自体少なく、交差しても数%の命中率しかないのが遠距離雷撃です。

  普通は肉薄できなくてヤケクソになった時/他に武器が無い時/近付くと沈みそ
  うな時や、ゲーム終了間際に「使っちゃえ」とばかりに行われる事が多い雷撃法
  です。戦果を得るという点ではほとんど無意味ですが、発射管被弾時の損害軽減
  (1%の可能性で火災発生をふせげる程度ですが)を目的に魚雷を捨てるという意
  義はあるかもしれません。少しでも交差させる為、弾幕を張る様に魚雷を撃つの
  が普通です。

2.5 魚雷の威力

  不発、船体1程度から轟沈まで、かなり戦果に幅があります。

  駆逐艦はまず沈む、巡洋艦には船体4程度、巡戦には船体3、戦艦には船体1か2程
  度が行くと思っておけばいいのではないでしょうか。

3.砲撃について

3.1 砲撃の基本命中率

  一般に火力が大きいと命中率は良くなり、命中弾数も増えます。しかし命中率の
  方は火力が大きくても頭うちがあり、中距離縦射なしの場合、命中率は3割程度
  でしかありません。しかしながら、どんな距離と火力でも約3%の確率で一発命
  中になります。

  また、同一ヘックスの相手には必ず一発命中ですので、砲塔一基だけ向けて残り
  は他の目標に廻した方がお得です。

3.2 砲撃の戦果

  同程度の艦同士で撃ちあった場合、命中弾一発がどこへ被害をもたらすかは
  以下の様になります。

        貫通できる場合│できない場合
  ──────────┼──────
  艦橋への被害   1.2%│ 0.6%
  船体への被害  47.8%│20.6% 
    轟沈(舷側)   0.6%│ 無し
  舵関係(舷側)   1.9%│ 0.6%
    主砲塔破壊  25.6%│17.3%
    副砲塔破壊  17.3%│ 6.2%

         水上機有り│無し
   ────────┼──
    火災発生率 7%│4%
  
    MFC破壊:常に6%

  意外に舵関係の破壊率が低い事が判ります。その割にやたらと船が旋回してい
  る様な気がするのですが…。

3.2 無駄弾丸率

3.2.1 装甲による無駄弾丸

  同級艦の撃ち合いの場合:

                       │ 無駄弾丸率
 ───────────┼──────
  全装甲が貫通できる   │ 3% 
  主砲装甲だけ貫通不能 │ 12% 
  舷側装甲だけ貫通不能 │ 25% 
  主砲舷側装甲貫通不能 │ 33% 
  全装甲貫通不能       │ 45% 

装甲があっても主砲が潰れ船体が削られるIBSですが、やはり装甲がないよりはずっ
とマシな結果が待っていますね。

3.2.2 艦種による無駄弾丸

  小口径砲で大型艦を撃つ場合、あるいは戦艦で駆逐艦を撃つ場合、無条件で不発
  弾が発生します。これと貫通不能によるものを総合した無駄弾丸の発生率は以下
  の通りです。

                       │無駄弾丸率
 ───────────┼───────────────────────
  7.5〜8インチで戦艦   │ 50%        (全装甲貫通不能の場合)
  5.25〜6.1インチで戦艦│ 67%        (全装甲貫通不能の場合)
  3〜5.1インチで戦艦   │ 75%        (全装甲貫通不能の場合)
  3〜5.1インチで巡洋艦 │ 11% / 20%(全装甲貫通可能/不能の場合)
  11インチ以上で駆逐艦 │ 25%        (全装甲貫通可能の場合)

  副砲の無い艦はなんと副砲への損害を無視できます。この為駆逐艦に対しての砲
  撃は16%が自動的に不発扱いになってしまいます。上記の表の「11インチ以上で」
  の無駄弾丸はそれを反映しています。

  日独5inch砲は火災発生率が6%高い代わりに一切貫通力を持ちません。装甲が
  1インチでもあれば被害は激減するでしょう。

3.3 不明弾の効果

  戦闘に混沌をもたらす大きな要因、それは効果不明弾です。ここでは、不明弾の
  効果が重要な戦艦対戦艦の場合で一発の効果不明弾の期待値を算出してみましょう。

  本当は発射管の有無、浮力なども重要なファクターになるのですが、話を単純に
  する為に浮力Fで発射管も水上機もある戦艦を例に(そりゃ金剛ですがな)、舷側
  を貫通できる場合とできない場合だけ考えてみます。その他の装甲は必ず貫通と
  します。

           貫通できる場合│できない場合
           ───────┼───────
            轟沈    2.4%│ 無し
  船体あるいは砲     52%│ 15% (船体ボックス期待値は2.4│1.1)
            火災     20%│ 20%
          操舵系     12%│ 7%
            無効     11%│ 53% 

   経験則である「効果不明弾は船体ボックス2換算」はなかなかいいところをついて
   いますね。やはり舷側装甲貫通が重要な事がお判りいただけたでしょうか?

3.4 縦射とT字、ハの字機動

3.4.1 縦射

  IBSでは敵を艦首尾方向から撃つと命中判定が有利になります。これが縦射です。

  ↑
  我        ←敵

  この命中判定への修正は数値としては結構大きいのですが、それよりも大きなメ
  リットがあります。それは、敵がこちらに指向できる火力が減るという事です。
  (ダンケルク級の頭を抑えた時とかは別ですが)

  しかし、個艦レベルでの縦射は、隊列を乱して後のターンの機動を難しくしてま
  でする程のメリットはないと思います。

3.4.2 T字

  敵の単縦陣の艦首尾方向へ廻りこむ、これがT字です。

  ↑
  我
  我        ←敵敵敵
  我

  こちらは敵単縦陣を全火力で攻撃できるのに対し、敵は障害艦の為に先頭艦の、
  それも前面射界に面した砲しか使用できません。相手の火力をほとんど発揮させ
  ないという点でT字は大いにメリットがあります。

3.4.3 ハの字機動

  敵がどちらを向こうともどちらかがT字を常にとる態勢、それが通称「ハの字」
  と呼ばれる半包囲態勢です。

  ↑
  我        ←敵敵敵
  我
      我我→

  しかし、一般にいわれている程「ハの字」にメリットはあるのでしょうか?
  
  確かに一隊は敵にT字を引けるかもしれません。しかしもう一方は引けません。
  すると、そのもう一方へ敵は火力を指向できる為、敵に火力発揮させないという
  T字のメリットの大部分は消えてしまいます。それでも常に敵にT字をとりたい
  ならば相手の機動を確実に読み、Tの横棒を引ける隊を接近させ、引けない部隊
  を逃すといった高度な指揮が必要でしょう。
  
  また、二隊が離れて行く様なベクトルを持つハの字は相互支援が難しく、各個撃
  破されてしまいがちです。

  ↑
  我       .......
  我      .
  .       . 
  .        ...敵敵敵→
  .        .... 我我→

  必要に応じて各隊を反転させて相互支援できる距離を維持する「くの字」や「レ
  の字」を交互に使う方が安全です。ただし、これらの体勢は維持するのがなかな
  か難しいという点を覚えておくべきでしょう。

  ↑
  我        ←敵敵敵... 
  我
   . ←我我...
   .

3.5 障害艦

  障害艦に射撃が指向する確率は16.6%です。その後本来の目標に対する修正で命
  中判定を行って結果を適用するので、近接戦で味方を障害艦にするのは極めて危
  険な結果になりかねません。

4. 戦闘距離

  敵との距離は総命中数≒(戦果+損害)に大きく影響します。基本的には近寄れば
  近寄る程損害も戦果も大きくなります。
  
  大抵のシナリオでは撃沈できなかった艦の船体ボックスは0.5点とみなされます。
  ですから、艦は撃沈しないと大きな得点を得られません。大破と撃沈では全然違
  うのです。どの距離で最終ターンまで戦えば、どの程度の艦が沈むのかを把握し
  ておくのは重要です。

  自分はどの面で敵に優越しているか、どのぐらいの距離をとればどの位の損害と
  戦果を得る事ができるか、そして現状でどの程度の戦果/損害を被っているかを
  考えて間合いを変えるのが本当にうまい機動だと思います。
  
4.1 遠距離戦「駆逐艦の沈む距離」

  16HEX以上の距離で、大抵のシナリオではどう機動しても視界外になるこの距離
  を遠距離と定義しましょう。

  実はこの距離の基本命中率は次に述べる中距離とそれほど変わりません。しかし、

  ・視界から外れる事による射撃機会減少
  ・照明弾発射による火力の低下
  ・照射や縦射等による修正が考えにくい
  ・貫通力の低下

  等の理由から戦艦の火力でもあまり戦果は期待できません。当たればそれなりに
  命中数がでる事もありますが、この距離で撃ち合っても戦艦は沈む程のダメージ
  は与えられないでしょう。巡洋艦さえ沈めるのは難かしいと思います。そこでこ
  の距離では双方が全力で相手の駆逐艦を沈めるという展開になりがちです。

  さらに、これだけ離れると魚雷はさっぱり出番がありません。この距離での戦闘
  は火力と数こそがモノを言います。対駆逐艦には下手な戦艦一隻より、防空巡洋
  艦三隻の方が命中判定回数分有利だと思います。

4.2 中距離戦「巡洋艦の沈む距離」

  6HEXから15HEXの距離、大抵のシナリオでの視界縁付近、機動によっては視界外
  に移動する事もできるこの距離を中距離としましょう。
  
  この距離では相手の火力がそれなりに脅威である為、砲塔潰しを狙い互いに同ク
  ラスの相手を砲撃する事が多くなります。戦艦は装甲と船体によりなかなか沈ま
  ないでしょうし駆逐艦は火力が小さくなかなか相手を沈める事ができないでしょ
  う。しかし巡洋艦には装甲も船体もなく、火力だけはそれなりにあるので沈みや
  すいのがこの距離の特徴です。

  この距離は「視界と星弾を利用して一方的なアウトレンジ」とか「駆逐艦を温存
  して敵主力艦が損害を受けたら一気に突入」「駆逐艦を前に出して照射」等の豊
  富な選択が可能な距離です。強いプレイヤーは例外無く中距離戦指向なの頷けま
  す。この距離は速力に問題がなければ逃げる事さえできますが、一つ間違えると
  接近しすぎたり離れすぎたりするので、維持するのが大変な、読みと熟練した技
  がモノをいう距離でもあります。

  なお、この距離は日米の魚雷の性能差がもっとも効いてくる距離でもあります。
  照射距離や視界ボーナスを考えると日本が有利な距離といえるでしょう。

4.3 近距離戦「戦艦の沈む距離」

  5HEX以下の距離、大抵のシナリオではどう機動しても視界外に逃れられないこ
  の距離を近距離としましょう。
  
  この距離では縦射/T字/雷撃の機会はもっとも大きくなります。そしてT字な
  どで一方的に撃たれたら致命傷になりかねません。さらにこの距離では一旦大破
  した艦は逃げ様がありません。この距離ならば戦艦を沈めるのに三ターンはいら
  ないでしょう。

  衝突の危険性、被害が大きい事による次ターンの移動の予想のしにくさから、多
  人数戦闘は非常に困難なです。それだけに各司令官の協調が確立できれば圧倒的
  な勝利を得る事ができるかもしれません(保証はしませんが)。

4.4 第1ターンの機動

  もし第1ターンの移動結果を見て、こちらが敵に接近/退避しようとしているの
  が敵の気にいらなかった場合、敵はその移動を阻む方向に移動する筈です。第2
  ターン以降に戦闘距離を変えるのが難かしいのはこの為です。つまり第1ターン
  の機動がその後の戦闘距離を決めるのです。

  多くのシナリオは大変使い難い初期配置から開始します。そのため第1ターンに
  整列機動を行なう事が一般的です。そこで、第1ターンに隊列を整理せずに全力
  移動すれば、整列移動する相手に対し一気に距離を詰め/離れる事ができる筈で
  しょう。中距離戦指向でない場合はお勧めです。


5. 戦術紹介

5.1 逃げ戦術

  火力に勝る側が非交戦側に逃げ続け、戦闘距離を維持しつつ追跡側が突出させた
  駆逐艦を各個撃破するのが逃げ戦術です。
  
  この戦術は

  ・全体に命中数が少ないのでリスク管理がしやすい
  ・逃げ側の意図を妨害する手段を追跡側が持たない
  ・追跡側が全力で追跡してさえ逃走側の想像を超えた機動にはならない

  事で、逃走側が常にイニシアチブを持つ事ができます。欠点は総得点が低い為
 「運命の一発」に弱い程度でしょうか。

  これに対応する特効薬はありません。とりあえずは追跡側は狙われる駆逐艦を非
  交戦側に逃し、主力艦主体で戦えばよいと思われます。遠距離戦では駆逐艦は被
  害を受けるばかりで大した役には立ちません。せいぜい照明弾でも撃たせておけ
  ばいいでしょう。とにかく敵の手にのらない事が肝要かと思われます。

5.2 アウトレンジ

  照明弾を撃ち上げて敵視界外に脱出し、一方的に敵を叩くという戦法です。
  
  こちらは射撃し放題なのに対し、敵はせいぜい閃光に撃ち込む事しかできません
  ので、一方的な砲撃が行なえます。日本軍は照射範囲が2ヘックス大きいですの
  で、照射の分もアウトレンジできる事があります。

  しかし、次のターンには敵は必ず照明弾を撃って来ますので、アウトレンジが維
  持できるのはその一ターンだけでしょう。中遠距離で一ターン優位を得る程度で
  は勝ちに結び付く程の戦果が得られたりはしませんが、精神的な優位で相手のミ
  スを誘発できるかもしれません。

  逆に「次ターンのアウトレンジは成立しない」と考えて照明弾で火力を浪費せず、
  次の移動で照明のいらない位置まで突入するのも面白いでしょう。

5.3 二段攻撃

  砲撃隊の前に水雷戦隊を置き、水雷戦隊で敵を照射して優位を得る戦法です。

    照射範囲
     +------>
         <------>
    我   我     敵
    主   水     主
    力   雷     力

  「水雷戦隊は照射できるが砲撃隊は照射されない距離」でないと意味がない為、
  必然的に中遠距離戦での戦法になります。照射により砲撃に多少有利な修正が得
  られる点は評価できますが、所詮中遠距離戦では主力は沈み難い為、照射艦を狙
  い撃ちされるのに弱いという欠点があります。

  しかしながら、前衛の水雷隊で敵の魚雷攻撃を探知するといういささか非人道な
  防御法ができる点で有利と思われます。

5.4 巴戦

  反航する艦隊同士が相手の艦尾方向から縦射しようとぐるぐる廻る状態。

            ....
       ↑       .
       我       敵
        .       ↓
         ....

  移動によって相手の艦尾を捉えられる位置にいる必要がありますから中近距離で
  おきる事があります。

  実はあまりメリットがありません。敵が接近戦を望んでいた場合、

        ←敵''.
            ..
       ↑
       我
        .
         ....

  等と容易に頭を抑えられる事もありますし、置き逃げ雷撃にも弱いです。戦術と
  いうより、たまたまそうなった状態と言うのが正確なところでしょうか。

5.5 全力分射

  不利な修正を被る代わり、命中判定回数を増やすのが分射です。IBSでは接近す
  るなどして有利な修正をいくら得ても、砲撃の最大命中数は火力によって決まって
  しまっています。また、火力が倍あれば最大命中数も倍というわけではないので、
  小火力で分射することで最大命中数を向上させる事が出来ます。命中率の高い近
  接戦ではなかなかの効力を発揮します。何隻へ分射しても修正に違いはないので、
  できるだけ三艦へ分射するのがお得です。

  特に火力7程度の小火力艦では、全弾最大命中でも2発しか命中しないのに対し、
  分射すれば6発の戦果を得られる可能性があります。三艦以上の共同攻撃を行な
  えば、2発の命中では沈まない艦も6発の命中で沈むかもしれません。それだけの
  価値はあると思います。

  以下に実際の期待値を挙げてみましょう。これらは三隻の艦で三隻の敵を狙った
  場合の命中弾合計の期待値です。()内の数字は最大命中数です。
  但し速度低下、炎上等なしとします。


                                  │ 距離6〜9 │ 距離3〜5 │ 距離 2
  ────────────────┼─────┼─────┼─────
  1対1砲撃3組 火力7         照射有│  2.3(6)  │  3.3(6)  │  4.1(6)
  1対3砲撃3組 火力2+2+3     照射無│  0.3(9)  │  2.7(18) │  4.1(18)

                                  │ 距離6〜9 │ 距離3〜5 │ 距離 2
  ────────────────┼─────┼─────┼─────
  1対1砲撃3組 火力64        照射有│  8.0(18) │ 11.1(18) │ 12.7(18)
  1対3砲撃3組 火力12+26+26  照射無│  4.3(24) │ 10.2(39) │ 13.4(39)

  但し
    1対1砲撃3組:            1対3砲撃3組:
      艦A→艦アに砲撃         艦A→艦ア/艦イ/艦ウへ砲撃
      艦B→艦イに砲撃         艦B→艦ア/艦イ/艦ウへ砲撃
      艦C→艦ウに砲撃         艦C→艦ア/艦イ/艦ウへ砲撃

  距離が6ヘックス以上の分射は絶対に避けるべきでしょう。距離が2ヘックス以下
  ならばやった方が断然お得です。もっとも多対多の戦闘で2HEX以下の距離になる
  機会はかなり少ないでしょうが。

  なお、照射専用艦を別に置けば期待値はかなり向上します。組織的に運用すれば、
  序盤に一気に差を付ける事も可能かもしれません。

6 経験則

  特に内容/順は問わず、IBSで得た経験則を羅列してみました。意味は自分で考
  えてください。

  ・マッピングが間違っているといかなる配慮も無に帰す。
  ・正反対方向に分かれた二隊はまともに合流できなくなる。
  ・あえて縦射されても艦首を敵に向けるべき時がある。
  ・両軍が予期せず離れ過ぎた場合、次ターンは予期せぬ接近戦になる。
  ・二ターン以上連続して同じ方向に動けば、敵も同じ方向につられる。
  ・単縦陣の構成艦の最低速度が単縦陣の長さを規定する。
  ・美しい機動は勝てる機動とは別のようである。
  ・集団での乱戦はその覚悟ができている方が勝つ。
  ・移動する前に考えよ。「残りターンその船は生き残るかな?」
  ・撃つ前に考えよ。「残りターンでその船は沈むかな?」
  ・味方艦が沈まない事は敵艦撃沈に匹敵する戦果である。
  ・戦艦と水雷隊に分かれたハの字に縦射されるなら、水雷隊に縦射されよ。
  ・どの艦がどこに何回射撃しているか数えれば、主副砲の破損状態がある程度判る
  ・戦艦が駆逐艦を一回しか射撃していない場合は主砲が使えない状態である。
  ・同艦種からの不明弾は船体ボックス2換算しておくと敵の窮状が大体理解できる。
  ・序盤に打撃を与えた艦を狙い続けるべし。敵が救おうとして接近戦になる
  ・近くの艦を確実に沈め得点で勝てば、敵はより大型艦を狙わざるを得なくなる。
  ・序盤に砲塔/MFCが潰せたらその艦の脅威は激減している。他の脅威艦を狙え。
  ・最初は1対1で砲撃せよ。この砲撃で傷ついた艦を集中射すべし。
  ・連続2ターン以上の優位を得られないならばその作戦は間違っている。
  ・砲撃分担/照射指示/照明弾位置は総司令が指示すべし。
  ・総司令の艦が大打撃を受けた場合、直前の総司令の指示通りにしてはならない。
  ・総司令の艦は必ず大打撃を受ける。その時の権限委譲も作戦にいれるべし。
  ・副司令にもレーダーを与えよ。
  ・魚雷発射指示を総司令が行なうと、一ターン遅れるので雷撃機会は無くなる。
  ・魚雷では戦艦は沈まない。魚雷は対巡洋艦の武器と考えよ。
  ・敵は全力で最遠方に逃げる。そこを射線に納めよ。
  ・こちらが突入する時、六ヘクス先の駆逐艦は三ヘクス先の駆逐艦より恐い。
  ・駆逐艦に魚雷はもったいないが、米英の魚雷ならばいたしかたない。
  ・魚雷の恐い距離での戦艦主砲はもっと恐い。

7. 終りに

  戦うなら勝ちを目指す。これが基本です。しかし勝負はやはり運というところも
  あります。ですからただ勝つだけではなく自分なりの理想の勝ち方を追い求めて
  みましょう。うまく勝てれば「勝った喜び」に「達成感」が加わり、嬉しさも一
  層…なんじゃないかと思うんですよ、よくわかんないんですがね。
  
  とりとめない文章で申し訳ないですが、IBSの覚書はこれでおしまいです。それ
  ではみなさんのIBSライフが楽しくありますように。また、どこかの海でお逢い
  しましょう。

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