世界遺産ビブロス

 ベイルートの北約40kmの地中海沿いにジュバイルという町があります。ジュバイルはかつてはビブロスと呼ばれたフェニキア人の拠点都市でした。
 ビブロスは、人間がすみ続けてきた世界で最も古い都市の一つです。バイブル(聖書:Bible)の語原になったのがこの町だそうです。 ビブロスに人が住み着くようになったのは、約7000年前と考えられています。紀元前3500年ごろと考えられている住居跡が発掘されていますが、これは世界最古とされるパレスチナのエリコについで古いものです。

 ビブロスの遺跡は、現在のジュバイルの町の南側に広がっています。
遺跡は、三つの部分に別れています。一つは、紀元前13世紀以前の広大な都市遺跡、そしてローマ時代の劇場跡などの残っている区域、さらに12世紀ごろの十字軍の要塞です。都市跡には、かなり深いマイマイ井戸があります。この井戸を中心に町が形作られたのでしょう。また、神殿跡と考えられているところには、高さ2〜3mのオベリスクが数十体残っています。

 私が訪れたときは、観光客はまばらで、遺跡の管理人も入り口に兵士が一人のんびりと椅子に腰掛けているだけでした。要塞やローマ遺跡については保存状態はよいと感じられましたが、都市遺跡の方は、城壁や神殿をのぞいて草がおいしげり、管理が大変であることが伺われました。未発掘のところもかなりありそうです。