これは、究極のブレードランナー本である "FUTURE NOIR: THE MAKING OF BLADE RUNNER" について、ブレラン研究の大家 Kolb 氏が、 BLADE RUNNER FAQ の編者 Murray 氏へ送ったメッセージです。 Kolb 氏の了解を得て、きむ らかずしが翻訳しました。
Murray 様 (注1)
知ってのとおり、私は Paul Sammon の新刊 "FUTURE NOIR: THE MAKING OF BLADE RUNNER" (注2) の出版を熱烈に待ちわびてきた。 "Video Watchdog" (Nov-Dec 1993) (注3) において、その執筆が進行中だとほのめかされて以来、 ずっと待っていたのだ。 Paul は、1995 年のリリースを計画していたらしい が、彼の持つ全てをその本に詰め込むために、もう 1 年を費やすこととなっ た。だが待つのはもう終わりだ: Harper-Collins 社は、 7 月のリリースと、 その月の San Diego Comic Convention でのサイン会を計画しており、 9 月 には Los Angeles での WorldCon でもサイン会が予定されている。 Paul は、 1,400 ページの原稿を出版社に渡したと言った。それは、移動式カメラを押 す係 (注4) から監督に至るまで、全ての関係者に対する 200 時間以上のイン タビュー・テープを基にしたものだ。原稿の 400 ページは削除しなければなら なくなったが、それでもその本には、まだ約 500 ページと、100 枚近くの白黒 写真 -- そのいくつかは初公開である -- がある。付録が 8 つ付くことになっ ているが、これは、サウンドトラックやこの映画の異なった複数のバージョン のことなどを含んでいる。 Paul は私に、この本は映画の製作に関する全ての 疑問にズバリ答えているだろうと言った -- 私の疑問でさえも (注5) 。 「あなたは我々に、ユニコーンのシーンは『レジェンド』から取られたものか どうかや、デッカードはレプリカントかどうかを教えてくれると思っていいん すか?」はい。「バンゲリスがサウンドトラックをリリースするまでにとても 長くかかった理由については??」はい。「そうですか。では、ハリソン・フ ォードはこの映画のことを*本当は*どう思っていたかも教えてくれるのです か?」もちろん。「それでは、スコット監督がスタジオ側からの圧力に屈伏し た理由も?!?」はい。(私はヤケになってきた)「『生きている写真』 (注6) はどこで撮影され、あの母娘は誰なのかを教えてくれますか?!?」はい。
私はここまで質問して降参することにしたが、この会話を通して、私は Paul が単なるライターではないことに気付いた。彼は映画の撮影中にスタジオをう ろつき回っていたのだ。彼はスニーク・レビューにも、オープニングにもいた。 彼は、映画の結末のつけかたに混乱し、そして同時に、のがれられないほどに 惹かれたのだ。彼はこの映画について書いた。この映画に関係がある全てのも のを集めた。そして、この究極の本を準備するのに、最後の 2 年を費やした のだ。一言でいえば、彼はとりつかれたのだ、私と同じように。 Paul による と、私がかつて、この映画について聞いてきた噂の多くは事実に反し、一度も -- 今日まで -- 語られていない事実が沢山あるということだ。最も熱烈なフ ァンであっても、この本に新しいネタを沢山発見することになるだろうと、彼 は断言した。ともあれ、その価格は 16 ドル前後になるだろう。私は 7 月が 待ちきれない!
Bill Kolb
この文章の背景的知識については、映画自身とブレードランナー FAQ を参照
のこと。