------ MacWeb ------ インターネットブームのきっかけとなったのが,キラーアプリケーションとの 異名をとる「モザイク( Mosaic )」の登場です。 Mosaic は正確に言うと, World Wide Web サーバに対するクライアント(情報の受け手)プログラムの1 つでしかありません。World Wide Web ( WWW )はテキストから画像,サウン ドまで様々な情報をハイパーテキストと呼ばれる方式で統一的に提供するもの で、ユーザはマウス操作だけで自分が興味を持った事柄についての情報を引き 出すことができます。この WWW にアクセスしてまず表示されるのが、「ホーム ページ」と呼ばれる画面で、これは本の表紙と目次を一つにしたようなもので す。目次から1項目をマウスで選ぶと、そのページにジャンプします。この 「リンク」(つながり)は、テキストや画像だけでなく、別の WWW サーバへ 張っておくこともできます。 マックで使える WWW クライアントとしては,NCSA Mosaic,MacWeb,Netscape 等があり,それぞれフリーウェアやシェアウェアとしてオンラインで入手でき ます.ただし, WWW においても日本語の漢字コードはいわゆる JIS コードが 使われているのですが,それを変換して表示できるクライアントはありません. ここで紹介する MacWeb は,初期設定を変更すれば Shift JIS で書かれたデー タならそのまま表示できるようになります. JIS から Shift JIS へ漢字コー ドを変換してくれる Proxy サーバを利用する方法は,別途説明します. お勉強 ------ WWW クライアントの説明に入る前に, WWW に関連する専門用語について勉強し ておきましょう. HTTP: HyperText Transfer Protocol WWW サーバと WWW クライアントの間で通信を行うためのプロトコル(通信手 順)を HTTP と呼びます.リモートログインの TELNET や,ファイル転送の FTP 等もインターネット上のプロトコルの名前です.プロトコルには,それぞれ ポート番号と呼ばれる番号が割り当てられています. HTTP のポート番号はデ フォルトで 80 番と決まっています. HTML: HyperText Markup Language ハイパーテキストを記述するためのコンピュータ言語の一種です. WWW サーバ に置いてある,拡張子 html のファイルは HTML で記述されています.テキス トとその表示形式や,テキストといっしょに表示される「インラインイメージ」 の指定,そしてハイパーテキストの特徴である,リンク(ジャンプ先)を表現 できます. URL: Uniform Resource Locator WWW クライアントでは, WWW サーバ以外にも, Gopher サーバや anonymous FTP サーバなど,従来から存在するインターネット上の各種サービス(リソー ス) にもアクセスすることができます.そこで全てのリソースを統一的に示す 方法として URL が生まれました.URL は次のように記述します. プロトコル名://ホスト名:ポート番号/ディレクトリ名/ファイル名 プロトコル名,ホスト名は通常小文字で指定します. プロトコル名は, http はもちろん, gopher , ftp 等が指定できます. ポート番号は,プロトコルごとにデフォルトで決まっているので省略できます. 各サーバ内のディレクトリパスを指定するときは, UNIX シス テムでのディレクトリの区切りを示す, / 記号を使います. ディレクトリ名,ファイル名は,大文字,小文字の区別がある 場合がほとんどですから注意してください. 以下に主な URL の記述例を示します. http://www.ntt.jp/ WWW サーバへ http://xxx.xxx.xx.jp:9080/ WWW サーバ(ポートを指定)へ gopher://gopher.xxx.xx.jp/ Gopher サーバへ ftp://ftp.iij.ad.jp/pub/ anonymous FTP サーバへ file:///disk/WWW/index.html ハードディスク内のファイルへ news:comp.sys.mac.digest ネットニュースを読む mailto:taro@xxx.xx.jp 電子メールを出す ハードディスクのファイルにアクセスするときは,ホスト名を省略するので "///" (3本)に続いてディレクトリパスを指定します. ネットニュースは,通常,ニュースサーバは決まっているため, ニュースグループ名だけを指定します.電子メールも同様です. 始めての起動 ------------ では MacWeb の設定方法を説明してゆきましょう. MacWeb はいきなり起動し てもとりあえず動きます. 解凍: MacWeb は自己圧縮形式のファイル( MacWeb1.00A3.sea )となっています.ま ず MacWeb 用のフォルダを作成しておき,その中へ MacWeb1.00A3.sea のアイ コンをダブルクリックして解凍したものを入れます.PowerMac でなければ MacWeb.PPC ( PowerPC 用アプリケーション)は使えないのでゴミ箱へ捨てま しょう. 起動: MacWeb をダブルクリックして起動すると,まず, Welcome to MacWeb! と書か れたホームページが開きます.これは MacWeb 本体と同じフォルダに入ってい る Documents というフォルダ内のファイルを表示しているもので,インター ネットにアクセスしている訳ではありません. リンクと URL: 画面中の文字列で,青色で下線が引いてあるのは,「リンク」が出ている印で す.一度選んだリンクは,赤色になり,既に選んだことがあることが分かるよ うになっています(色の設定変更も可能です).また,マウスカーソルをリン クに合わせると,ウィンドウの一番下に,下記のような URL が表示され,ク リックするとどこへジャンプするか分かるようになっています. file:///./Documents/MacWebFeatures.html →ハードディスク内の HTML ドキュメントにアクセスする. . はカレントディレクトリ( MacWeb 本体の位置) http://galaxy.einet.net/galaxy.html → MacWeb 開発元の WWW サーバにアクセスする. リンクはまた,同一ドキュメント内の別の場所や,イメージデータやサウンド データ等を差し示している場合もあります. アクセスに成功して,画面が表示されると,ウィンドウ右上のテキストボック スに,その URL が表示されます.ただし,この時点では,日本語のテキストは 文字化けして表示できないはずです. アクセスの停止: まだダイアルアップ PPP 接続を開いていないのに,インターネット上のサーバ へのリンクをクリックしてしまうと, MacWeb はそのリンクを探してしまいま す.また,外部のデータにアクセスすると,なかなかデータ転送が終わらない 場合もあります.これを中断するには, command-. (アップルマークキーを押 しながら,ピリオド記号を押す)とします. ページの移動: ウィンドウの左上に表示される, [←] , [→] ボタンをクリックすると,既 に表示したページ間を移動することができます.また家の形のボタンをクリッ クすると, MacWeb で設定したホームページへジャンプします.これはデフォ ルトでは Welcome to MacWeb! ですが,任意のページを指定できます. 初期設定 -------- 「 File 」メニューの「 Preferences... 」で初期設定画面を呼び出します. ここでは以下の3種類の設定を切り替えて設定を行います. General ホームページ,電子メールアドレス等の設定 Files/Folders ファイルに関する設定 Format 表示方法に関する設定 では,順に説明します. --------------------------------------------------------------- [General ▼] Home URL: [file:///./Documents/MacWeb.html ] Email Address: [taro@xxx.xx.jp ] News Host: [news.xxx.xx.jp ] [Defaults] [cancel] [[OK]] --------------------------------------------------------------- Home URL: ここには MacWeb の起動時に表示するホームページの URL を設定します.デ フォルトでは,MacWeb 本体と同じフォルダにある Documents フォルダの中の ファイルが指定されています. URL として記述できるものなら,なんでも指定 できます.ただしインターネット上の WWW サーバを指定すると,ダアルアップ PPP 接続の場合, PPP 接続中でないとエラーになってしまいます. Email Address: 自分の電子メールアドレスを入力します. News Host: 加入しているプロバイダで用意しているネットニュースのサーバを指定します. MacWeb は,ネットニュースの記事も URL で指定することによって,読むこと ができます.例えば「 File 」メニューの「 Open URL... 」で,以下のように 入力した場合です. URL: [news:comp.sys.mac.digest ] ただし日本語のネットニュースについては,漢字コードの違いによる文字化け の問題があります.これは日本語フォントを設定しても解決しません.さらに 別途説明する Proxy サーバでも,ネットニュースの漢字コード変換まで行って いるプロバイダはありません. --------------------------------------------------------------- [Files/Folders ▼] [X] Hotlist To Open At Startup: MacWeb Hotlist [ ] Default Folder for Temp Files: [Defaults] [cancel] [[OK]] --------------------------------------------------------------- Hotlist to Open At Startup: ホットリストとは,自分の好みの WWW を登録した一覧のことです. MacWeb で は「 Hotlist 」メニューで登録,表示ができます.ここで指定したファイルが ホットリストとなり,起動時に読み込まれます. Default Folder for Temp Files: MacWeb の作業用のテンポラリファイルを作る場所の指定ですが,特に指定しな ければ MacWeb 本体と同じフォルダになります. --------------------------------------------------------------- [Format ▼] [X] Autoload Images Window Background Color: [ ] [X] Collapse Blank Lines Charater Translation: [Chinese8Bit -> ▼] [Defaults] [cancel] [[OK]] --------------------------------------------------------------- Autoload Images: WWW への楽しみの1つは,テキストといっしょにウィンドウ内に表示されるイ ンライン・グラフィクスです.しかし,ダイアルアップ PPP 接続のように遅い 回線を使用していると,データ転送に時間がかかり,いらいらすることがあり ます.ここを OFF にしておくと,グラフィックイメージは転送されず,高速な テキスト表示が可能となります.この場合,グラフィックは,アイコンとして 表示されるので,個々にマウスでクリックすればイメージを見ることができま す.また,「 Options 」メニューの「 Load Images 」を選択すれば,一度に 転送,表示が可能です. Collapse Blank Lines: ここを ON にしておくと,連続する空行があれば詰めて表示してくれるので, 1画面の中に入る行数が増やせます. Window Background Color: ウィンドウの背景色の指定です.デフォルトで問題ないでしょう. フォントと補助アプリケーション ------------------------------ 次に「 Edit 」メニューの Styles... フォントの設定 Helpers... ファイル形式と補助アプリケーションの設定 Suffixes... 拡張子とファイル形式の設定 をそれぞれ設定してゆきます. 「 Edit 」メニューの「 Styles... 」を選択すると次の画面が表示されます. --------------------------------------------------------------- Element: [Root ▼] Font: Style: As Is [ ] Italic ASLFont+ [ ] Bold Osaka [ ] Underline リュウミンライト−K... [ ] Outline 細明朝体 [ ] Shadow 中ゴシック体 Size: [12 ][▼] Colors: [■] [■] [ ] Size Is Relative [X] Use Colors [Defaults] [cancel] [[OK]] --------------------------------------------------------------- Element: HTML ( HyperText Markup Language )では,テキストに対して様々な装飾を 施すことができます. WWW クライアント側でも,これに対応していれば,美し い画面表示を楽しめます.MacWeb では, HTML の各エレメント( Element ) それぞれに対してフォント,スタイル(斜体,太字等),サイズ,色を設定す ることができます.英語のテキストを表示するだけなら,デフォルトのままで かまいませんが,日本語を表示できるようにするためには,全てのエレメント のフォント設定をチェックして, Helvetica および Courier フォントを Osaka フォントに変更してください( As Is は変更不要). Osaka の TrueType フォントがシステムにインストールされていれば,大きな字でもギザギザがな く美しく表示されます. ちなみに Osaka 以外のフォントでは文字化けしてしまうようです.また,本来 Courier フォントが指定されているエレメントは等幅フォントで表示すべきで すが,等幅ゴシック等を選択しても文字化けします. MacWeb では,「リンク」が出ているテキストに対して色と下線を付けて,一目 で分かるようにしていますことは,既に述べました.そのテキストは,アンカー というエレメントですので, Element: [A (Anchor) ] を呼び出して,色(このときだけ,選択前/後の2色を設定できる)やスタイ ル等を変更できます. 「 Edit 」メニューの「 Helpers... 」を選択すると次の画面が表示されます. --------------------------------------------------------------- MIME Type: Helper: --------------------------------------------------------------- application/mac-binhex40 StuffIt Expander ... application/x-stuffit StuffIt Expander audio/basic Sound Machine ... image/gif JPEGView image/jpeg JPEGView image/pict JPEGView ... Video/mpeg Sparkle video/quicktime Simple Player ... text/plain TeachText ... ------ WWW サーバでアクセスできるファイルの中には,形式によって MacWeb 本体で はなく,対応する補助アプリケーション( Helper )によってオープンするも のがあります.MIME Type は,ファイルの拡張子( Suffix )によって分類さ れますが,これは次で説明します.それぞれの MIME Type ごとに補助アプリ ケーションがあらかじめ設定されているのをこの画面で見ることができます. これらのアプリケーションは,MacWeb には付属しないので,自分で用意してお く必要があります.ほとんどフリーウェアあるいはシェアウェアですので, anonymous FTP あるいは雑誌の付録 CD-ROM 等で入手できます. また,補助アプリケーションは, [Edit...] をクリックすることによって,同 じファイル形式をオープンできる他のアプリケーションに変更することもでき ます. 「 Edit 」メニューの「 Suffixes... 」を選択すると次の画面が表示されます. --------------------------------------------------------------- Suffix: MIME Type: --------------------------------------------------------------- au audio/basic ... gif image/gif ... hqx application/mac-binhex40 ... html text/html ... jpeg image/jpeg ... moov video/quicktime ... WWW クライアントは,ファイルの種類を拡張子( Suffix )で判別します.そ れがここにあらかじめ登録されています.デフォルトから特に変更する必要は ないでしょう. 使い方 ------ URL を開く: 「 File 」メニューの「 Open URL... 」を選択することによって, URL 指定 のためのダイアログボックスが現れます.ここで URL をキーボード入力(もち ろん Cut&Paste でもかまいません)することによって,その URL へアクセス することができます.また,このダイアログボックスからは,左下の Hot list: [▼] ボタンから,あらかじめ登録しておいた「ホットリスト」を呼び出すこ ともできます. アクセスが開始されると,アクセス状況(およびエラーメッセージ)は,メイ ンウィンドウの一番下に表示されます.サーバと正常に接続できれば,データ 転送が始まり,ページが表示されてゆきます.このとき,転送速度等が左下に 表示されます. 初期設定の「 Format 」において Autoload Images を OFF にしている場合は, インラインイメージは表示されず,イメージが存在することを示すアイコンだ けが表示されます.イメージを見たいときは,マウスクリックすることによっ て,データが転送され,表示されます.矢印付きのアイコンは,そこからリン クが出ている印です.その矢印部分をクリックすればリンク先にジャンプがで きます. イメージ,サウンド,ムービー: サーバ側に用意された様々な形式のファイルに対して, MacWeb では,そのリ ンクをクリックするだけで,対応する補助アプリケーションを自動的に識別し て呼び出します.もちろん,アプリケーションを用意しておかないといけませ ん.また,データによっては,ファイルサイズが大きくて転送に非常に時間を 要するものもあります.むやみに大きなファイルを転送することは,接続料金 にひびきますし,インターネットのトラフィック(データ転送量)を無意味に 増大させることになるので慎みましょう.転送を中断するのは,既に述べたよ うにcommand-. (「コマンド−ピリオド」と覚える)です. ダウンロード: インラインイメージやリンク先のデータを,そのままファイルとしてダウンロー ド(自分のハードディスクへ転送)したいときは,そのリンクをマウスで押し 続けます.するとポップアップメニューが表示されるので Retrieve to Disk (ディスクへ転送)を選択します. ハードコピー: 美しいホームページを見ると,そのままの形でファイルに保存しておきたくな るものです.意外と知られていませんが,マックのシステムには,スクリーン 全体のハードコピーの機能が内蔵されています. command-shift-3 (アップル マークのキーとシフトキーと3を同時に押す)を入力すると,「カシャ!」と 音がして,ハードコピーが PICT 形式のファイルとしてハードディスクに保存 されます. 電子メール: 電子メールを送るための URL である mailto: をクリックすると, MacWeb は 補助アプリケーションとして NewsWatcher を呼び出します.日本語のメールを 送るためには NewsWatcher-J をあらかじめインストールしておく必要がありま す.このとき, NewsWatcher-J 本体が直接呼び出されるので,設定ファイルの の "NewsWatcher-J Prefs" はシステムフォルダ内の「初期設定」フォルダに 入っている必要があります. NewsWatcher-J を複数の設定で使い分けるため に,グループファイルと同じ位置に初期設定ファイルを置いている場合は,初 期設定フォルダにもコピーを置いておきましょう. ホットリスト ------------ 「 Hotlist 」メニューの「 Add This Document 」を選択すると,現在表示中 のページの URL を保存できます.テキストやイメージデータそのものを保存し なくても,URL だけ記録しておけば,再度アクセスすることができるわけです. ホットリストに加えられた URL とタイトルは,「 Hostlist 」メニューにどん どん追加されてゆきます. ホットリストはファイルとして保存されますので「 Hotlist Operations 」の 各メニューによって,他のファイルの読み込みといった編集作業が可能になっ ています. --- end ---