------------ NCSATelnet-J ------------ TELNET はインターネット上の IP 接続による通信プロトコルおよび通信ソフト の名称です.自分がユーザ ID を持っているホストに対し,リモート・ログイ ンを可能にしてくれます.最近は NIFTY-Serve 等のパソコン通信でも TELNET で接続できるところがあります.また,インターネット上にはデータ検索など に機能を限定し,誰でもログインできるユーザ ID を用意しているホストもあ ります. NCSA Mosaic で一躍有名となった NCSA が,昔からメンテナンスしている NCSA Telnet の日本語版として, NCSATelnet-J と ASL Telnet があります.これ らは ShiftJIS, EUC, JIS といった各漢字コードを扱える他, FTP サーバとし ての機能も備えています.ここでは NCSATelnet 2.6.1 JB13 という最新版を紹 介します. この NCSATelnet 2.6.1 J は,従来のバージョンと異なり,必ず MacTCP がイ ンストールされていなければなりませんが,その代わり,面倒な設定ファイル の編集が不要になりました.さらに FTP サーバに関しては,パスワード管理機 能を内蔵しています. 初期設定 -------- PPP 接続が成立している状態で、 NCSATelnet 2.6.1 J のアイコンをダブルク リックして起動してください。このまま、「 File 」メニューの「 Open Connection... 」を選択して、ダイアログボックスに、リモートログインする ホスト名を入力するだけで、ターミナルウィンドウが開き、 login: プロンプ トが表示されるはずです。 しかし実際にログインして作業するには、いくつかの初期設定を変更しておく とよいでしょう。ここで簡単に触れておきます。 「 Edit 」メニューの「 Preferences 」で初期設定をおこないます。 Global: Remap backquote to SECape のチェックをはずします。チェックされ たままだと、 [ESC] キーは ` 記号になっています。 Capture File Creator は、通信ログをテキストファイルに保存すると きの対応するエディタを示し、デフォルトは TeachText (または SimpleText )です。 [Select Application] をクリックすれば、 YooEdit 等の使い慣れたエディタに変更できます。その他の項目はデ フォルトで構いません。 Terminals: を [Change] をクリックして選択します。 Eight bit connections は、日本語の通信に必要なので必ず選択して ください(デフォルトで選択されています)。 Emulation は VT100 を選択します( VT220 でもほとんど同じですが)。 inline input をチェックすれば、インライン変換が可能です。 Font を ASLFont+ 等の等幅日本語フォントにすると見やすいです。 その他の項目はデフォルトで構いません。 Sessions: を [Change] をクリックして選択します。 Host Name にデフォルトの接続先となる、一番頻繁に使うホスト名を 設定しておきます。 Delete Sends は、 [delete] キーを押すことによる一文字削除機能に つかう文字コードを指定します。多くの場合 Backspace にしておけば いいと思います。 Interrupt, Suspend, Resume の欄をブランクにします。デフォルトで は、 emacs エディタで使う [CTRL]-[C] 等が入力できません。 Translation Table (漢字コード)をホストに合わせて変更します。 UNIX のホストでは EUC が、パソコン通信には SJIS が使われること が多いです。 その他の項目はデフォルトで構いません。 FTP Server: FTP Users: これについては、 FTP の使い方の項で説明します。 Telnet の使い方 --------------- 「 File 」メニューの「 Open Connection... 」を選択すると、ダイアログボッ クスが表示されるので、 Host/Session Name に、ホスト名を入力します。 IP アドレスでも接続は可能です。ホスト先と接続できれば、ウィンドウが開き、 login プロンプトが表示されます。 ホスト名の例 備考 ------------------ -------------------------- host.domain.or.jp ドメイン名も含めたホスト名 99.99.99.99 IP アドレス host 同一ドメイン内の場合 最後の例のようにホスト名だけを指定した場合、 MacTCP のドメインネームサー バの欄で設定したドメイン名が、指定したホスト名の後に補われ、 "ホスト名 .ドメイン名" となります。 実際にログインしてみましょう.例えば, NIFTY-Serve に接続するには,以下 のように入力します.漢字コードは SJIS にしておくとよいでしょう.通常の 電話回線経由と違って FENICS は経由しないので,その部分の入力は不要です. 後は全く同じ方法で利用することができます. Host/Session Name [r2.niftyserve.or.jp ] 同様に,各プロバイダのホストにもログインできます.以下にホスト名をいくつか 列記します. プロバイダ名 ホスト名 ----------------------- --------------------- ASAHIネット asahi-net.or.jp リムネット moon.st.rim.or.jp BEKKOAME/INTERNET bbs.bekkoame.or.jp NCSATelnet では,マルチセッションといって,同時に複数のホストにログイン できます(ウィンドウが複数開きます).またホスト側で制限がなければ,同 じホストに同じユーザ ID で複数のログインも可能です.複数のウィンドウの 切り替えは,「 Connections 」メニューの「 Next Session 」のショートカッ トである command-N (アップルマークのキーを押しながら [N] を押す)が便 利です. ホスト名を入力しても,ウィンドウが開かずエラーメッセージが表示される場 合は,「接続できないとき」の項をご覧ください. 各ホストへの接続を確認でたら,次に述べる方法で、ホストごとに設定をファ イルに保存しておけば、そのアイコンをダブルクリックするだけで、接続が開 始されます。 接続中の設定の変更と保存 ------------------------ 接続中にも設定を変更したいときは、「 Session 」メニューで可能です。ここ で設定した変更の多くは、接続中に, [File] メニューの [Save Set...] で、 接続先ホストごとに保存しておくことができます。こうすると、次回からは、 そのアイコンをダブルクリックするだけで、そのホストに自動接続して、login: プロンプトが表示されます。 * Backspace Delete [delete] キーを押したときに送信するコードを切り替えます。多くの ホストでは Backspace でよいでしょう。ちなみに [option] キーを押 しながら [delete] キーを押すと、逆のコードを送信できます。 Local Echo 通常、キーボードから入力した文字をそのまま表示する( local echo )ことはしません。文字コードは、まずリモートホストに送られ、リ モート側で処理されてから送り返され( echo back と言われる)、そ れを NCSATelnet が表示する( remote echo )からです。 * Wrap Mode VT-100 がサポートするワードラップ(画面サイズより長い行の折り返 し)機能を有効にします。 EMACS arrow mapping 矢印キーを emacs エディタのカーソル移動に割り当てるとき選択します。 Map PgUp/PgDown/Home/End キーボードに、 [PgUp] 、 [PgDown] 、 [Home] 、 [End] キーがある 場合、それぞれのキー入力に対応する VT-100 のエミュレーション機 能を有効にするとき選択します。 Translation 漢字コードをその場で切り替えることができます。 SJIS パソコン通信の多くに対しては,SJIS(Shift-JIS,MS 漢字コード) を選択します. EUC ほとんどの UNIX ホストに対しては,EUC(日本語拡張 UNIX コード) を選択すればいいでしょう. その他に,以下の漢字コードも用意されています. 新JIS ... 1983 年版 JIS コード 旧JIS ... 1978 年版 JIS コード DEC ... DEC 漢字コード 新JIS(7Bit) ... 1983 年版 JIS コード ( 7bit 半角カナを SI/SO で送信) 旧JIS(7Bit) ... 1978 年版 JIS コード ( 7bit 半角カナを SI/SO で送信) Clear Screen Saves Lines 画面をクリアするときに、表示していたテキストを、スクロール領域 に保存するかどうかの選択です。これを選択した場合、クリアしたテ キストは画面をスクロールすることによって読むことができます。 Reset Terminal 端末徒しての画面制御をリセットします。画面がフリーズした場合な どに選択すると、制御不能状態から抜け出せるかもしれません。ちな みに UNIX マシンにログインしていて、キーボード入力を受け付けな くなってしまう一番の原因は、誤って [ctrl]-[S] (データ受信のス トップ)を押してしまうことでしょう。この場合は、 [ctrl]-[Q] と 入力すれば、ストップが解除されます。 Jump Scroll command-J 画面上に大量のテキストを連続的に表示しているときに、いっきに最 後にジャンプして表示を終わらせたいときに選択します。 TEK Page... TEK form feed clears screen グラフィック端末機能を使う場合に使用しますが、本書では触れません。 Set Screen Sise... VT-100 端末の標準的な画面サイズは 80 カラム× 24 行ですが、この メニューを選択することにより、サイズを任意に変更することができ ます。ただし、ログイン先のホストマシンにもこの情報を伝える必要 があります。 X-Window に付属する resize コマンドが使えればカラ ム数、行数の自動設定が可能ですが、なければ、stty コマンドによる 設定や COLUMNS, LINES 環境変数のセットなどで対応しなければなり ません。具体的な設定方法は、個々のマシンで異なるので、詳しくは、 接続先のシステム管理者と相談してください。 Setup Keys... command-S この設定は、初期設定の方法でも触れたように、3項目を全てブラン クにしておけば問題ないと思います。 Font フォントは初期設定で ASLFont+ を選択しておけば、変更の必要はな いでしょう。 Size 文字サイズも変更の必要はないと思いますが、変更は可能です。ただ し、白抜きで強調されていないポイント数は、そのサイズのフォント が用意されていないので、選択しても汚い表示となります。 Color... 文字色や背景色を変更したい場合に、ここを選択してカラー設定ダイ アログボックスを呼び出します。複数の決まった接続先にアカウント がある場合は、接続先ホストごとに異なったカラーを設定して保存し ておくと便利かもしれません。 Capture Sesstion to File command-K ログをファイルとして残したいときは、ここを選択すると,ファイル ダイアログボックスが表示され,ファイル名を入力すると,ログ保存 が開始されます。デフォルト設定では、通信ログは残りません。 接続できないとき ---------------- 接続ができない場合は,いくつかの原因がありますが,一番多いのは, MacTCP やMacPPP の設定に問題があり,ネームサーバ( DNS = Domain Name Server )が引けず,ホスト名から IP アドレスを得られないことです. その他に, プロバイダ側のトラブルや,接続先ホストのトラブルの場合もあります. "MacTCP Watcher" といったネットワークチェック用ソフトウェアで,それぞれ の接続を確認しましょう. TELNET 接続中の FTP ------------------- NCSATelnet では,TELNET 接続中に,接続先ホストとの間で FTP によるファイ ル転送が可能です.この場合,マック側が FTP サーバとなり,リモートホスト 側から ftp (クライアント)を実行することになります. まず,「 Edit 」メニューの「 Preferences 」で初期設定をしておきます. FTP Server: Server Mode は On, Username & Password required にします. NCSATelnet は FTP (ファイル転送)のサーバ機能を持っています. No passwrods needed にすると,誰でも外から,あなたのマックに接 続して,ファイルを取ることができてしまいますので注意して下さい. FTP Users: [New] をクリックして FTP 用のユーザ名,パスワードを入力します. これは自分だけ分かれば,なんでも構いません. FTP 用のデフォルトフォルダの変更もここでできます. これで FTP サーバの準備はできました.リモートホストとの接続中に,「 Network 」メニューの「 Send FTP command 」(ショートカットは command-F )を選択すると,リモートホスト側から, ftp が自動的に実行されます.こ れは「マックの FTP サーバに,リモートホストから接続しているので,ファイ ル転送は, 次の方向となります. GET マックからリモートホストへファイル転送 PUT リモートホストからマックへファイル転送 ここで使える FTP のコマンドは,リモートホストの ftp に依存しますが,以 下に簡単な説明をします. cd ディレクトリ名 ... ディレクトリ変更 dir ... ディレクトリ一覧 dir *.hqx ... 拡張子が hqx のファイル一覧 bin ... バイナリモードへ asc ... アスキーモードへ(テキストファイルの転送) get ファイル名 ... マックからファイルを転送 put ファイル名 ... マックへファイルを転送 prompt ... mget, mput での確認 ON/OFF の選択 OFF にすると確認なしの連続転送となる. mget *.hqx ... 拡張子が hqx の全ファイルをマックから転送 mput *.hqx ... 拡張子が hqx の全ファイルをマックへ転送 quit ... 終了 マックバイナリ -------------- NCSATelnet の FTP サーバは,マックバイナリ形式をサポートしています.マッ クのファイルは,実際はリソースフォークとデータフォークの2つのファイル に分かれていますが,これを UNIX ホスト等に置くときに,1つにまとめたの がマックバイナリ形式です. 「 File 」メニューの「 MacBinary II Enabled 」をチェックしてから, FTP をバイナリモードに切り替えると,以下のような表示がでます. ftp> bin 200 Type set to I, binary transfer mode [MACBINARY ENABLED] この状態でファイル転送をおこなうと,マックバイナリを自動変換してくれます. FTP 接続 -------- NCSATelnet では, FTP クライアントとして,外部の FTP サーバに接続するこ ともできます. TELNET 接続と同じように「 File 」メニューの「 Open Connection... 」を選 択して表示されるダイアログボックスで,以下のように入力します. Host/Session Name ... FTP サーバ名を入力 [*] FTP session ... 選択すると FTP 接続となる この FTP クライアントは,必要最小限の機能しかなく,接続できて,ウィンド ウが開いても, ">" といったプロンプトすら表示されません.ユーザ名の入力 も特に求められないので, USER というコマンドを使って, user ftp ... anonymous FTP の場合,ユーザ名 ftp を入力 と入力すると,パスワードの入力へ進めます.ちなみに, help と入力すると, FTP 内で使用できるコマンド一覧が表示されます.FTP コマン ドに関しては,前に説明しましたが, GET/PUT の関係が逆になるので注意して ください. GET リモートホストからマックへファイル転送 PUT マックからリモートホストへファイル転送 これでフリーソフトウェアを集めている anonymous FTP サーバから,ファイル をダウンロードすることもできます.ただし, Fetch や Anarchie のように FTP 専用ソフトウェアの方が使いやすいので,そちらを利用した方が良いで しょう. --- end ---