======================= ダイアルアップ PPP 接続 ======================= ------------ モデムの設定 ------------ 通信プロトコル: 最近の高速モデムは,エラー訂正およびデータ圧縮のための通信プロトコルを によって、通常の電話回線を用いているとは思えないような快適な接続が可能 になっています.ぜひ 14400 bps における V.42bis (または MNP 5),さら に 28800 bps での V.FC や V.34 をサポートしたモデムを入手して,最高の性 能を発揮させてください. モデムのパラメータ: ダイアルアップ PPP 接続ではフロー・コントロールの方法に,ハードウェア・ フロー・コントロール "CTS/RTS" を使う必要があります.特定の文字コードで フロー・コントロールを行うソフトウェア・フロー・コントロール "XON/XOFF" では,その文字コードを含むデータを送れないので困るのです. さらにマックでは,シリアルポートの問題のため「 DTR を無視」する設定が必 要です.これは通常の RS-232C 規格による通信に対して,マック側で DTR (データセットレディ)に相当する線が無いため,マック用のモデム・ケーブ ルを下図の様に DTR と RTS (送信要求)をショートしているためです.ハー ドウェア・フロー・コントロールで RTS が OFF になると DTR も従うので, DTR を無視しないと,そのとき接続が切れてしまいます. Macintosh (DTE) Modem (DCE) DIN-8 DB-25 Pin Signal Signal Pin 1 HSKo ----------------------+---- RTS 4 '---- DTR 20 2 HSKi --------------------------- CTS 5 3 TxD- --------------------------- TxD 2 4 GND ----+---------------------- GND 7 8 RxD+ ----' 5 RxD- --------------------------- RxD 3 6 TxD+ (nc) 7 GPi --------------------------- DCD 8 shield --------------------------- shield (出典: comp.sys.mac.comm FAQ ) シリアル接続: モデムの設定は, PPP 接続の前に普通のシリアル接続(プロバイダによっては 「パソコン通信形式」と呼ばびます)で確立しておき,モデムに登録しておき ましょう.それによってモデムの初期化コマンド ATZ だけで初期化が完了する ようになります.パソコン通信形式が用意されていない場合は,他のパソコン 通信等につないでみます. 具体的には areTerm, NinjaTerm, Terminal-J (いづれもフリーウェア)といっ た, VT100 エミュレーションをサポートした通信ソフトを用意します.パソコ ン通信を経験されている方には簡単でしょうが,まず,そのソフトによってパ ソコン通信形式で,正常に接続できるように設定します.通信ソフトのパラメー タは以下のようにします. 通信速度: 57600 bps (場合によって 38400, 19200bps に落とす) データ・ビット: 8 bit パリティ・ビット: なし ストップ・ビット: 1 bit フロー・コントロール: CTS/RTS さらにリザルトコードと呼ばれる,モデムからの接続条件の表示は,できるだ け詳細に表示させるようにします.例えば microcom 社の DeskPorte FAST ES 28.8というモデムでは,ATW1S95=44 と設定すると,以下のようにリザルトコー ドを表示するようになります. ATDTXXXX-XXXX ... 電話をかける 〜以下,リザルトコード〜 CARRIER 28800 ... 回線速度 28800 bps で接続 PROTOCOL: LAP-M ... エラー訂正プロトコル( V.42 のこと) COMPRESSION: V.42BIS ... データ圧縮プロトコル CONNECT 57600 ... 端末速度 57600 bps で接続 Welcome to XXXX ... ホスト側からのメッセージ login: ... ログインプロンプトの表示 安定して接続できるようになったら,設定をモデムに登録するコマンド(一般 には AT&W )によって覚え込ませます.モデムの取扱説明書をよく読んで正し iuu く設定しましょう. モデムの設定は,一般に以下のATコマンドが共通して使えます.     AT&F ……工場設定に戻す     AT&W ……設定を書き込む(電源を切っても消えない) モデムの設定例(工場出荷時からの変更分): microcom 社 DeskPorte FAST ES 28.8 の場合 AT W1 &D0 S0=0 S95=44 AIWA PV-PF144 の場合 AT &D0 ------------------ システムフォルダへ ------------------ 本書付属のフロッピー・ディスクから MacTCP と MacPPP をハードディスクに コピーして解凍しておきます. MacTCP 2.0.4 と MacPPP 2.0.1 をシステムフォルダにインストールして再起動 します.具体的には "MacTCP" , "Cofig PPP" , "PPP" の3つのアイコンを, システム・フォルダにドラッグします.(この時, [option] キーを押しながら ドラッグすると,ファイルの移動ではなく,コピーとなります. MacTCP 関連 ファイルが壊れた時,再度インストールするため,こうやって,システム・フォ ルダとは別にオリジナルを保存しておく価値はあります). 最近 MacTCP 2.0.2, 2.0.4 から MacTCP 2.0.6 へのアップデータが Apple か らリリースされました. anonymous-FTP の ftp.support.apple.comより入手で きます.ちなみに MacTCP 1.x.x から MacTCP 2.x.x へのアップデータは存在 しません. ------------- MacPPP の設定 ------------- コントロールパネル Config PPP を開き,以下を設定します. --- Port Name: モデムポート Idle Timeout(minutes): 10 Echo Interval (Seconds): OFF [ ] Terminal Window [x] Hangup on Close [ ] Quiet Mode --- このウィンドウでは MacPPP の基本的なパラメータを設定します. Port Name: モデムをつないだポート名 外付モデムをモデムポートに接続している場合,モデムポートを選択します. ただし PowerBook 500 シリーズでは「プリンタ/モデムポート」となります. また内蔵モデムの場合は,それを選択します. Idle Timeout(minutes): アイドル・タイム 通信が行われない(パケットが流れない)状態が,ここで設定した時間(分単 位)以上続くと,接続を切るかどうかの警告が出ます.通常の電話回線による ダイアルアップ PPP 接続の場合,なにもパケットが流れなくても,電話料金は 課金されるので,注意しましょう. Echo Interval (Seconds): ここに秒数を指定すると, PPP 接続の確認をその時間間隔でチェックしてくれ ますが,ブランクにして,この機能を無効にしておいて構いません.いくら接 続を監視していて転送エラーがわかっても,その接続中は,設定を調整する手 段がないのですから. [ ] Terminal Window: 手動接続用ターミナルウィンドウの使用 接続手順がうまくゆかないときは, [x] にして手動で接続してみるべきです. 接続時に,手動接続用のウインドウが開くので,ユーザ名,パスワード等をキー ボードから入力します.接続が不調のときの確認にも使えます. [x] Hangup on Close 後で述べる PPP 接続の切断時に,モデムに対して "+++ATH" という切断のため のコマンドを送るための設定です. [ ] Quiet Mode ここを選択すると,アイドル・タイムを過ぎて PPP 接続を打ち切りにすると き,警告が出ないで,いきなり接続が切れます. 接続先の設定: 次に接続先の設定をします.これは複数設定しておくことができます.まず, [NEW...] を選択し,名前をつけます.名前は接続先の名称や電話番号を連想で きるものがよいでしょう.そして,[Config...] をクリックして,以下を設定 します. --- Port Speed: [57600] Flow Control: [CTS&RTS(DTR)] Tone Dial/Pulse Dial Phone Number: xxxx-xxxx Modem Init: ATZ Modem connect timeout: [90] seconds --- Port Speed: ポートスピード(端末速度) 最近のマックであれば, 57600 bps でつながるはずですが,接続中にエラーが 発生する場合は, 38400 bps, 19200 bps, 9600 bps とスピードを下げた設定 で接続してみます.モデムの回線速度が 14400 bps や 28800 bps であっても, この値にはしないでください.マック側が端末速度としては対応していません. 一般的には,通信プロトコルによるデータ圧縮が効くので,端末速度は,モデ ムの通信速度の2倍から4倍以上に設定します. Flow Control: フロー・コントロールの方法 ハードウェア・フロー・コントロール "CTS&RTS" とします. Tone Dial/Pulse Dial: ダイアル方式 自分の電話回線の方式に合わせます.トーン方式,パルス方式のいづれかです. Phone Number: 電話番号 参考(リムネット): ダイアルアップ PPP 用の東京直通電話番号は下記の通りです. 03-5489-1442...IP接続専用 03-5489-1443...IP, Shell, BBS用 03-5489-5553...IP, Shell, BBS, GUEST用 Modem Init: モデムの初期化コマンド 前述のようにモデムの初期設定を登録済の場合は ATZ だけです. Modem connect timeou: モデム接続打ち切り時間設定 モデムが電話をかけてから PPP 接続が完了するまでの通常の所要時間より若干 長めの時間を設定しておきます.なんらかのトラブルの際に,無駄な接続を繰 り返さないための設定です. 接続スクリプト: 接続先ごとの接続スクリプトを [Connect Script...] をクリックして現われる ウィンドウで設定します. output をチェックした行は,マックが PPP サーバ側に送信する文字列を示し ます.逆にwait をチェックした行の文字列をサーバが送ってくるまで,マック 側は待ちます. login や password の最初の一文字は,取りこぼしたり,相手 にによって大文字だったりするので,書かない方が安定して接続できます.ま たディレイが入っているのはタイミングをとるためで,その秒数は経験的に決 めてください. --- (A) 通常の場合 output wait CR ------ ---- ---------------------- --- [x] ogin: [x] Pxxx¥r [x] assword: [x] xxxxxxxx¥r [x] ¥d¥d --- --- (B)リムネット Rapid VAN (9600bps) 経由の場合 output wait CR ------ ---- ---------------------- --- [x] ¥d@¥d¥d¥r¥d@¥d¥d¥r [x] * [x] A RIM96¥r [x] ogin: [x] Pxxx¥r [x] assword: [x] xxxxxxxx¥r [x] ¥d¥d --- ちなみに ¥ 記号とそれに続く文字は特別な意味を持ちます.ここで用いている のは以下の2つです.改行は,行の最後に1つだけなら,右端の CR 欄をチェッ クしても同じです. ¥r ... 改行 ¥d .... 1秒間のディレイ その他の特殊文字については, MacPPP 付属のドキュメントを調べてください. --- Auth. ID: [ ] Password: [ ] Retries: [10] Timeout: [ 3] senconds --- Authentication (PPP ユーザ認証)の設定: [Authentication...] をクリックするとユーザ名とパスワードを入力するウィ ンドウが表示されますが,ほとんどのプロバイダの場合,ブランクのままで結 構です.ホストへログインするときのパスワードだけで認証(本人かどうかの チェック)を行うので,PPP の Authentication (ユーザ認証)機能は使わな いためです. ただし IIJ のダイアルアップ PPP サービスでは,この Authentication を用 い,そのかわり Connect script の方はブランクでよくなります. (補足: BEKKOAME ではいづれの方法でも接続できます。リムネットも近日中に 両方の接続方法をサポートします。) --- (省略) --- LCP の設定: [LCP Options...] をクリックすると, LCP の設定ウィンドウが開きます.こ こも通常はデフォルトのままで問題ありません.いじってしまってデフォルト に戻したいときは [Default settings] をクリックします. --- Local Remote TCP Header Comp.(VJ) [X] Wait [X] Will [ ] Wait [X] Will [X] Wait [X] Will [ ] Wait [X] Will IP Address IP Address IP Address [0.0.0.0 ] [0.0.0.0 ] Retries: [10] Timeout: [ 3] senconds --- IPCP の設定; [IPCP Options...] をクリックすると, IPCP の設定ウィンドウが開きます. ここも通常はデフォルトのままで問題ありません.いじってしまってデフォル トに戻したいときは [Default settings] をクリックします. ただし,相手の PPP サーバの設定によっては, TCP Header Comp.(VJ) の行 のチェックを全てはずす必要があります.例えば BEKKOAME/INTERNET では,デ フォルトではTCP ヘッダの圧縮は行っていないようです.もちろん TCP ヘッダ の圧縮を効かせた方が,データ転送効率が上がるので,システム管理者と相談 して,設定を変更してもらうべきでしょう. ------------- MacTCP の設定 ------------- --- LocalTalk のアイコンの絵 PPP のアイコンの絵 IP Address: 192.0.0.0 [More...] ---- コントロールパネル MacTCP を開ひらき,そのウィンドウの中の PPP のアイコ ンを選択します.これによって MacTCP は MacPPP と通信するようになります. もし PPP が現われなかったら,システム・フォルダの「機能拡張」フォルダに PPP のアイコンがちゃんとインストールされているか確認してください. さらに [More...] をクリックして以下の設定をします. --- Obtain Address: Manual @ Server Dynamic Routing Information: Gateway Address: [0.0.0.0 ] IP address: (省略) Domain Name Server Information: Domain IP address Default st.rim.or.jp 202.255.181.2 @ . 202.255.181.5 --- Routing Information: Gateway Address: ゲートウェイの設定 通常は,パケットのルーティング情報を管理しているゲートウェイとなってい るホストを IP アドレスで指定します.しかし MacPPP と用いるときは, MacPPP が自動的に設定します.何か入れないとエラーとなるので, 0.0.0.0 とても入れておけば結構です. Obtain Address: 自分の IP address の取得方法 一般的にダイアルアップ IP 接続では,自分のマック側の IP アドレスは,相 手( PPP サーバ)側から割り当ててもらうので, Server を選択します.正式 に自分のマック用の IP アドレスを取得している場合以外は,勝手に IP アド レスを設定してはいけません. IP address: 自分の IP アドレス 自分の IP アドレスの設定ですが, MacPPP と用いるときは, MacPPP が自動 的に設定するので,ここでは設定しません.デフォルトのままで結構です.上 記のように正式に自分のマック用の IP アドレスを取得している場合以外は, 勝手に IP アドレスを設定してはいけません.ネットワーク全体に迷惑をかけ ることになります. Domain Name Server Information: ネームサーバの指定 ここではインターネット上の各ホスト名を IP アドレスに変換してくれる,ド メイン・ネームサーバの指定をします. Domain の欄には,ドメイン名(ネットワークのグループ名のようなもの)を書き ます.これによって, telnet 等のアプリケーションで,単独のホスト名だけ 指定した場合,後ろにドメイン名が補われます.例:moon -> moon.st.rim.or.jp IP address には,そのドメインにおけるネームサーバをしているホストの IP アドレスを指定します.1行目は,プライマリ・サーバ(デフォルトのネーム サーバ)を指定し, Default をチェック(黒丸にする)しておきます.2行目以 降には,セカンダリ以降のネームサーバ(予備のネームサーバ)があれば指定し ます.ここで2行目以降の Domain の部分には,1行目と同じであれば"." (ピ リオド) を書きます. 全ての設定が終了したら,マックを再起動します. -------------- 接続開始と切断 -------------- 接続するときは,コントロールパネルの Config PPP を開き,[Open] をクリッ クします.すると MacPPP status ウィンドウが開き,正常な手順であれば,以 下の様に表示が変化して行きます. Checking modem ... モデム(シリアルポート)のチェック Initializing modem ... モデムの初期化    Dialing modem ... 電話中 ogin: ... 接続スクリプト assword: Establishment ... PPP 接続中 Network そして,最後にウィンドウが消えて, Config PPP ウィンドウの左上の表示が PPP UP になります. コントロールパネル Config PPP の [Open] ボタンがグレー表示され,クリッ クができない時は,コントロールパネル MacTCP で, PPP のアイコンが表示さ れ,さらに選択されている(反転表示となる)のを確認してください. PPP の アイコンは MacPPP のインストールによって,システムフォルダの機能拡張フォ ルダに入るはずです. "Dialing modem" までに Modem に関するエラーが出たら,モデムの設定を再確 認してください. "Establishment" の後に "Link Dead" と表示されたら PPP の失敗です.この 場合はユーザ名,パスワードの確認は通過しているはずですから,回線のトラ ブルや, PPP のパラメータの問題,そしてまれに接続先ホストの PPP 関連の トラブルの場合もあります. もう一つ,接続開始する方法があります. MacTCP を利用するアプリケーショ ンを起動すると,自動的に MacPPPが起動され,接続が開始されます.ただしタ イミングの関係でうまく動作しないこともあります. 切断するときは Config PPP にて [Hard Close] をクリックします.左上の表 示が PPP DOWN に戻ります. ソフトクローズとハードクローズ: コントロールパネル Config PPP には, PPP 接続を切るときのため, [Soft Close] と [Hard Close] の2つのボタンがあります.この2つは何が違うの でしょうか? 通常は, [Hard Close] をクリックして接続を切ることをお勧めします.確実 に接続が閉じられるので,無用のトラブルを避けられます. [Soft Close] で終了すると, MacPPP は一種の待機状態となります.そして, Eudora-J や NewsWatcher-J などのインターネットアプリケーションが,外の ネットワークに接続しようと, MacTCP に要求を出したときに,自動的に PPP 接続を始めます(電話をかけ始めます).つまり,わざわざConfig PPP を開 いて, [Open] を押す手間が省けるわけです. しかし,この終了方法には副作用もあります.オフライン,すなわち PPP 接続 したくないときに,アプリケーションの接続要求の伴う機能を使おうとすると, 勝手に電話をかけ初めてしまうのです.また,インターネットアプリケーショ ンを一切立ちあげていないのに,突然 MacPPP が接続を開始する現象が起こる ことがあり,気付かないと無駄な回線接続料を払う目にあうかもしれません. さらに PowerBook シリーズでは,「スリープ」状態にしたはずが,深夜にむっ くり起き出して勝手に PPP 接続を開始するという,大変困った怪現象が起きる こともありますので,注意してください. --- end ---