------------ NCSATelnet-J ------------ TELNET はインターネットでリモート・ログインを可能にする通信プロトコル の名称であり、かつソフトウェアの名前にもなっています。自分がユーザ ID を持っているコンピュータがあれば、それが地球の裏側にあろうが、ログイン できるのです。個人ユーザにとっての使い道は、プロバイダの用意した UNIX マシンにログインすることでしょう。最近では NIFTY-Serve 等のパソコン通 信でも TELNET で接続できるところがあります。また、インターネット上には データ検索などに機能を限定し、誰でもログインできるユーザ ID を用意して いるホストもあります。 Netscape の前身となった NCSA Mosaic を産んだ米国 NCSA が、昔からメンテ ナンスしているマック用ソフトウェアに NCSA Telnet があります。このプロ グラムは、VT100 エミュレーション機能の他、 FTP によるファイル転送の機 能も内蔵しています。ここでは、これを吉田さんが日本語化した NCSA Telnet J を紹介します。日本語版はShiftJIS、日本語 EUC、 JIS といった各漢字コ ードを扱うことができます。 最新版は NCSATelnet 2.7J3 です。 初期設定 -------- PPP 接続が成立している状態で、 NCSA Telnet 2.7J3 のアイコンをダブルク リックして起動してください。このまま、「 File 」メニューの「 Open Connection... 」を選択して、ダイアログボックスに、リモートログインする ホスト名を入力するだけで、ターミナルウィンドウが開き、 login: プロンプ トが表示されるはずです。 しかし実際にログインして作業するには、いくつかの初期設定を変更しておく とよいでしょう。ここで簡単に触れておきます。 「 Edit 」メニューの「 Preferences >」で初期設定をおこないます。 Global: 共通設定 Remap backquote to SECape のチェックをはずします。チェックされ たままだと、 [ESC] キーは「 ` 」記号になっています。キーボード によっては、この設定によるキー配列が好みの人もいるでしょう。 Capture File Creator は、通信ログをテキストファイルに保存すると きの対応するエディタを示し、デフォルトは TeachText (または SimpleText )です。 [Select Application] をクリックすれば、 YooEdit 等の使い慣れたエディタに変更できます。その他の項目はデ フォルトで構いません。 Terminals: ターミナル設定 リストに表示されている を選択し、 [Change] をクリック して設定ウィンドウを開きます。 Eight bit connections ( 8 bit 接続)は、漢字コードに日本語 EUC や Shift JIS を使う場合は必修です。必ず選択してください(デフォ ルトで選択されています)。 Emulation は VT220 を選択します( VT100 でもほとんど同じです)。 inline input をチェックすれば、インライン変換が可能になります。 Font は ASLFont+ 等の等幅日本語フォントにすると見やすいです。 スクリーンサイズはデフォルトで 80x24 文字ですが、Screen Width および Screen Height で変更できます。 その他の項目はデフォルトで構いません。 Sessions: セッション設定 リストに表示されている を選択し、 [Change] をクリック して設定ウィンドウを開きます。 Host Name にデフォルトの接続先となる、一番頻繁に使うホスト名を 設定しておきます。 Port (ポート番号)は TELNET 接続の場合 23 となります。ここに 別のプロトコルのポート番号を指定することによってメールやニュース サーバとも通信できるのですが、知識を必要とするのでここでは触れま せん。 Delete Sends は、 [delete] キーを押すことによる一文字削除機能に つかう文字コードを指定します。相手ホストによっては Backspace に しておく必要があります。ちなみに通信中でも、メニューで切り替え できます。後述の「接続中の設定の変更と保存」をご覧ください。 Interrupt, Suspend, Resume の欄をブランクにします。デフォルトで は、 emacs エディタで使う [CTRL]-[C] 等が入力できません。 Translation Table (漢字コード)をホストに合わせて変更します。 UNIX のホストでは EUC (日本語 EUC )が、パソコン通信には SJIS ( ShiftJIS )が使われることが多いようです。 その他の項目はデフォルトで構いません。 FTP Server: FTP サーバ設定 FTP Users: FTP ユーザ設定 これについては、 FTP の使い方の項で説明します。 Telnet の使い方 --------------- 「 File 」メニューの「 Open Connection... 」を選択すると、ダイアログボッ クスが表示されるので、 Host/Session Name に、ホスト名を入力します。 IP アドレスでも接続は可能です。 [[Connect]] を選択してホスト先と接続でき れば、ウィンドウが開き、 login プロンプトが表示されます。 ホスト名の例 備考 ------------------ -------------------------- host.domain.or.jp ドメイン名も含めたホスト名 99.99.99.99 IP アドレス host 同一ドメイン内の場合 最後の例のようにホスト名だけを指定した場合、コントロールパネル TCP/IP (または MacTCP )で指定したドメインネームが、指定したホスト名の後に補 われ、 "ホスト名.ドメイン名" となります。 実際にログインしてみましょう。例えば、 NIFTY-Serve に接続するには、以下 のように入力します。漢字コードは SJIS にしておくとよいでしょう。通常の 電話回線経由と違って FENICS は経由しないので、その部分の入力は不要です。 後は全く同じ方法で利用することができます。 Host/Session Name [r2.niftyserve.or.jp ] 同様に、各プロバイダのホストにもログインできます。以下にホスト名をいくつか 列記します。 プロバイダ名 ホスト名 ----------------------- --------------------- ASAHIネット asahi-net.or.jp リムネット東京第一 moon.st.rim.or.jp BEKKOAME/INTERNET bbs.bekkoame.or.jp NCSA Telnet では、マルチセッションといって、同時に複数のホストにログイン できます(ウィンドウが複数開きます)。またホスト側で制限がなければ、同 じホストに同じユーザ ID で複数のログインも可能です。複数のウィンドウの 切り替えは、「 Connections 」メニューの「 Next Session 」のショートカッ トである コマンド-N (アップルマークのキーを押しながら [N] を押す)が便 利です。 ホスト名を入力しても、ウィンドウが開かずエラーメッセージが表示される場 合は、「接続できないとき」の項をご覧ください。 各ホストへの接続を確認でたら、次に述べる方法で、ホストごとに設定をファ イルに保存しておけば、そのアイコンをダブルクリックするだけで、接続が開 始されます。 接続中の設定の変更と保存 ------------------------ 接続中にも設定を変更したいときは、「 Session 」メニューで可能です。ここ で設定した変更の多くは、接続中に、 [File] メニューの [Save Set...] で、 接続先ホストごとに保存しておくことができます。こうすると、次回からは、 そのアイコンをダブルクリックするだけで、そのホストに自動接続して、login: プロンプトが表示されます。 * Backspace Delete [delete] キーを押したときに送信するコードを切り替えます。ちなみ に [option] キーを押しながら [delete] キーを押すと、逆のコードを 送信できます。 Local Echo 通常、キーボードから入力した文字をそのまま表示する( local echo )ことはしません。文字コードは、まずリモートホストに送られ、リ モート側で処理されてから送り返され( echo back と言われる)、そ れを NCSATelnet が表示する( remote echo )からです。 * Wrap Mode VT-100 がサポートするワードラップ(画面サイズより長い行の折り返 し)機能を有効にします。 EMACS arrow mapping 矢印キーを emacs エディタのカーソル移動に割り当てるとき選択します。 Map PgUp/PgDown/Home/End キーボードに、 [PgUp] 、 [PgDown] 、 [Home] 、 [End] キーがある 場合、それぞれのキー入力に対応する VT-100 のエミュレーション機 能を有効にするとき選択します。 Translation 漢字コードをその場で切り替えることができます。 SJIS パソコン通信の多くに対しては、SJIS(Shift-JIS、MS 漢字コード) を選択します。 EUC ほとんどの UNIX ホストに対しては、EUC(日本語拡張 UNIX コード) を選択すればいいでしょう。 その他に、以下の漢字コードも用意されています。 新JIS ... 1983 年版 JIS コード 旧JIS ... 1978 年版 JIS コード DEC ... DEC 漢字コード 新JIS(7Bit) ... 1983 年版 JIS コード ( 7bit 半角カナを SI/SO で送信) 旧JIS(7Bit) ... 1978 年版 JIS コード ( 7bit 半角カナを SI/SO で送信) Clear Screen Saves Lines 画面をクリアするときに、表示していたテキストを、スクロール領域 に保存するかどうかの選択です。これを選択した場合、クリアしたテ キストは画面をスクロールすることによって読むことができます。 Reset Terminal 端末徒しての画面制御をリセットします。画面がフリーズした場合な どに選択すると、制御不能状態から抜け出せるかもしれません。ちな みに UNIX マシンにログインしていて、キーボード入力を受け付けな くなってしまう一番の原因は、誤って [ctrl]-[S] (データ受信のス トップ)を押してしまうことでしょう。この場合は、 [ctrl]-[Q] と 入力すれば、ストップが解除されます。 Jump Scroll コマンド-J 画面上に大量のテキストを連続的に表示しているときに、いっきに最 後にジャンプして表示を終わらせたいときに選択します。 TEK Page... TEK form feed clears screen グラフィック端末機能を使う場合に使用しますが、本書では触れません。 Set Screen Sise... VT-100 端末の標準的な画面サイズは 80 カラム× 24 行ですが、この メニューを選択することにより、サイズを任意に変更することができ ます。ただし、ログイン先のホストマシンにもこの情報を伝える必要 があります。 X-Window に付属する resize コマンドが使えればカラ ム数、行数の自動設定が可能ですが、なければ、stty コマンドによる 設定や COLUMNS, LINES 環境変数のセットなどで対応しなければなり ません。具体的な設定方法は、個々のマシンで異なるので、詳しくは、 接続先のシステム管理者と相談してください。 Setup Keys... コマンド-S この設定は、初期設定の方法でも触れたように、3項目を全てブラン クにしておけば問題ないと思います。 Font フォントは初期設定で ASLFont+ を選択しておけば、変更の必要はな いでしょう。 Size 文字サイズも変更の必要はないと思いますが、変更は可能です。ただ し、白抜きで強調されていないポイント数は、そのサイズのフォント が用意されていないので、選択しても汚い表示となります。 Color... 文字色や背景色を変更したい場合に、ここを選択してカラー設定ダイ アログボックスを呼び出します。複数の決まった接続先にアカウント がある場合は、接続先ホストごとに異なったカラーを設定して保存し ておくと便利かもしれません。 Capture Sesstion to File コマンド-K ログをファイルとして残したいときは、ここを選択すると、ファイル ダイアログボックスが表示され、ファイル名を入力すると、ログ保存 が開始されます。デフォルト設定では、通信ログは残りません。 接続できないとき ---------------- 接続ができない場合は、いくつかの原因がありますが、一番多いのは、 MacTCP やMacPPP の設定に問題があり、ネームサーバ( DNS = Domain Name Server )が引けず、ホスト名から IP アドレスを得られないことです。 その他に、 プロバイダ側のトラブルや、接続先ホストのトラブルの場合もあります。 "MacTCP Watcher" といったネットワークチェック用ソフトウェアで、それぞれ の接続を確認しましょう。 TELNET 接続中の FTP ------------------- NCSATelnet では、TELNET 接続中に、接続先ホストとの間で FTP によるファイ ル転送が可能です。この場合、マック側が FTP サーバとなり、リモートホスト 側から ftp コマンド( FTP クライアント)を実行することになります。 まず、「 Edit 」メニューの「 Preferences >」で初期設定をしておきます。 FTP Server: Server Mode は On, Username & Password required にします。 NCSATelnet は FTP (ファイル転送)のサーバ機能を持っています。 No passwrods needed にすると、誰でも外から、あなたのマックに接 続して、ファイルを取ることができてしまいますので注意して下さい。 FTP Users: [New] をクリックして FTP 用のユーザ名、パスワードを入力します。 これは自分だけ分かれば、なんでも構いません。 FTP 用のデフォルトフォルダの変更もここでできます。 これで FTP サーバの準備はできました。リモートホストとの接続中に、「 Network 」メニューの「 Send FTP command 」(ショートカットは コマンド-F )を選択すると、リモートホスト側から、 ftp が自動的に実行されます。こ れは「マックの FTP サーバに、リモートホストから接続しているので、ファイ ル転送は、 次の方向となります。 GET マックからリモートホストへファイル転送 PUT リモートホストからマックへファイル転送 ここで使える FTP のコマンドは、リモートホストの ftp に依存しますが、以 下に簡単な説明をします。 cd ディレクトリ名 ... ディレクトリ変更 dir ... ディレクトリ一覧 dir *.hqx ... 拡張子が hqx のファイル一覧 bin ... バイナリモードへ asc ... アスキーモードへ(テキストファイルの転送) get ファイル名 ... マックからファイルを転送 put ファイル名 ... マックへファイルを転送 prompt ... mget, mput での確認 ON/OFF の選択 OFF にすると確認なしの連続転送となる。 mget *.hqx ... 拡張子が hqx の全ファイルをマックから転送 mput *.hqx ... 拡張子が hqx の全ファイルをマックへ転送 quit ... 終了 マックバイナリ -------------- NCSATelnet の FTP サーバは、マックバイナリ形式をサポートしています。マッ クのファイルは、実際はリソースフォークとデータフォークの2つのファイル に分かれていますが、これを UNIX ホスト等に置くときに、1つにまとめたの がマックバイナリ形式です。 「 File 」メニューの「 MacBinary II Enabled 」をチェックしてから、 FTP をバイナリモードに切り替えると、以下のような表示がでます。 ftp> bin 200 Type set to I, binary transfer mode [MACBINARY ENABLED] この状態でファイル転送をおこなうと、マックバイナリを自動変換してくれます。 URL による外部アプリケーションの起動 ------------------------------------ NCSA Telnet 2.7J3 には、画面表示されている文字列の中に URL があったとき に、それをコマンド-クリック(アップル・キーを押しながらクリック)するこ とによって、外部アプリケーションを起動して、その URL にアクセスすること ができます。例えば、表示中のドキュメントの中に、下記の様な記述があった 場合、「<」と「>」に囲まれた URL をコマンド-クリックすると、 Netscape が自動的に起動して、この Web ページにアクセスできるのです。 ・・・ 私のページの URL は です。 ・・・ この機能のためには、Anarchie-J の節で説明している「インターネット設定 ( Internet Config )」がインストールされている必要があります。設定に ついては、そちらをご覧ください。 --- end ---