【八溝川湧水群】
【所在地】茨城県大子町
【最新取材日】1997年4月19日 晴れ
【概要】
八溝山は、茨城、栃木、福島三県の県境に位置する標高1022mの秀峰、茨城県下
の山としては最高峰となる.阿武隈山系の南端で古くから山岳信仰の山として、適度な
標高と眺望と、山頂まで車道整備のおかげで、訪れる人々も多く静かで手軽な観光地と
して近県の人気のポイントでもある.
山頂直下中腹にある日輪寺は坂東札所として古くから崇められてるが、近年の火災に
より現在の建物は質素な味気ないものに建て変わっているのが残念である.
【水場】
八溝川湧水群は古くから水場として知られていたようで、かの副将軍水戸光國公も、
ご愛飲したと伝えられている.
昭和60年に環境庁[日本の名水百選」に泉質されその記念碑によれば、古くは三水と
呼ばれる三ヶ所の水場であったようだが、現在は五水、五ヶ所の命名が有る.
茨城県の観光地の殆どには、黄門様縁の言い伝えが有るが、五水も洩れず水戸光國ご愛
用の記録が残る.
水場は標高高位順に、「銀性水」「白毛水」「龍毛水」「鉄水」「金性水」と五つの
水場が、登山道脇に整備されている.
「銀性(ぎんしょう水」
山頂直下の駐車場から登山道を降りると最初に現れるのが銀性水への看板である.
天然ブナの貴重な保存林の中にひっそりある水場は、残念ながら殆ど水量が無く、雨量
の多い時期でないと期待できない、この湧水群は八溝の沢地形の中を流れて来るために
雨量が直接湧水量に影響するようである.
仮に水量が有ったとしても、この銀性水の生水は遠慮したい.
「白毛(はくもう)水」
銀性水からの登山道を更に下ると、山頂まで伸びた車道を一度横断する. 中規模の
二段になった駐車場脇にひっそり湧いているのが「白毛水」.水量は多くないが、車か
ら労せず水場まで来れることも有って、備えつけのコップから水を頂戴している観光客
も多い.
「龍毛(りゅうもう)水」
白毛水の駐車場から少し車道を登ると右手に「龍毛水」「鉄水」の看板が有る.
看板にしたがって整備の行き届いた登山道を下ると龍毛水への分岐がある.
龍毛水は下の「日輪寺」にも引水されており、このためか湧き出す水量はさほど多くな
い
「鉄(てつ)水」
龍毛水の水場から登山道に戻り少し下ると、程なくたどり着く.
屋根の付いた木枠組みに湧いているようだが、ここも殆ど水量は無いようで、水は動い
てない様子.
「金性(きんしょう)水」
金性水へは、車を利用するなら車道を下から入った方が便利.
黄門様も特にこの水を利用したと伝えられます.
五か所の中ではもっとも水量が多く、石も巧みには位置され、汲みやすくなっている.
訪れたときは、数グループの登山者たちが替わるがわる水をくみ喉を潤していた.
中には、同じようにポリタンクに汲んで持ち帰るカップルもいた.
傍らに案内板とベンチも設置され、水を飲みながら休憩するには、絶好の場所である.
周辺地図 位置図