さて、前回はEPIA PXをゲームボーイに突っ込んでウェアラブル環境を整えましたが、手元にはもう1枚PICO-ITX基板があります。別の店で予約をしておいた物ですが、シリアルはどちらも50番台のとても近い番号でした。予想以上に流通量が少ないのかも知れません。貴重な基板であり、遊ばせておく手はありませんので、もう1台PCを組むこととします。
 
前回は、手近にあったゲームボーイに入れてしまったため、変な物に入れて遊んでいるだけのように、誤解を与えてしまったかも知れません。「EPIA-GB」は少し用途が特殊でしたので、今回はもう少し汎用性・実用性のある物にしたいと思います。
 
では、今回作成するPCの方針について決めていきます。
 
1.Pico-ITXの基板が小さい利点を生かし、可搬性のある物であること。
2.使用場所を選ばないように、ゲームボーイよりさらに洗練された物であること。
3.気をつかわず、楽に運用できる形態であること。
4.通常使用で壊れない程度に丈夫であること。
5.単なるパソコンではなく、外形に趣があること。
 
これらの方針を英語で表すと、それぞれ Portable, Refined, Eazy, Tough, Zesty となります。
私は、今回作成するPCに、この頭文字をとって「EPIA-PRETZ」と名付けました。
 
では、次に筐体を作成するための素材について決めることにします。
前回、GBを改造して作りましたが、当初考えていた物より基板の厚みがあったため、制作がある程度進んだ段階で、実装設計に変更を余儀なくされ、裏蓋再作成、VGAポート部再切削等を行いましたが、裏蓋はFRPとアルミ板の積層としており、通風用に用意したアルミメッシュとの接合など、手間の割には見た目があまりきれいに仕上がりませんでした。また、再設計となったため、当初考えていたエアフローが有効に働かず、使用に当たっては、少々取り回しの不自由な物となっていました。そこで今回は、加工性の高さを最優先に素材の選択をすることとします。
 
家の中にあるたくさんの素材候補のなかから、総合的に判断し、次のものを選択しました。
若干強度に問題があるように見えるかも知れませんが、EMC対策にアルミの薄板で裏打ちをし、表面はトップコートすることとしますので、それほど心配はありません。加工性は高いので、裏面をメッシュとするなどして、クーリングできるようにします。
 
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右側が新素材。 
 
なお、今回は可搬性を確保しながら汎用性のあるものとするため、HMDの使用はしません。その代わりに、可搬性のあるLCD(7.1inch TFT XGA)を作成することにしました。
 
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さて、そんなわけで組み立てに入りますが、まず、箱を開きます。
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次にアルミの薄板で裏打ちをして補強します。
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クーリングの穴を開け、仮組みします。
 
 
こんな感じ。
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アルミ板が少し薄すぎたようで、強度が少し足りていないようです。
 
 
感じがつかめましたので、もう少し堅い部材を調達して試作を続けます。
とりあえず、外箱の代えを用意しました。
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液晶の仮組

EPIA-PRETZと一緒に使用する液晶モニタですが、適当に箱を作り、仮組みしてみました。7.1インチでXGAはさすがに文字が小さいですがきれいに表示されています。U101に使われている液晶パネルが、サイズも解像度も同じですが、この液晶パネルキットはアナログRGB端子だけでなくDVI端子、コンポジットやS端子も付いているため、使い勝手は良さそうです。


接続用のRGBケーブルは、市販品では長いものしかないため、10cm程度のものを作成しました。



さて、EPIA-PRETZの試作を行った結果、問題点が判明したので、作成方針に変更を加えることとします。

問題点
・加工性を最重要視して素材の選択を行ったが、T要素(tough)を満たすことが難しいこと。堅焼きバージョンの空き箱を使用してみたが、サラダ及びローストと基本的に同程度の強度しかなく、アルミの薄板を使用して筐体を組み立てても実用性がきわめて低いこと。

検討
・強度をあげるため、市販のアルミケースを使用することとする。
・比較的加工がしやすい薄手のアルミを使用したものは、構造上小さなケースとなるため、可能な限り小さなケースを使用することとする。
・同一の素材で強度を確保するため、筐体外部に対し、凸型の曲面を有するものとする。

解決策
以上の条件で市販ケースの候補を検討した結果、タカチ電機工業のMX型丸型モバイルケースを使用することとしました。

  

MX 3-11-12BB サイズは、外寸105mm×120mm×30mm、内寸92.7mm×106mm×26.5mmとなっています。PCケースは通常外形寸法で容積を表すことになっているようなので、曲率半径15mmとしてこのケースの容積を計算すると、約0.35Lになります。
おそらくXPが動く自作機では最小の部類ではないでしょうか。

というわけで、「真EPIA-PRETZ」の作成を開始いたします。

つづく