最近読んだ本

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鍛冶俊樹: エシュロンと情報戦争

文藝春秋

213P

著者は、航空自衛隊(情報通信関係の将校)から軍事ジャーナリストへと転身した経歴の持ち主。

アメリカやイギリスなどが運用する通信傍受システム「エシュロン」をテーマとして、通信傍受の歴史と変遷について言及している。特に近年のエシュロンが活躍したと思われる事例については、興味深く読めた。ただ、通信傍受は秘密裏に行われるものであるためか、若干ではあるが論理の飛躍が感じられる。

それにしても、日本は通信傍受の対象外ではないこと、軍事だけでなく経済の分野でも利用されていることに危機感を持たざるを得ない。ちなみに、著者は経済競争も立派な戦争だと述べているし、その言に十分な説得力がある。

<2003年4月30日>


池田信夫: ブロードバンド戦略 勝敗の分かれ目 情報通信社会主義の崩壊

日本経済新聞社

248P

著者は、NHK勤務から国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)助教授を経て、経済産業省研究所上席研究員という経歴の持ち主。

自らがNHKに勤務していたことからも、放送業界の実態を知っていることがうかがえる。また、放送・通信政策についても十分な調査をしていることがうかがえる。特に電波割当や各種標準技術を巡る政治的な駆け引きについても言及していて、それなりに興味を持って読み進められる。

しかし、「何か足りない」という漠然とした印象がぬぐえない。

<2002年3月24日>


伊藤敏幸: ネットワークセキュリティがわかる本

オーム社  なるほどナットク! シリーズ

205P

著者は、日本アイ・ビー・エム研修サービスに勤務。

ほぼ見開き単位で、セキュリティについての用語を主体に解説をしている。例えば、「何から守るか」という章では、「ハッカー」、「盗聴」、「改ざん」、「なりすまし」、「否認」、「破壊」、「ウイルス」、「ワーム/トロイの馬」、「使用不能攻撃」、「不注意」という用語を説明している。

セキュリティについての知識がない、これから学ぼうとしている読者を想定しているようで、セキュリティについての基本的な知識を学ぶには最適な書籍である。

<2002年3月23日>


柴田正良: ロボットの心 7つの哲学物語

講談社現代新書 1582

246P

著者は、金沢大学文学部助教授。専攻は現代哲学。

ロボットは心を持てるかという命題について、哲学者として「心を持てる」という立場から言及している。あとがきに『分かりやすくきちんと書くことは、論点を深めこそすれ、決して薄めることはないということだ。だから、本書の議論は初心者向けに「水準」を落としたところは一つもない。』とあるが、読み終えての印象もそのとおりである。だから、読者は本書を読むにあたって真剣に考えることを要求されるだろう。しかし、真剣に読めば、本書のおもしろさを実感することになるだろう。

ただ、残念なのは、本書が起承転結の「起」で終わっていることだ。あくまでも「ロボットの心」についての問題点が明らかになるだけである。「次の段階」が望まれる。

<2002年3月23日>