VIC-1001とは?
今は亡きコモドール(commodore)社が1980年に出したホビーユースパーソナルコンピュータです(海外ではVIC-20として出てた)。価格は破格の¥69800!
ちなみに、コモドールはPETとかCBMとかそれまではビジネス向けコンピュータを売ってました。VIC以降は、名機Commodore64とその廉価版MAXマシーン、最近ではAmigaを出してました。
CPUにはAPPLE][やファミコンと同じ6502(6502A 1.0227MHz)を使用し(この「APPLE][と同じ」というのに惹かれたりした)、RAM容量は雀の涙の5Kバイト(でも、その内VRAMとカラーRAMで1Kバイト使われて、BASICのワークで1Kバイト使われてしまうので、実質3Kバイトしか使えない)。カセットインターフェースのボーレートは500ボー(当時の他機種は1200とか2400ボーとかだった)。
VICの特徴は、その名前の元になっているVICチップ(Video Interface Chip = MPS-6560)にあります。このチップ1つで、ビデオ、サウンド、コントローラを制御しているので、このパソコンはVICチップにCPUをくっつけたコンピュータといってもいいかもしれない(そんなような事を当時コモドールジャパンが発行していた小冊子「VIC!」で見た気もする)。A/Dコンバータを内蔵しているVICチップのおかげで、コントローラポートに可変抵抗を繋げばそのまま「パドル」になり、フォトトランジスタを繋げば「ライトペン」として使えてしまうので結構おもしろい。
もう一つの特徴は、豊富なインターフェースによる拡張性。特にメモリーエクスパンションバスに差すカートリッジが結構出たので気分はファミコンな事。
<-カートリッジ
CPU MPS-6502A 当然アドレス空間は64Kバイト。バンク切替などない RAM 5Kバイト 最大32Kバイト ROM 20Kバイト BIOSとBASICでこんなに使ってる VIDEO 22x23文字 プログラマブルキャラクターを使用たハイレゾグラフィック(176x160ドット)を使用できる キャラクタ 8色 バックグラウンド 16色 ボーダー 8色 SOUND 3サウンド+1ノイズ 128Hz〜16KHz INTERFACE ユーザーポート プリンタなんかを繋ぐ カセットインタフェース カセット シリアルポート 繋いだことない ビデオインタフェース モニタ(TV)に繋ぐ メモリエクスパンションバス 電源付きのマザーボード(VIC-1010)を差すことでカートリッジを4つ(最大6)まで差せる コントロールポート JOYスティックなんかを繋ぐ
思い出
当時としては破格のこのパソコン、小学生だった私が工業高校に行っていた兄貴にだまされて(笑)お年玉で買わされたのでした(本当はATARI400/800がほしいかもと思ってたような気がする...ゲームがやりたかっただけかも)。これを買ってなかったら、今プログラマーなんて職業に就いてなかったですね(その方がよかったかも...)
しかし、当時のコンピュータ雑誌といえばシャープのMZ80や日立のベーシックマスター、NECのPC8001の記事やプログラムがほとんどでVICの情報を手にいれるのは困難。また移植するにも、VICの画面が22x23文字という変則のため簡単にはいかず、たまに見かける同じコモドールのPET2001のプログラムもやはり文字数の違いで殆ど使えないという(笑)なかなか厳しい状況でしたね。
買ってから1年くらいは5kバイトのまま使ってたんだけど、そのうち辛くなって、兄貴が雑誌で見つけた回路図で16kバイトの拡張メモリを作ってくれました(半田付けだけ手伝った)。でも、16kバイトって広大な空間でしたねー。今は平気で何メガってプログラムになっちゃいますけど、そのころ16kのデータをテープから読もうものなら、その間に食事ができちゃいますから。
VICで一番辛いのは、メモリ容量より何よりも「熱暴走」。夏場は長時間使ってると簡単にイッちゃいました。テープへのセーブが遅いから手を抜いてセーブしないでいると、何時間もかかって打ち込んだコードが....今はマックだけど、作業中にイッちゃうのは変わってないかも(笑)、後、電波対策が弱くて、VICを使ってる間はラジオが聞けなかった。
プリンタを買った時は、ラベル印刷のための漢字フォントをちまちま作ったり、でかい方眼紙にひたすらドットを打ってそれを入力。そして絵付きのカレンダーとかを印刷して楽しんでました(今なら死んでもやらない。何が楽しかったのか!?)。
VICは結局高校2年くらいまでの5〜6年使ってました。高校にPC98があったのでそっちを使い初めると、さすがにフロッピーからテープへ戻ることができなくて...