ばかのはち

けんちくは「顔」が命
(京都市中京区)

ゆ:
いやー、ばかけんちく探偵団、初の関西上陸だね。
も:
そやね。でも初の関西物件がこんなしょーもない「顔ビル」でいいのか。ちょっとショボくないか?。ま、笑えるからいいけど。
ゆ:
確かに「笑いを取る」ことには充分成功してるな。道歩いててこれに出くわしたら吹き出すぜ。でも、これ、家か?。
も:
いや、覗いてみると、どうもデザイン系の事務所みたいだな、1階は。2階はどうかわからんけど。
ゆ:
デザイン事務所ってのが、いかにもだな。コンセプトのためには、周りの迷惑なんか全然気にならないっていう、デザイン人っぽい強引さを感じるな、「顔」に。

も:
いやでも、実際さ。この辺って、京都市街でも特に京都っぽいこういう木造の家がいっぱい残ってる所なんだよな。歩いてみるとよくわかるけど。

ゆ:
この場所で建て替えを、しかも建物をちょっとデザインする余裕があったりしたら、普通はこういう街並みにあわせた感じにするよな。実際、周りにもそういうのあるし。
も:
そうそう、中は普通のビルや家なんだけど、外観を上手く工夫して和風にキレいに作ってあるやつね。あるある。

ゆ:
それなのに、コレ、っていうのは。やっぱ「わざとやった」としか思えないよ。例によって「街並み爆破系」の確信犯的なばかけんちく。
も:
でもこれは、「街並み爆破系」って言っても、ガンダム専門学校みたいにバリバリ「アトリエ・タイプ」なやつが、「一石投じるためにあえてやった」ていう感じとは違うよな。だって「顔」だもん(笑)。
ゆ:
確かに、一石投じてるけど、難解な建築的なコンセプトっていうよりは、単純に「街に笑いを持ち込む」って感じの吉本的なコンセプトに近いかもな(笑)。嵐山の寛平のアメマ看板みたいな。
も:
そう、しかも笑い的にかなりスベってるし。最近よくある「あえてスベって笑いを取る」のパターンだよな。サブさの漂う同情的な笑い。
ゆ:
そうそう。どうも、ダチョウ倶楽部への視線と似た視線で見ちゃうよな。で、これ結局、「アトリエ・タイプ」なんか?、「ヤンキー・タイプ」なんか?。
も:
う〜ん、結局わかんないな。「ヤンキー・タイプ」なら納得いくけど。「あぁ、笑った笑った」で流しちゃってもいいかもしれない。「吉本興業設計部」の仕事と思っちゃえば。でももし「アトリエ・タイプ」だったら、作者が著名な建築家だったどうする?。
ゆ:
リアクション取れないよな。これが、「地元工務店の火遊び」じゃなくて「建築家の自信満々の仕事」だとしたら。
も:
本気なのか、冗談なのか、全く真意が読めないな。

ゆ:
でもこれ家じゃないのが残念だな。人が住んでるんだとしたら、この中でどういう気分で寝起きしてるのか、メッチャ知りたいけど。
も:
口が入口で、目が窓っていうのは分かるけど、この「鼻」はなんやねん?。「無機能」やん。しかも、コントの「外人付け鼻」みたいやん。
ゆ:
こんな付け足しの丸棒っぽいのじゃなくて、鼻だけスゴいリアルにつくってあったら、もっと笑い取れるのにな。なんか柔らかい素材で作ってあって、しかも温かいとか。それで「鼻毛ぼーん!」みたいな。
も:
そういえば、「帰ってきたウルトラマン」に、これとそっくりの「ビルの怪獣」がいたよ。埋め立て地のマンモス団地がそのまま怪獣化しちゃうような話し。名前忘れたけど。それのパクリかな。

ゆ:
あー、あったあった。特にこの、メチャ無表情な目がそっくり。
も:
って、あらためて目ぇみると、恐ぇえなぁ、これ。向かいの家はどんな気分で毎日眺めてるんだろ。
ゆ:
結局のところ、かなりサブいながらも笑えるには笑えるんだけど、場所が悪すぎるよな。繁華街のど真ん中とかだったら、もっと笑いも取れたのに。日本一景観とか街並み保存とかうるさく言ってる場所のど真ん中になぜわざわざ...。
も:
あとは、これが「アトリエ・タイプ」でないことを、祈るばかりだな。建築家があれこれコンセプトひねって、この場所にこの形を納得して作ったんだとしたら、ちょっとブルー入るな。日本の建築家って何考えてんだか、ってことになっちゃう。

ゆ:
でもさ、京都って、街丸ごと「世界遺産」に申請するとかしないとか言ってるんだろ?。特に、寺社とか街並みを「遺産」って考えて。
ゆ:
そーらしいね。
も:
もし、本気で申請するなら。この建物の敷地だけ除外したほうがいいんじゃないか?。「ここだけは遺産じゃありません。」とか立て札立てて(笑)。
ゆ:
いいねー。なんか「えんがちょ」みたいに線で建物囲っちゃって、線から中は「ハズレ」とか(笑)。