97年12月10日(水)にオンエアされた「見城みえこのタフでなければ女でない」への、人間椅子(鈴木氏、和嶋氏の2名)が出演しました。
以下、その内容をレポートします。
「知る人ぞ知る」[鈴]、「知らない人は知らない」[和]人間椅子です、と自己紹介して登場。《二人の風貌》
「青森を出るときは62キロ位だったが現在は86キロになった」という鈴木氏。《中学高校時代〜バンド結成》
一方、和嶋氏は「東京に出てから体重減りました。」
一緒にバンドを始めたのは、高校時代の7人編成のバンド「死ね死ね団」(ヒーロー物TVドラマ「レインボーマン」の悪の組織)から。 遡って中学時代、弘前第四中学在学の鈴木氏、弘前第三中学在学の和嶋氏は、違う学校に通いながら、既に知り合いだった(高校は二人とも弘前高校に進学)。《人間椅子というバンド名》
“ギターの巧い奴が三中にいる”という噂を、鈴木氏は聞きつけていた。 「しかしその頃から、あまり巧くなっていない(笑)」[鈴]。
見城氏の「ギターを始めたきっかけは?」という和嶋氏への質問に、すかさず
「女にモテたいから」と代弁する鈴木氏と「純粋に音楽が好きで」と打ち消す和嶋氏。
和嶋氏は「小六のとき姉が借りてきたビートルズのレコードを聴いて、洋楽っていいなと」思い、その後、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルを聴きだしたとのこと。
見城氏が「その頃からロックの演出が派手に凄くなってきたでしょう」と振ると、
「先人達には勝てないなという思いがあります」と鈴木氏。 鈴木氏は小学生の頃、キッスのライヴを見て以来キッスにはまっていた。
「全然面識のない和嶋君がキッスのレコードを貸してくれと家に来た。なんで面識ないのにコイツに貸さなきゃいけないんだろう」という「印象深い出来事」を述懐。 これに対して和嶋氏は「ロック好きな人が、あまり周囲にいなくて、ロック好きっていうだけで、何となく友達のような。“第何中の誰は何が好き”だとか。“キッスといえば鈴木君”で。今から考えられない行動力を発揮(笑)。中学生ならでは」と弁明。
鈴木氏は「あの頃からワ(僕)の親は和嶋に対して“あの男は変わっている”と。」
>ここで、ひとしきり和嶋氏の時間感覚“ワジマ時間”[鈴]についての話題。
>例.12時に来ると言っておいて、来たのは4時。
高校2年生の頃は違うバンドで活動していた。 鈴木氏はキッスのコピーバンド(あまり上手くない)に在籍。 ライヴの時、ステージ前でヤジる一団がいて、それが和嶋氏のバンドだった。
高三の時、奇妙な縁で同じバンド(死ね死ね団)をやることになり、浪人時代を経て東京でバンドを再開し、人間椅子を結成した。
江戸川乱歩、好きですか? という見城氏の問に、《りんごの泪オンエア》
[和]「特に初期の短編は好きですよ。二十面相になる前の頃。」
[鈴]「ヘヴィーなロックに合うテーマで、和嶋が陰獣を作って、その辺りから(バンドの)路線が決まって。」
白装束に叫びの踊る一寸法師をビデオで見て驚いた見城氏に対して、 鈴木氏は、衣装などの演出は自分の役割、ジーン・シモンズになりたかった、「キッスの日本版」と説明。
「バンド名を決めた時点で暗い音楽をやろうというコンセプトが決まった」と和嶋氏。
「津軽三味線ギターが聴きものです」という鈴木氏の紹介でりんごの泪、スタート。《曲作りとテーマ》
曲が終わると、
[見]「なかなか楽しい曲ですね。」
[鈴]「今、聞いたら訛ってましたね。久々に聴いたら。」
出来上がる順序は、 先にギター・リフ、ベース・リフ(伴奏)が生まれ、次にメロディー、曲が出来たら和嶋氏の頭にパッと閃いて最後に詞。《黒猫オンエア》
「曲が出来てきた時点で、どういう詞がつくか大体決まる」[和]。
日本語で唄うことについて。
「日本でCD出すんだから日本語でないと意味がない」と和嶋氏。
曲のテーマについて。
「何で生きてるのか、現実の違和感--何で世の中の人、時間が守れるのかな?というのが表面的にあったり。」
学生時代の「乱歩の小説の登場人物みたいなモラトリアムな人間--中途半端で何をしていいのか見つからないみたいな」[和]状態がバンドに集約。
出身地・青森/東京について。
「上野駅は懐かしい場所」という鈴木氏。 駅名アナウンスの「うえ〜の」「あおも〜り」という響きに言及、 青森ロック大臣という曲は「あおも〜り、あおも〜り」から着想して出来たとのこと。
[見]「青森で生まれ育った部分が唄に出てくる?」
[和]「自分のルーツですからね。ルーツ無いと不安じゃないですか」
[見]「青森好きですか? そのルーツは?」
「うーん…」ためらう和嶋氏。 「僕は好きですよ。」即答する鈴木氏。
「和嶋君は? 好きじゃない部分もあるそうですね。」と向けられると 「何か近親憎悪みたいなのあるじゃないですか」と対照的な反応。
曲の前振りとして「黒猫って曲、すごい長いんですって?」と向ける見城氏に、 「長いですね。暗いですね。」と作詞作曲者の和嶋氏。 「せっかくビューティフル・サンデーで、さわやかにスタートした番組に申し訳ない」「暗い日曜日という曲もありますよ」[鈴]と言いつつ、重苦しく暗い黒猫をオンエア。《バンドの近況と展望》
アルバム『頽廃芸術展』レコーディング中。唄入れ以外は出来ている状態。※ 作成者注
歌詞の締切まであと5日間で4曲作らなければならない、と和嶋氏にプレッシャーをかける鈴木氏。
「そこまで追い込まれるとかけるでしょう」という見城氏に「彼は追い込まれないと書かないんですよ」と鈴木氏。
最後に、見城氏の「これからも二人のコンビは続きそうですね」に対して
[和]「知り合う前より知り合ってからの時間が長いんですよ。」
[鈴]「その分析はなかなか感動的だね。」
ここまできたら60歳までバンドを続けたいという鈴木氏の決意表明、おどろおどろしい(バンド)かと思っていたがホントに可愛らしいお二人という見城氏の感想で、和やかな鼎談は終了。
「見城みえこのタフでなければ女でない」の情報は、菊池氏、嘉象氏にいただきました。(99-06-13)