平成11年3月25日に、目出度く人間椅子8枚目のオリジナル・アルバム『二十世紀葬送曲』が発売になりました。 皆さん楽しんでいますか? ←前回の前振りの文言とよく似てますね(笑)。<出席者紹介>
さてこの慶事を祝し、当サイトでは掲題の企画を実施(出席者は諸般の事情により前回と同じメンツですが)、パッケージや各楽曲についての意見を交換しました。以下はその模様です。 興味のある方はご覧ください。
い: 練馬調査室長いしー。つまり当サイトの主宰者。趣味は模型いじり。 嘉: 同調査員の嘉象。お小遣いのほとんどを絵葉書につぎこむ収集者。「嘉象堂ホームページ」はこちら。
い: | なんといってもメンバーの写真がかっこいいです。 |
嘉: |
写真ジャケットでメンバーを前面に出してきたのは初めてかな。 古写真風の画像、良いアイディアだと思います。 |
い: |
裏ジャケットの椅子は、トゲがたくさん生えていて痛そう…。中ジャケット写真もいいです。和嶋氏の憔悴した目が怖いですね。 盤面デザインも良いです。真ん中の指が入るところに合わせて、拷問具が描いてあるのが…。痛いよ〜! |
嘉: | 盤面レイアウトは工夫してますが、前作のほうが絵的に良かったな。ジャケットと盤面の色合いが統一されていたら違った印象を受けたかも。あと、CDケースが残念。 |
い: | 折り返しの白い部分がちょっとさびしいですね。黒い盤面には合わないような気がします。 |
嘉: |
前作と同じく、透明ケースで盤面トレイ部も図版が透けて見える仕様にしてほしかったです。 総じて、ジャケット画像は高ポイントですが、モノのトータリティでは前作のほうが上かな。 |
い: | イントロからいきなり70年代風味が漂ってきますね。 |
嘉: | アルバム1曲目から和嶋氏ヴォーカルは珍しいかも。レコードのB面から聴いたような印象を受けました。 |
い: |
サビの部分は、これまでにないポップさで新鮮です。 歌詞が悲しい。泣けます。これまでのアルバムの開幕曲とは一味違います。 |
嘉: | テーマ的には、オルフェウス伝説ものでしょうか。 |
い: | 最後の展開部分は、地獄へ向けて一気に加速していく列車を思わせます。特にベースラインが秀逸です。 |
い: | 2曲目はやはりスピード感のある曲で来ましたね。 |
嘉: |
人間椅子としてはオーソドックスな曲ですね。ライヴ1曲目のツカミで使われそうです。 とにかくイントロがカッコいい! 終盤まで曲を牽引するドラムがカッコいい! |
い: | 鈴木氏の唄は、前作より鋭さが戻ってきたようで嬉しいです。 |
嘉: | 歌詞は…想像したくありません。生々しい描写ですね。「埋葬蟲〜」の約1万倍。 |
い: | 演奏時間がちょっと長いかな。もうすこしコンパクトな編曲でもよかったかも。 |
い: |
イントロから「でた〜!」という感じですな。人間椅子初の堂々と踊れる曲登場か? ノリとしては、『人間椅子』の「神経症I LOVE YOU」や『踊る一寸法師』の「ギリギリ・ハイウェイ」の路線なんですが、この曲は特に突き抜けた感じがします。 |
嘉: | 無邪気な曲。サービス精神のようなものを感じます(笑)。 |
い: | 歌詞とデス声の合いの手を除けば、70年代歌謡曲ですね。 |
嘉: |
個人的には沢田研二の「恋のバッド・チューニング」「おまえにチェックイン」的なテイストを感じるのですが(特にイントロは「恋の〜」まんま…)。 展開部の木馬パートのギターの音が面白いです。 |
い: |
ベースのブリブリした音色も効果的です。いい曲です。カラオケ希望曲No.1!! 和嶋氏はけっこうアイドル系の曲とか書けるのでは。奥田民夫を超えてもらいましょう(笑)。 |
い: | 初のマスヒロ氏の作曲なんですが、7拍子のリフがかっこいい。 |
嘉: |
変拍子のシティポップスなのでしょうか。それにしてはリフ重すぎ。 歌詞はユーミン調? |
い: | 唄もマスヒロ氏ですが、意外と声は高めですね。UKのテリー・ボジオを思いおこさせます。 |
嘉: | ドラムも、さりげなく華やかで良いですよ。 |
い: | ギターソロにロバート・フリップさんが参加してる?!(笑) プレイヤー誌の連載で紹介されていた、自作のファズを使った音色なのでしょう。 |
嘉: | この詞の内容から終盤、メロトロン風(実際に使ってます?)の展開は大胆で爽快です。 |
い: | イントロのフィードバック気味のギターがいいですね。全体的には重暗系の曲のオーソドックスな作りですかね? |
嘉: | 「太陽黒点」のような? |
い: | それらの曲と比べると、どうも印象が薄いような気が…。でもA面最後の曲、ということで。 |
嘉: | 終盤の百鬼夜行的な雰囲気がポイントかな。 |
い: | 今回のアルバムではこの曲が一番ショッキングでしたね。重いテーマを感じます。 |
嘉: |
問題作ですか。いしー氏の琴線に触れるものがあると。 しかし、どういう点で重いのでしょうか? 越えられない一線とか不可逆性とか? |
い: |
説明すると長くなるので割愛しますが、なんというか、あらゆる意味ですごい曲です。 この曲の歌詞の解釈はいろいろできそうですね。 |
嘉: |
私は単純に、詞に出てくる少女はレトロな雰囲気、戦前の女学生雑誌の読者を想像しておきました。 “今日を大事に暮らしたい”という詞が光っていると思います。 |
い: | ストーリー的に、これまでの過去を悔いるような雰囲気が感じられます。 |
嘉: |
曲は展開部の物狂おしいうねりがすごいですね。「菊人形の呪い」をしのぐような。 スパニッシュ風のギターも効果的です。 |
嘉: |
人間椅子にはこのテの曲は幾つかありますが、出色の出来映えではないでしょうか。
間、静寂、鈴木氏の唄声… 宇宙的恐怖ですよ。
ライヴでは照明を落として、厳かな雰囲気で聴いてみたいですね。 |
い: |
鈴木氏の曲とボーカルがマッチしていて、すごくいいです。 「真昼の戦慄」という雰囲気ですね。ライヴでのハイライト曲として期待。 |
嘉: |
奥行きのある曲、人間椅子ならではですね。この雰囲気は、なかなか出せないのでは。 しかし「春」の海って、こんなに邪悪でしたっけ(笑)? 「踊る一寸法師」に近い曲だと思いますが、タイトルだけで暗黒な「踊る〜」に比べて、春の海というお題でここまで作り上げているのはすごいです。 |
嘉: | 前曲、鈴木氏の唄からガラリと変わって、マスヒロ氏の唄、日常的で人間椅子では珍しいですね。面白いです。 |
い: |
演奏は全編レッド・ツェッペリンのテイスト満載で楽しめますよ。次の曲「サバス・スラッシュ・サバス」に話題が集中しがちですが、これも要チェックでしょう。 ところで、この曲でNHK「みんなのうた」はどうでしょうか。 |
嘉: | うーん、子供たちに規則正しい生活を奨励するような「早起きブギ」とか「快眠ロックンロール」とかいう曲でないと採用されないのでは。 |
い: | 最近はコドモにも不眠症が多いと聞きますよ(笑)。 |
い: |
いやー、完全に予想を上回る曲でした!! ここまで露骨に賛美していいんですか? ライヴでは、この曲の後演奏するであろう、ブラック・サバスのカバーが楽しみです。 この曲の人間椅子版を聞いてみたいです。「鈴木〜、邪悪な叫び〜」とか。 |
嘉: |
「和嶋〜、強迫のギター」「後藤〜、般若のドラム〜」とか。 誰しも一つ二つは Black Sabbath! な瞬間があると思いますが、この曲でお祓いしましょう(笑)。 |
い: |
和嶋氏がプレイヤー誌の連載で言及されていた曲ですね。 曲も歌詞も重いです。「春の海」と並んでハイライトになりそう。 |
嘉: | シンプルな構成ですが、重く響く、心にのしかかってくる曲です。 乾いた音と酷薄な唄が良いです。 |
い: | どの曲もそうですが、和嶋氏の書く詞のテーマは、余人の追随を許さないものがありますね。 |
嘉: |
テーマはメランコリア? 手のひらを太陽に透かしてみれば 真っ黒に流れる僕の胆汁、という感じの曲でしょうか。 |
い: | 全体的には『頽廃芸術展』を引き継いで、さらに内容をシンプルにした感じ。音のヘヴィさはちょっと減ったけど、歌詞がそれを補ってると思います。 |
嘉: |
前作では全体を通して聴くと冗長な感じもしましたが、今回は過不足がない構成になっていると思います。 しかし、アルバム・タイトルと内容の関連がつかみにくいような。 |
い: | 個人的には、あと1回くらいギターを重ねてもらってもよかったかも…。 |
嘉: | 私はこのままで丁度よいと思いますが。その分、今回は以前より唄が伝わりやすくなっていると思います。コーラスも良いですし、ヴォーカル、工夫されているのでしょうか。 |
い: | 曲に関しては、全員ががんばった感じですね。鈴木氏も調子が戻ったし、マスヒロ氏のデビューも印象的です。これからも曲作りをがんばってほしいです。 |
嘉: |
メンバー全員が作曲して唄うというのは、今後も継続してほしいです。 三人三様の楽曲と三位一体の勢いあるライヴに期待!です。 |
い: |
今年は十年目ですが、特に気負いのない姿勢には逆に大きな自信を感じさせます。 次の二十周年へ向かってマイペースで驀進してください! |
い: ☆ 恋は三角木馬の上で
☆ 少女地獄
☆ 春の海
次点)不眠症ブルース、黒い太陽嘉: ☆ 都会の童話
☆ 少女地獄
☆ 黒い太陽
次点)幽霊列車
以上、『二十世紀葬送曲』アルバム合評会でした。
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