平成10年2月21日に、目出度く人間椅子7枚目のオリジナル・アルバムが発売になりました。 皆さん楽しんでいますか?<出席者紹介>
この慶事を祝し、当サイトでは掲題の企画を実施(出席者2名)、パッケージや各楽曲についての意見を交換しました。以下はその模様です。 興味のある方はご覧ください。
ね: 当サイトの主宰者こと練馬調査室長ecag。趣味はパソコンいじり。最近ハードディスクを増メガし、束の間の幸せにひたっている。 嘉: 嘉象。少ない体力と時間に苦しみつつも、今日も絵葉書収集にいそしむ会社員。ホームページはこちら。
嘉: | 人間椅子史上、最高のパッケージですね。盤面も凝っていて良いです。 少々価格が上がっても、アートワークは簡略化しないでほしいです。 |
ね: | これまでは『黄金の夜明け』がベストだったんですが、今回はパッケージ全体の統一感の勝利ですね。 きれいなパッケージもCDを買う楽しみの一つですので…。極論ですが、音だけならレンタルで済むわけですから。 |
嘉: | 私はCDを聴くときには必ずケースを手に取るので。パッケージもアルバムの一部と思います。リリース前から話題になっていた見開きの写真は、ライヴ・ショットなどにしてほしかったですね。 |
ね: | そうですね。歌詞カード裏表紙の写真がよかっただけに残念。ひとつだけ文句をいわせていただくなら、表の左側の部分(購入時にオビで隠れてる部分)が灰色のままというのは味気なかったです。人間椅子のロゴくらいは入れて欲しかったです。 |
ね: | こういうダルなリズム、ローチューニングでの開幕はいいですね。しかしドラムスも上手いですね。 |
嘉: | おかえりなさい、マスヒロさん! ベースもいいですよ。鈴木氏の歌声も歌詞の雰囲気が良く合っていると思います。いやー、ロックの歌詞で“わらじ”という単語が出てくるのってすごいですよ(笑)。 |
ね: | 経文もなかなか見られない歌詞ですよね。 あんまり音を重ねないでシンプルに作ってあるせいでしょうか、ギターソロがちょっと音量的にも構成的にも弱い感じがしますね。 |
嘉: | 枯れた感じの曲ですね。聴き終わる頃には線香の匂いがしてくるような。 |
ね: | 現在の人間椅子だからこそできる曲だと思います。 バンドとしての一つの到達点でしょう。 |
嘉: | スピード感のある曲と唄。 『黄金の夜明け』の「独裁者最後の夢」を思いだします。 |
ね: | 曲調はバッジーの「脳外科手術の失敗」そのまま(笑)。でも丸コピーするよりはいいと思うんですが。 |
嘉: | ギターは相変わらず丁寧に弾いている感じですね。 |
ね: | 和嶋氏のボーカルも表現力が増したような気がします。 |
嘉: | 歌詞の内容からすると『人間失格』の「天国に結ぶ恋」と同一コンセプト。しかし凄惨なラヴソングですね。 |
ね: | ギターソロはやっぱり小さめです。遠慮が出てるような気がするんですが。 あと、この曲の元になった「九相詞絵巻」の図はホームページに載せてみたいですね。カラーで。 |
嘉: | 暗黒系サイト一歩手前ですよ(笑)。確かに絵葉書にはまず出ない図版です。解剖図譜の本には時々載ってますが。 |
ね: | 音色も弾き方も不安なシンセが入ってます。プレイヤー誌の連載によれば、これは和嶋氏が弾いてるようですね。 |
嘉: | ちなみに、この曲の歌詞でキラリと光る1行は、2番の7行目「氷を撒こう 薬を打とう」です。 |
嘉: | “Doll, Bloody Doll”ですか。 |
ね: | 3拍子イントロ、4拍子メロディ、サビと間奏がまた3拍子となかなか凝ってますね。 |
嘉: | 後藤氏が器用なのが印象的です。『桜の森の満開の下』の「相撲の唄」を思いだしますが。 |
ね: | 私は「相撲の唄」は連想できませんが…。メロディーが日本的なのは認めますけど。 |
嘉: | コミックソングとは言ってないです。この曲のコワイところは、一度思い出したら延々と頭の中で鳴り続けるところです。 |
嘉: | ライヴではあまりいいとは思わなかったのですが。 |
ね: | というか、ライヴだとよくわからなかったです。とりあえずサバスっぽい曲なのかなー、という程度で。 |
嘉: | 曲の構成は、私の好みだと、もうちょっと整理されてる方がいいんですけど…。 |
ね: | 「様式の破壊」と思えばいいのでは? |
嘉: | 曲の終盤はさわやかです。 |
ね: | “さわやか”っていうのはよくわからないですが…。私は「太陽にほえろ!」みたいだと思いました。 |
嘉: | 心が洗われるような、って意味ですよ。 |
ね: | 曲の最後には呪いも浄化される、ということなのでしょうか。 |
嘉: | この曲は素直に楽しめます。 「人間椅子らしくない」かもしれないけど、聴けてよかったなと思います。 温もりのある音で余裕を感じる曲です。歌詞もいいですね。 |
ね: | スペースロック・シリーズは人気ないようですが。 |
嘉: | 最近の若者にはピンと来ない曲かもしれないですね。ひと昔前のポップス風なんです。 |
ね: | 私は無機質なベースに宇宙っぽいギターソロが絡むところとかが好きです。ドラムスもうまいですね。 |
嘉: | 久々にフィーチャーされたタンバリンを聴け!(笑)。 コーラス部の深いエコーもポイントかと思います。 |
ね: |
歌詞は本アルバムで最も難解な曲ですよね。
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嘉: | いきなり“今日は羊の運動会”と言われても…。謎の曲です。 この歌詞は現代で普通の生活をしている人からは絶対出てこないような内容ですね。子供向けの日本の物語オムニバス本のような。ちなみに私は「パイポパイポ…」は全部言えます(笑)。 |
ね: | 演奏の雰囲気は『踊る一寸法師』の「30歳」に似てますが。あるいは「どだればち」みたいに、リズムとメロディーは民謡がベースになってるのかもしれません。 |
嘉: | 爆発音が入ってたり遠吠えしてたり、音作りは遊んでますね。 |
嘉: | ブルースっぽい曲ですね。 |
ね: | 歌詞からしてそんな雰囲気ですね。タイトルは電気機関車の名前です。 レッド・ツェッペリンとかがやりそうな曲。 |
嘉: | ドラムス、マスヒロ氏はこういうウェットな感じの曲は苦手なんでしょうか。ギターはSG? レスポールで弾くと、また違った雰囲気になると思うんですけど。 |
ね: | 多分SGだと思います。レスポールは重いからやめちゃったんでしょうか。 |
嘉: | ここでも民謡風のメロディーを入れてますね。前の曲と重なるんで、間に違う曲をはさんでくれた方がいいと思いました。 |
ね: | 曲の終わりはフェイドアウトしましたが、再帰してきますね。ドップラー効果でしょうか(笑)。 |
嘉: | サーフ・ミュージックですね。 |
ね: | パチンコ関係の曲はよく分からないです。共感を感じません。 サビの部分は『踊る一寸法師』の「ダイナマイト」の“2連チャン、3連チャン”に似ています。 |
嘉: | パチンカーなら分かるのでしょう。あるいはもっと年取ったら分かるのかな? ギャンブル関係の曲は1アルバム1曲にしてほしいです。 でも「パチンコ・スラッシュ」と名付けたい。サーフィンですが。 |
ね: | 今後のライヴの終盤では受ける曲でしょうね。 |
嘉: | andさんの人間椅子掲示板を見ていてもそんな感じがします。 |
ね: | 雰囲気が最高です。 |
嘉: | 私は同趣向の曲なら『無限の住人』の「莫迦酔狂い」の方が好きですね。 |
ね: | 「莫迦酔〜」では罪の意識が残ってるけど、「阿片〜」は肯定的に完全にあっちの世界に行っちゃってる感じ。 |
嘉: | 『人工楽園』状態ですか。 ところでR・フリップ的なフレーズが見られませんね。 |
ね: | 意識してやらないようにしているのでは。ただ、あの音階を弾くとみんなR・フリップの真似だと思われてしまうのも問題ですが。 |
嘉: | “ぞっとするほど金がない”って現代的な恐怖ですね。次の「ダンウィッチの怪」の<宇宙的恐怖>との対比でしょうか。 |
ね: | 歌詞と唄い方が無表情でいいですね。サロン・ミュージックの吉田仁氏に唄わせてみたい曲です。 |
嘉: | 確かにちょっと前のサロンでやりそうな曲です。英語で竹中仁見氏が唄ってもいいと思います。 最後の方のフレーズは、パチンコの確率変動の音? |
嘉: | 「踊る一寸法師」のようなテーマですか。 |
ね: | ヨーロッパ的プログレですね。ラヴクラフト自身はアメリカ人ですが、作品はイギリス志向ですし。 |
嘉: | この曲は前半と後半に分けたいです。Part-1、Part-2とか。 |
ね: | 鈴木パート、和嶋パートですね。 |
嘉: | 後半は森っぽい気配がして気に入っています。実験的な曲と思いますが、エンディングは雑な感じがします。爆発力に欠けるような。せっかく雰囲気を作っていたのに残念です。 |
ね: | この終わり方も『ブラックサバス4』などを意識してるのでは。でもやっぱり最後の曲にしては物足りないです。「太陽黒点」や「踊る一寸法師」のようにベタベタな展開でもよかったと思うのですが、今回はそれをあえて外したかったのでしょうか。 |
ね: | ブランク期間も音楽を聴き込んでいたような感じですね。オルタナとか。よく知らないジャンルなんですが。 |
嘉: | 今回キーボードも増えてますが、効果的に使われていると思います。 アルバムを通して聴くと、鈴木氏のメロディーラインが一本調子のような気がします。鈴木氏一歩後退か? ボーカルも鋭さがそがれた感じがしました。 |
ね: | 確かに鈴木氏には前作『無限の住人』でのキレがないですね。前作はテーマがあったからまとめやすかったのでしょうか。 |
嘉: | 前作「晒し首」「地獄」はとても好きな曲です。 トータル性は薄かったけど、本作は各人の違いがよく出てました。 |
ね: | 全体を通して、ギターソロが弱い気がしました。もうひとひねりして凝ってほしかったです。 |
嘉: | 曲数よりも、もっとしぼり込んでアルバムとして完成されたものにして欲しかったと思います。前半6曲はすごくよかったのですが…。12曲は多かったかな。 |
ね: | ジャケットに内容が負けてる気がするのが残念です。 「人間椅子ならもっとできる!」という期待があるだけに、アルバム全体として見ると、不満な点は残りますね。 |
嘉: | 今年は奇数月ライヴなども予定されているようですし、昨年の空白期間を忘れさせるような活動を展開してほしいです。 ライヴもワンマンだけでなく、たまにはジョイントも良いのでは? とにかく、新譜が聴けてライヴを観れるという環境は、ファンとして本当にうれしいです。 最後に、これだけは声を大にして言っておきたいです。 |
ね: |
☆ 胎内巡り ☆ 天体嗜好症 ☆ 阿片窟の男 次点)戦慄する木霊、菊人形の呪い |
嘉: |
☆ 胎内巡り ☆ 九相図のスキャット ☆ 天体嗜好症 次点)菊人形の呪い、ダンウィッチの怪(Part-2) |
以上、『頽廃芸術展』アルバム合評会でした。
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