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最終修正:98-06-28(日)
前日は雨が降り、いつもの人間椅子日和となるかと思われましたが、当日の午後は風がやや強いものの、穏やかな大変良い天気に恵まれました。しかし日曜日の渋谷の午後、さらに給料日後とあって、人の波に目が回りそう。
それにしても、まだ日が高いうちからライヴ会場に向かうのもやっぱり違和感があります。
開場は17:30からでしたが、15分ほど遅れて到着。入場口では、過去のアルバムやビデオのタイトルが並んでいます。シングルまで並んでいたのにはびっくり。
定位置を確保せんと会場に入ると、なぜか本日は2階席を開放しています。1階では入りきらないほどチケットが売れているのでしょうか? ともあれ1度は行ってみたかった2階席、すぐさま階段を上って席を確保。2列目中央やや右寄りといったところ。前回のパワーステーションのB1席と似ていますが、パワステよりもステージが近く、ステージ上の楽器類がよく見えます。和嶋氏・鈴木氏のエフェクターやアンプ、後藤氏のドラムスセッティングなどをしばし観察。
開演前の音楽はEL&P;風のプログレ。前回とは違って、ボーカルがグレッグ・レイク/ジョン・ウェットンによく似ているような気がしましたが、もしかして本人の歌声? 開演が近づくにつれ、2階席にも観客が詰めかけてきます。
ステージ上では和嶋氏のグレコが音出しチェックされています。ということは最初は1音半下げの曲で開幕との推理ができます。ここで1曲目、私は「菊人形の呪い」あるいは「陰獣」と予想しました。対して同行者は「胎内巡り」か「莫迦酔狂ひ」と予想。
開演時間を10分ほど過ぎたところで暗転し、いつもより長めの「火星」、引き続いてメンバー入場。今日の服装は、前回のパワステ時と同じです。
和嶋氏はグレコ、鈴木氏はミラージュを手にして、新譜からの1曲目「胎内巡り」。重厚なサウンドながら軽快さも感じられる曲です。終盤の和嶋・後藤両氏による変拍子読経も見事にクリア。
続いて「暗い日曜日」。ライヴ日が日曜であることから、当然やるとは思っていました(笑)。
ここで早くもMCが入り、ギターはメンチ、ベースもイーグルと通常チューニングの楽器へ。重暗楽曲シリーズ、もう終わりですか?!
次の曲は、これまではダブルネックで演奏していた「無限の住人」。12弦ギターの部分はコーラス風エフェクトで乗り切っていました。とりあえず久しぶりに聴けて安心。
次は「銀河鉄道777」。正直言って、ニューアルバム中ではあまり好きでない曲でしたが、今回のキーボード抜きの演奏を聴いて、考えを少し改めました。ジミヘン風9thコードの響きがいいです。
ここでMCとともにギターをミラージュに変え、和嶋氏がスライド奏法を駆使する「村の外れでビッグバン」へ。前回もこの曲ではミラージュを使っていました。花飾りが付いている点も前回のパワステ時と変わりません。ミラージュはスライド専用ということなのでしょう。もしかしたら、オープンチューニングでしょうか?
MCを入れ、再び1音半下げの楽器へ変えて「ブラウン管の花嫁」を演奏。まだ前半だというのに、どうもバタバタと落ち着かない気がします。
次は、1音半下げで演奏するのは珍しい「悪魔の手毬唄」。聴き慣れぬせいか、鈴木氏のボーカルが外れていたような気がしたのですが…?
ここで、予告ゲストの内田雄一郎氏(筋肉少女帯)がスペクターのベースとともに登場。と同時に鈴木氏が退場。次の曲は、有限会社N.I.B.の社歌ということで、ボーカルにオジー・オズボーン(ブラック・サバスの元ボーカル)を起用する、とのMCが入ります。オジー到着、もちろんそれは袖に白いヒラヒラの付いた上着に黒タイツの鈴木氏でした。あまりの奇怪な姿に、和嶋氏が思わず「ビル・ワード(ブラック・サバスのドラムス)のようなタイツ」と口走り、場内爆笑。
ともあれ、内田氏がベース、鈴木氏がボーカルで、ブラック・サバスのカヴァー曲「N.I.B.」を演奏。鈴木氏はサルの様なオジー・アクションまでコピーする大熱演。ほぼ原曲に忠実なアレンジでしたが、この曲は1度は人間椅子の演奏で聴いてみたかったので、個人的には大満足。曲の終わりには、観客からオジー得意の666サインが連発されていました。
次は、時事的に故コージー・パウエル氏を偲んで、後藤氏がコージーのスタジャンを着込んで登場。和嶋氏もリッチー・ブラックモアとなるべくギターを白いストラトキャスターに持ち替えます。鈴木氏がボーカルのまま、レインボーの「スターゲイザー」をカヴァー。私は原曲は知らないのですが、前の曲と同じく1音半下げ、かつ鈴木氏の低音のボーカルでしたので、かなり違った曲に仕上がっていたのではないでしょうか。
鈴木氏がベースに戻り、内田氏はトニー・アイオミ(ブラック・サバスのギター)のような黒いSG、和嶋氏はヨッちゃんSGに持ち替え、全員そろっての「人間椅子倶楽部」。中間部の台詞と、新たに作られた内田氏用の4番が聴きどころ。曲の終盤、なんと大槻ケンヂ氏(筋肉少女帯)が乱入、ボーカルを取る。突然の闖入者の登場に場内が騒然となります。
さて、ここで大槻氏が入れば、これはまさにNHK BS2出演時の編成「大槻ケンヂ+人間椅子01」です。当然次の曲は「君は千手観音」。CDより数倍力強い演奏で圧倒します。この曲が収録されている大槻氏のソロプロジェクト・アルバム『スケキヨ』を宣伝しつつ、ゲストコーナーは終了しました。
嵐の過ぎ去った後、鈴木氏はタイツの上にマントを羽織って登場。イカ天10周年を記念したオムニバスCDがリリースされるとの告知があります。「その中に演奏した曲をやります」という導入で、「人間失格」を演奏します。中間部は、1st『人間失格』リリース時ののライヴを思わせる長い幻想的なギターソロ。
次の曲も初心に帰ったかのような「りんごの泪」。
今度のMCでは、青森でのテレビ番組「人間椅子倶楽部」の話題。毎週1曲カヴァー曲を演奏しているが、今度の6月の収録では「アニメタルがやらないアニメ主題歌」をテーマに「ど根性ガエル」「天才バカボン」「ドカベン」などを予定している、とのこと。番組を視聴できる青森県在住の方がホントうらやましいです!
演奏しづらいのか、鈴木氏はマントを脱ぎ捨て黒シャツ黒タイツ姿、さながら「モジモジ君」状態に変化。「『天』の字ができたら、次の曲の導入ができたのに」と言いながら「天体嗜好症」へ。
続いて「戦慄する木霊」、「地獄」と、前回のツアーの前半曲で押しまくります。前者は今後のツアーの後半の定番曲となるような予感がします。
最後に「針の山」。この曲のギターソロが好きな私は、和嶋氏の完全復活ぶりに感涙しました。
アンコールは、「人面瘡」、「エキサイト」と定番中の定番曲。
2度目のアンコールでは、鈴木氏が上半身裸で血糊噴き出しサービス。そのまま鈴木氏はボーカル、ベースには内田氏がリッケンバッカーで入り「ダイナマイト」を演奏し、ライヴは終了しました。
全般的には、客受けのする楽しいライヴだったと思います。メンバーのサービス精神には脱帽です。特に鈴木氏は、オジー、タイツ姿(モジモジくん)など、ハイテンションなショーマンシップを発揮してくれました。また、後藤氏の志村けんのモノマネにも驚きました。まさかそんなことをするような性格とは思わなかったので…。もちろん、筋肉少女帯からのゲスト2人も盛り上げに一役買っていました。
しかしながら、2、3曲連続して演奏する従来スタイルのライヴを期待していた者としては、MCの多さ、楽器の交換、ゲストの出入りなどでステージの流れが寸断されてしまい、散漫な印象を拭えませんでした。ゲスト退出以後は良かったのですが。
また、重厚なライヴ演奏を期待する向きにも物足りなさが残ったのでは。
7月のツアーでは、どんな趣向で驚かせてくれるのか、またどんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみです。希望としては、原点回帰のブラック・サバス特集を聴いてみたいところ。
個人的な雑感です。
黒一色の衣装の鈴木氏とマスヒロ氏を見て、メンバー全員“新加勢大周”を見られる日も近いのでは?と思いました。
和嶋氏のギターはまったく安心して聴いていられました。もはや全盛期に戻ったと言っても過言ではないでしょう。これからも素晴らしいリフやソロを生み出してほしいものです。
回を重ねる毎に会場からの声援が増してゆくマスヒロ氏。高いアレンジ能力と安定したパフォーマンスを見せてくれて、貴重なドラマーであると再確認しました。
94年『羅生門』でのサポート時代から、ひと回りもふた回りも大きくなったように思います。6月のジェラルドの欧州ツアーでも頑張ってください!
※ タマエ氏のサイト人間椅子讃歌にもタマエ氏によるライヴレポートが掲載されています。特にMCの内容を詳しく知りたい方はどうぞ。
※ 追記
内田氏のベースは、「ウォーウィック」ではなく「スペクター」でした。
また、和嶋氏のヨッちゃんSGは、実際は最近購入した再生産の同型モデルでした。(98-06-10)
SEQ.
曲名
使用楽器
ギター
ベース
<オープニング ホルスト「惑星」より「火星」> グレコ ミラージュ 1 胎内巡り
2 暗い日曜日
<MC> メンチ イーグル 3 無限の住人
4 銀河鉄道777
<MC> ミラージュ 5 村の外れでビッグバン
<MC> グレコ ミラージュ 6 ブラウン管の花嫁
7 悪魔の手毬唄
<MC> スペクター
(内田)8 N.I.B. (BLACK SABBATH)
<MC> ストラト
(リッチーモデル)9 STARGAZER (RAINBOW)
<MC> 最近買ったSG
黒SG(内田)イーグル 10 人間椅子倶楽部
<MC> 最近買ったSG (ヨッちゃん型) 11 君は千手観音
<MC> 12 人間失格
13 りんごの泪
<MC> 14 天体嗜好症
15 戦慄する木霊
16 地獄
17 針の山
<アンコール1> メンチ リッケンバッカー 18 人面瘡
19 エキサイト
<アンコール2> リッケンバッカー
(内田)20 ダイナマイト