※ 篁 紅緒氏によるレポートです。多謝! 読んだ人は、感想を送ってあげてくださいね。
二ヶ月ぶりの大阪公演は、人間椅子には似合わない(?)おだやかな晴れた日となりました。
6時前会場についた私は待ち合わせておいた妹と二人で開場を待ちます。
今回、何故か物販の机の上に芳名帳を発見しましたが、どなたか招待されていたのでしょうか?謎です。今回の客層は、若い男性が増えたように感じました。男女比1:2くらいでしょうか?
普段の大阪にくらべると客入りは少ないようですが、男性は和嶋さんサイドに固まっていてなかなか壮観です。(^_^)さて、今回は隔月ライヴの初日ということで何の曲をやるか想像するのも楽しみの一つですが、そんなことを考えているうちにおなじみの「火星」が鳴り響いてきます。
何回聴いてもメンバーの出てくるまでの時間が長く感じられ、期待と興奮の入り交じった切ない気持ちになるのは私だけではありませんよね?そしてメンバーの登場です!
和嶋さんは前回のツアーで見られたゆったりしたズボンに薄手のベスト、マスヒロさんはいつも通りの黒い上下、鈴木さんは大阪では初めてお目にかかる、ベージュがかった白地に紅白の菊花を散らしたお着物です。女物なのか、合わせが体型に合ってない気もしましたが…いえ、とってもお似合いです!(^_^)そして何から始まるかと思いきや、「菊人形の呪い」でスタートです。
客も意表をつかれてか、ちょっととまどいぎみでノリもいまいち?しかし演奏は余裕たっぷりです。
そして「胎内巡り」へ。イントロのドラムはさすがマスヒロさん、聴かせます。じっくり唄われる鈴木さんにしばし釘付けになりました。今日は、めずらしくメンバーは新幹線で大阪に来られたようですが、なぜか鈴木さんが遅刻(!)されたそうで、小林さんや現地の小屋にも連絡は無く、まさか日にちを間違えてパチンコに行ってしまったのでは?とか、遂に失踪してしまったのでは?などと憶測が飛び交ったようですが、事の真相は…。
鈴)
「いや今日はですね、時計が壊れまして。」
和)
「ええっ!?」
鈴)
「和嶋君みたいな言い訳ですが。(笑) 時計が一時間遅れてまして、鳴らなかったし、時計のせいだと思ってますがどうもすいませんでした。」
ペコリとメンバーに向かっておじぎする鈴木さん、なんだか可愛いかったです。(^_^)
8時半に起きて9時に家を出たつもりが、何故か10時開店のパチンコ屋が開いている…。ゾッとしたそうです。(^_^;;)
和)
「ついに鈴木君にもビッグバンが訪れてしまった…、というわけで次の曲は、『村の外れでビッグバン』!!!」
和嶋さんはギターをお花のついた青いミラージュに持ち替えです。アッパーなナンバーに会場もほぐれてきた様子。
…アレ?2コーラス目の歌詞が出て来ません。(^_^;;) アドリブのギターソロで難なくクリアし、歌も復活。ギターソロへ突入です!
アクシデントもぶっとばすような楽しさに会場全体で「ゥワォ〜!!!」
私はずっとモンキー踊ってました。(^_^;;)
鈴)
「何色でしたか?今の頭は。真っ白でしたか、やっぱり。」
和)
「…あ、そうすね。(笑) あの、心まで僕は白くて美しいという。」
鈴)
「ま、そんなことはどうでもいいんですが、(笑)」
和)
「(笑) 7枚もアルバムを出しますとたまにこんな事もあるわけですが、次にやります曲は、6枚目のタイトル曲にもなった『無限の住人』!」
ギターと和嶋さんのボーカルが美しく絡みます。そして怒涛の後半へ!三味線フレーズも決まりハードな展開に会場も興奮です。
続け様、意外な選曲の「りんごの泪」に客もうねるうねる!何回もライヴで演奏されてきた曲とあって、安定感がありますね。ギターソロの長〜いフィードバックと流れる運指にうっとりです。
和)
「先日、「ビンテージギターファイル」というアルバムが発売されましたが、僕もそれに参加させていただきまして、往年のギタリストに混じって弾いたわけですが、なんだか僕だけ浮いてるんですね(笑)
ライナーにも、「和嶋氏は、異彩を放っている」と書かれてまして、ギターについては一切触れていないと言う。(笑)
ま、今日はその中から一曲やりたいと思いますが、架空のTV番組のOP曲として作りました、『サイコパス』」実は私はまだ聴いた事が無かったのですが、不安をかきたてられるような、それでいて耳に残るフレーズで、短いながら存在感のある和嶋さんらしい曲でした。
しばし沈黙の後、
和)
「鈴木君、ライヴも遅れてMCも遅れてる。」(不安そうに。)
ちょっと手違いがあって鈴木さんは何か相談されていたようですが…。
メンバーと小林さんの4人で去年会社を作られたのですが、その時になんと、番組「人間椅子倶楽部」でおなじみ、ふくし耳鼻科の北山先生が、「いつでもいいから」ということで、ポンと300万円出して下さったそうです!
それは見せ金のつもりが今では全部使ってしまったということですが…。
で、その会社の名前が「N.I.B.」、それにちなんで次の曲はブラックサバスの「N.I.B.」です。
鈴)
「小林さん曰く、『人間椅子バッカー』だと。」
和)
「『人間椅子バカ』じゃないの?(笑)」
鈴)
「僕もねぇ、それは止めた方がいいんじゃないかと言ってるんですが僕としてはですね、『人間椅子バンド事務所』の略でいいんじゃないかと。
ちょっと歌詞が憶えられませんでした…。社歌なのに。」という鈴木さんの足元には英語で書かれたカンペが用意されていました。(^_^) そしてなんともいえないベースのビヨビヨサウンドで曲が始まります!
オリジナルよりも ビヨビヨ度は高めかな?
そしてオジー鈴木さんによる鼻濁音交じりのボーカル、はぁ、素敵です。
和)
「ホントはこ〜やって手拍子やりたかったよね。」
鈴)
「ベースを弾きながらは無理ですね。(笑)
ホントはギターソロのチョーキングの時にこ〜(手を震わせながら)やりたかったんですけどね。オジーの真似でこの腹です。(笑)」鈴木さんがベースを持ち上げお腹をぺシぺシと。 くすくす 、思わず笑ってしまいました。(^_^)
さて、今日の客入れBGは人間椅子にはめずらしくマイケルシェンカーグループがかかっていましたが、あれはコージー追悼の意味があったのですね。
普段、コピーをする時は絶対に同じフレーズを叩かないマスヒロさんも今回はなるべく同じようにコピーされたとか。
リストバンドもされて気合が入っています。そう、「スターゲイザー」です!イントロのドラム、只々感動です。(T_T) ああ、ミューズホールにコージーを見たよ…。そして呪術的なギターソロ、うっとりです。
高音が苦しそうですが、いつものセクシーな唄い方と違ってワイルドといった感じの鈴木さん、ベースがなければもっと楽に唄えたのでは…?でも、本当にお素敵でした。
和)
「ロニージェイムスディオというよりは、グラハムボネットに近い鈴木君のボーカルが聴けました。」
鈴)
「ディオのコブシはすごい難しくて、ベースを弾きながらスカァ〜イァイァイっていうのができませんで、単純明快なグラハムボネットバージョン、80年頃のモンスター オブ ロックのLD、B面一曲目よりやってみました。」
和)
「さて、松田聖子さんが結婚しましたが、次にやります曲もそのネタから取ったと思われては心外であります。 そろそろ6月ということで久々にやってみます、『ブラウン管の花嫁』」
今回は和嶋さんのボーカルを堪能できる曲が多いですね。コーラスも決まって気持ちいいです〜。
そして、鈴木さんが足元のスイッチを「カシッ」と踏まれると、またもやベースからはビヨビヨという音が。んん?これは「悪魔の手毬唄」ではありませんか!意外と言うか、ライヴでは初めて聴きますがこれもコーラスが気持ちいいですね。映画のワンシーンが頭に浮かびます。「ED75」の曲中にある、「き〜んのぉたぁま〜ごぉは〜」と言う部分は、鈴木さんがゼロから作曲したわけではなく青森ねぷた祭りのお囃子から引用した物で、今回はそのお囃子を和嶋さんが笛、鈴木さんがドラムを叩いて再現されました。
本番は上手くいったという和嶋さんの笛と、ヘッドが破れそうなくらい力強く叩かれる鈴木さんのドラムにマスヒロさんも加わります。祭囃子は全国各地に色々あるでしょうがやはり日本人の血、と言いますか、懐かしい響きに心が昂揚してしまいました。そしてお話は青森行きの電車の話から、鉄道マニアの話題にまで発展したのでした。(^_^)
和)
「話が長くなりましたねぇ。(笑)」
鈴)
「今のフレーズを思いつつ聴いてみましょう、『ED75』」
ドゥームメタルと津軽ねぷた囃子の融合されたブルージーなサウンドは、鈴木さんのセクシーなボーカルと和嶋さんのじっくりと奏でられるギター、そしてマスヒロさんの重さを効かせたドラムの成せる業ですね。
続く曲は「暗い日曜日」です。和嶋さんのボーカルを良い事に、鈴木さんはステージ前方で観客に大サービスです!はう、クラクラするほどセクシーですよぅ。(>_<)
サビの入り際に激しくジャンプする鈴木さんにつられて、観客も自然と大波ができます。ここは首の振りどころ、暴れどころです!
鈴)
「アレは腰にきたね。(笑)」
和)
「アレは一応クリス スクワイアーを意識してジャンプしてんだよね。」
鈴)
「なんか物足りなくてピート タウンゼントにしてみました。」
和)
「そういえば、減量の話がありましたが。(笑)」
鈴)
「…パチンコ屋までは歩いて行くようにします。コーヒーはなるべく無糖を飲みます。コーラはダイエットコーラを…、飲まなきゃ一番いいんじゃないか。(笑)」
そして7月に発売されるイカ天CDの話題へ移ります。
本当は「陰獣」を入れたかったのですが、「森の木陰でどんじゃらほい」の唄を作った人がまだ健在なので、著作権の関係で「人間失格」が収録されることになりました。と、いうことで次は「人間失格」です。今となっては生で聴く事はないだろうと諦めていましたが、まさかこの曲が聴けるとは!!!鳥肌が立ちました。
重苦しいリフに重なるツインボーカルのうねり、そして嵐の前の繊細なギターソロ!ブラウン管でしか見る事のできなかったその曲が目の前で展開される感動は、文章では語りつくせません!
続く「天体嗜好症」では手拍子の波ができます。曲が終わるとおもむろに、パチンコのお話へ。(^_^)
鈴)
「パチンコには、天国モードもあれば地獄モードもあります。地獄モードのときはあせってはいけません。(…以下略)
シーン、てされたからもう言うのやめようかな。(笑)」和)
「すべて、何でもギャンブルにあてはめますね。(笑)」
鈴)
「いや、ギャンブルは人生の縮図です。(きっぱり!)」
という前フリで次は「地獄」です! 立て続けに「戦慄する木霊」「針の山」のブチ切れ凶悪大暴れモード炸裂!!!そしてメンバーは退場されフラフラの私…。
すぐに湧き起こるアンコールに答えて再登場です!!!
大阪のアンコールはこれでなくっちゃ!の「幸福のねじ」にうきうきしながら「エキサイト」!うあ〜、みんなで「エキサイッ!!!」
ギターを肩の上で弾きながらクルクル回る和嶋さん、すっごく楽しそう。
鈴木さんは飲みかけのペットボトルをステージ下に差し出され、大サービスです。ああ、私には遠すぎました…。(T_T) マスヒロさんまでリストバンドを放られます!もうもう、最高です!そして退場される三人を惜しみつつ、時計を見るとすでに9時を回っています!二回目のアンコールはあるの!?という不安をよそにメンバーは再登場して下さいました。和嶋さんはなんと、胸に「天功」の文字のTシャツにお召し代えです。(^_^)
和)
「三代目 引田天功と呼んで下さい。(笑)」
鈴)
「さて、いつもとは違うライヴをここでちょっと、唄のない曲をやってみましょう。これをコピーした時、なかなかおもしろかったのでちょっとやらせて下さい。」
インストというと、何が始まるのでしょう?プログレだとそんなに変わらないし…、と考えているうちに始まったのは「太陽にほえろのテーマ」ではありませんか!!!こんな曲までレパートリーにしてしまうとは、人間椅子あなどり難し!
そして怒涛の如く「ダイナマイト」になだれ込みますが、鈴木さん、ボーカルフライング&テンポ早すぎ!(^_^)でも、その意気や良し!!!
二時間半にも及ぶ長丁場のステージを、少しも飽きさせる事無く楽しませるそのパワー、7月のライヴも期待させていただきますよ!最後の最後で
鈴)
「三人でクリス スクワイアーの真似しましょう。」
といいながら肩を組んで片足上げ!ご機嫌と、仲の良さを見せ付けて下さった三人がとても羨ましく見えました。
会場を後にされる時も、バンのそばで待っていたファンに鈴木さんが握手されるご機嫌の良さ!お帰りの際は、天功Tシャツを着用されていました。(^_^) 私はその50cm後方で固まってましたが…。(T_T)今回は、全曲を通してバンドとしてのまとまりがすごく伝わってきて、とても気持ち良く聴く事ができたライヴでした。
いつもは終わった後、「次のライヴまで待てない、もっと聴きたい!」という思いが強く残るのですが、今回は充実した時間を過ごせた嬉しさがありました。
おのずと二ヶ月後に期待してしまいますが、次はどんな曲で楽しませてくれるのでしょうか?隔月ライヴ、ずっと続けて欲しいなぁ…。ここまで読んで下さり、本当に有難うございました。少しでも大阪公演の興奮が伝われば幸いです。
新緑の季節、妄想と科学によって篁 紅緒がお送り致しました。
SEQ.
曲名
<オープニング ホルスト『惑星』より「火星」>
1
菊人形の呪い
2
胎内巡り
<MC>
3
村の外れでビッグバン
<MC>
4
無限の住人
5
りんごの泪
<MC>
6
サイコパス
〜「殺人者の因果律」オープニングテーマ<MC>
7
N.I.B. (BLACK SABBATH)
<MC>
8
STARGAZER (RAINBOW)
<MC>
9
ブラウン管の花嫁
10
悪魔の手毬唄
<MC>
11
ED75
12
暗い日曜日
<MC>
13
人間失格
14
天体嗜好症
<MC>
15
地獄
16
戦慄する木霊
17
針の山
<アンコール1>
18
幸福のねじ
19
エキサイト
<アンコール2>
20
太陽にほえろ!のテーマ
21
ダイナマイト