「総合目次」にもどる |  「演奏会報告の目次」にもどる |  最終修正:98-04-07(火)

98年4月5日(日) 新宿 日清パワーステーション 【頽廃芸術展】
17:00開場 18:00開演

【レポート】
 4月に入って、暖かくなったり寒くなったりと不順な天候でしたが、今日は人間椅子のライヴがあるとは思えない、本当に天気のいい穏やかな午後です。電車で日当たりのよい席に座ったりすると、このままボケていきそうな気持ちの良さ。沿線の満開の桜を楽しみつつ新宿へ向かいます。

 いつもより早い午後5時の開場ということで、まだ明るいうちにパワーステーションに到着。15分ほど前に着いたのですが、すでに100人以上の人たちが並んでいます。とりあえずチケット番号に関係なく並ばされているようで、列の後に付きます。
 列に並びながら電柱に止まっているカラス(最近都内はカラス多いですね)なぞをボケーッと眺めている間に5時になり、フロア/番号順に入場が始まりました。B1席(といっても席なんかない立ち見ですが)なので比較的早めに入れました。
 だいたい舞台中心に位置を取ったあと、B2に降りてツアーグッズを物色。噂のツアーTシャツ2枚とステッカー2枚、人間椅子お札を2枚入手しました。お札は帰ったらうちの調子悪いパソコンに貼らねば…。

 照明が落ち、お馴染みの『火星』の流れる中、暗闇のなかスクリーンが降りてきて、『頽廃芸術展』のアルバムジャケットが映写されます。この時点で会場はすでに興奮状態。

 メンバーが楽器を持ち、和嶋氏のアルペジオから本ツアーのオープニング曲「戦慄する木霊」
 和嶋氏は、金色の刺繍入りベストを素肌に着ています。下周りは袴チックなエスニック調ズボンに薄茶色の革靴。色彩は違えど、デビュー当時のいでたちを思い起こさせます。ギターはヨッちゃんSG。フロントとリアのピックアップの間に、頽廃芸術展のステッカーが貼られています。ピックアップのスイッチはフロント側になっており、CDで聴ける音がそのまま出ていることに感動してしまいました。
 鈴木氏は、クリーム色の地に赤と白の花弁の菊模様の和服。赤い菊が血糊の痕に見えます。ベースはメインのB.C.リッチの木目・お札貼りイーグル。
 後藤氏は、いつもの新加勢大周風黒ランニングに黒の革パンツ。相違点は首から下げているペンダントが増量したことぐらい。ドラムスもお馴染みの深緑色のタマ。ジェラルドの時より若干シンバル類が少なめか?

 続いて「地獄」「血塗られたひな祭り」。事前にandさんの掲示板に寄せられていたセットリストを見ていたせいか、このあたりの選曲は予想範囲内です。
 ここで最初のMC。千葉LOOKから始まった鈴木氏の減量ツアーは、この最終日までに1kg増と、完全な失敗に終わったことが報告されます。第3次性徴期ということで、次のライヴでは一回り大きくなった姿を見せるとのこと。本当にそれでいいの?(笑)

 次の曲は「九相図のスキャット」。会場は手拍子で盛り上がっていますが、私はリズム感がないので静観します。ギターリフが小気味良い。

 続いて「賽の河原」。なんだか久しぶりに聴いたような気がしてたのですが、前回のON AIR WESTでもやってましたね。

次の曲はパワーステーションならではの企画、と言うMCの後、スクリーンが再び降りてきて、怪獣映画「モスラ」(最近のリメイク版ではない古い方)の画面に合わせて「モスラ」を演奏。鈴木氏が「リハーサルの時に、最初で最後の企画だと思いました」と言っていたように、映像の終わりと演奏を合わせるのは難しそうでした。ギターソロでは、和嶋氏は弁当ファズではなく、グラフィック・イコライザーのスイッチを入れてあの音色を再現しているようでした?? 詳しいことがわかる方は教えてください。

 続いて、和嶋氏がギターを青いミラージュに持ち替えてMC。ミラージュには花が付いています。和嶋氏が次の曲「村の外れでビッグバン」の歌詞に出てくる「海砂利水魚の水行末」について講釈しますが、長い名前の話ゆえ延々と続くMCに、鈴木氏と後藤氏が柔軟体操を始め、場内から失笑が。
 ようやく演奏が始まる「村の外れでビッグバン」。サビの部分の後藤氏の叫びになぜか納得。

 続いてドラムソロの間にギターをメンチ、ベースを白いミラージュに持ち替え、フリーセッション風の演奏から「どだればち」へ。この曲を聴くと、人間椅子のライヴに来たという安心感につつまれるのは、私だけでしょうか。

 MCで鈴木氏がグレコのモニターで貰ったという新しいベース、ミラージュを紹介。色はパールホワイトで、普通の白とは光り具合が微妙に違っています。この間に和嶋氏はギターをグレコに、と来れば「暗くて重い曲」の始まりです。
 和嶋氏の「シャーロック・ホームズの短編から…」という紹介で、まず「阿片窟の男」を演奏します。私のお気に入りの曲だけに大満足。ギターの音色が素晴らしい。また、メロンの網の目模様の照明が雰囲気を盛り上げてくれます。

 続いてラヴクラフトの宇宙的恐怖、「ダンウィッチの怪」。鈴木氏が赤いライトに照らし出されて唄う様は、まさにウィルバー・ウェイトリイ。

 MCでは、「ED75」の中間部のメロディの元になった弘前ねぷたの笛を、鈴木氏と後藤氏の太鼓付きで和嶋氏が生演奏。私の近くからは「わずま、へだくそー!」の声も(笑)。本題の「ED75」、和嶋氏のブルースギターソロが冴え渡ります。さすがプレイヤー誌の連載で自ら「凄い」と言うだけのことはありますね。

 次は「暗い日曜日」。インディーズ盤発表ながら、すでに人間椅子の代表曲ですね。

 MCでギターをメンチ、ベースを木目イーグルと通常チューニングに戻して、「天体嗜好症」。鈴木氏曰く、「河村隆一のつもりで唄った」(えぇっ!)とのこと。今回はこの曲が聴けてよかった…、と感傷に耽っていると、ギターソロの途中で後藤氏がドラムスを降り、和嶋氏のヨッちゃんSGで参戦! すると鈴木氏もベースをSGに持ち替え、1人ずつソロを取りつつ3人でSGギター合戦!! 以前どこかで和嶋氏が「ブルーオイスターカルトのように全員SGでやりたい」と書いていたような記憶がありますが、まさか本当に全員でやるとは…。後藤氏のギターが意外と上手でした。鈴木氏のギターの音色は意外に(失礼)上品。ひとしきりギター対決を楽しんだ後、後藤氏、鈴木氏と元のポジションに戻り、曲を完奏。

 次の代表曲「天国に結ぶ恋」では、ギターソロの最後のブレイク部で、和嶋氏がしつこく長い長い長いフィードバック〜〜。鈴木氏も後藤氏も呆れて持ち場を離れて和嶋氏を見に来る始末(笑)。

 続けて「幸福のねじ」「針の山」で予定調和的に無難に締め。「針の山」ではギターのコードが外れて音が出なくなるアクシデントに見舞われるも、大事に至らず。

 アンコールでは、最初に登場した後藤氏のカウベルのリズムに誘われるがごとくに、和嶋氏、鈴木氏の順に登場し、久しぶりに聴く「ヘヴィ・メタルの逆襲」。ギターはメンチ、ベースはこれも久しぶりのリッケンバッカーでした。
 続いて当然すぎる選曲の「エキサイト」で終了。

 スクリーンが下り、「人間椅子」の文字が映しだされるなかでの2度目のアンコールはもちろん「ダイナマイト」で終演となりました。

 総評ですが、前回より1曲1曲が締まって聞こえました。前回のツアー【歳末猟奇劇場】に比べて演奏は格段に進歩、というか以前の水準に戻ってきたと思います。特に和嶋氏の復調が目覚ましいですね。鈴木氏は太ってもいいけど(笑)声の鋭さは失わないように気を付けてほしいです。後藤氏は相変らずうまいです。6月はジェラルドの海外ツアーも控えているそうなので、がんばってほしいです。

 会場の音響の効果もあると思いますが、サウンド面では音量/音質ともに文句なしでした。ベースの音が少し小さかったかな? 照明もいいし、家からも近いし(これはどうでもいいですね)なんでこんなにいい場所が閉店になってしまうのか…。大変残念なことです。ちなみに6月末までの営業です。

 今回はさまざまな趣向が盛り沢山、ツアー最終日らしいイベント的な盛り上がりがあって良かったと思います。特に「モスラ」は映像負けしない強力な演奏だったと思います。しかし楽しかった分、緊張感には欠けていたような気もします。
 選曲面で欲を言わせていただくなら、『頽廃芸術展』からもう少し演奏してほしかったかな、という気がしました。特に「胎内巡り」「菊人形の呪い」は是非ライヴで聴きたかったです。そういう意味でも、重暗シリーズが4曲はちょっと物足りなかった…。

 ともあれ次回への期待も込めて、出口でさっそく5/31のON AIR WESTのチケットを買ってしまった私でした。ちなみにチケットはラッキーナンバー13が取れました(笑)。

 今後の奇数月ライヴでは、重暗シリーズ特集とか、カヴァー大会とか、キーボードなどゲスト・プレイヤーを迎えてとか、テーマを設定したライヴを観たいです。
 もちろん新曲もお願いします!!
【チケット】
チケット

【セットリスト】
SEQ. 曲名 使用楽器
ギター ベース
<オープニング ホルスト「惑星」より「火星」> ヨッちゃん イーグル(木目)
戦慄する木霊
地獄
血塗られたひな祭り
<MC>
九相図のスキャット
賽の河原
<MC>
モスラ
<MC> ミラージュ
村の外れでビッグバン
ドラムソロ〜どだればち メンチ ミラージュ
<MC> グレコ
阿片窟の男
10 ダンウィッチの怪
<MC>
11 ED75
12 暗い日曜日
<MC> メンチ イーグル(木目)
13 天体嗜好症
14 天国に結ぶ恋
15 幸福のねじ
16 針の山 リッケンバッカー
<アンコール1>
17 ヘヴィ・メタルの逆襲
18 エキサイト
<アンコール2>
19 ダイナマイト
※ 人間椅子讃歌にもタマエ氏によるライヴレポートが掲載されています。特にMCの内容を詳しく知りたい方はどうぞ。

情報・投稿・忠告・激励・罵倒メールは:ecag@st.rim.or.jp までよろしくお願いします。

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