97年12月16日(火)渋谷 ON AIR WEST「歳末猟奇劇場」 
18:00開場 19:00 開演 
【レポート】 
 
 後藤氏のカウントと同時にSEは消え、「晒し首」。昨年10月のパワーステーションと同じオープニングながら、今回の和嶋氏のギターはメインのメンチSG。全体的にギターの音が前にでてくるような感じで、フレーズの1つ1つがよく聞こえます。反面、ベースやドラムスの音圧がすこし弱いかな? 
 最初のMCは鈴木氏。続いて待望の新曲、和嶋氏の説明によればオルタナ系を目指したという「九相図のスキャット」。メインリフはブルー・オイスター・カルトの"Godzilla"風だが、歌の部分はベンチャーズ風という不思議な曲。両方ともアメリカのバンドだし、オルタナもアメリカが発祥なのでかまわないか(笑)。 
 ここで楽器替えと2度目のMC。今度は和嶋氏の番です。1音半下げの新曲「菊人形の呪い」の紹介に続いて演奏。いつのまにか後藤氏はシャツを脱ぎ、テリー・ボジオと新加勢大周(笑)に影響を受けたという黒いランニングになっています。 
 ここで再び通常チューニングの楽器に戻しMC。鈴木氏から、このライヴの模様がパーフェクTVで放映されるとの告知がなされます。「人間失格」が入っているカラオケ屋として有名な(笑)DAMでお馴染みの第一興商のチャンネル267「スターカラオケ」の「Cool Jamming」という番組で、98年3月1日から1週間くらい放映されるそうです。 
 アンコール1曲目はなんと「あやかしの鼓」。初めて見た人間椅子のライヴで新曲として演奏された時のことを思いだし、感無量。そのまま「針の山」で締めます。ギターソロはちょっと危うかったけれども、バンド全体のノリはすごくよかったです。 
 今回演奏された新曲は3曲。私は1度聴いただけでは曲が憶えられない/歌詞が聞き取れないので、来年の新譜発売を待ち遠しく思いました。 
 
【セットリスト】 
 
【チラシ・チケット】 
 
 開場は18:00でしたが、私は18:30ごろに会場のON AIR WESTに到着。昨年のCLUB QUATTROから1年、待ちに待った久しぶりの人間椅子のライヴとあって、会場はすでに8割ぐらいの観衆で埋まっています。『頽廃芸術展』やジェラルドのミニアルバムのチラシなど見ながら、開演をじっと待ちます。
 期待と不安の交差するなか、開演時間の19:00を5分ほど過ぎたあたりで、不安を助長するかのようなSE「火星」が始まります。叩き付けるようなリフの流れるなか、ついにメンバーが入場! 会場は早くも大歓声に包まれます。
 鈴木氏は白の死装束(背中に龍?の刺繍入り)、和嶋氏は赤系色のインド風模様上衣にジーンズ(?よく見えませんでした)、後藤氏は黄色を基調にしたカラーシャツといういでたち。
 感慨にふける間もなく「地獄」。月刊プレイヤーの連載に本人が書いていたように、和嶋氏のブランクは大きかったらしく、正直言って、早いフレーズに手がついていっていません。続いて「りんごの泪」。この曲も今ひとつバンド全体にまとまりがない感が…。1年の空白はやはり長すぎたのか?!
 次は「賽の河原」。好きな曲ということもあり、安心して聴けました。サビの部分では、照明の効果もあり、ステージ前に石の河原を幻視してしまうほどでした。
次は「憧れのアリラン」。間奏部の各楽器の変拍子合戦あたりから、やっとバンドの息が合ってきた感じ。
続いて「黒猫」。ここに至って人間椅子の真骨頂を聴けた気がしました。
 再び鈴木氏のMC。風邪をひいているのか(?)やや鼻声。新曲の「胎内巡り」の解説では、「和嶋君の歌詞には、いつも『キラリと光る1行』がありますが、この曲の場合は2番の3行目です」とか、歌詞をもじった「マスヒロ・鈴木は出られるが、和嶋慎治は犬になる」などの名言が飛び出しました。そのまま「胎内巡り」へ。ユーライア・ヒープ風のコーラス〜声明も取り入れつつ、人間椅子独自のサウンドも忘れていない佳曲でした。
 まだまだ続く重く暗い楽曲群。今度は「踊る一寸法師」。個人的にはこのライヴのハイライトと言ってもいい出来栄えだったと思います。中間部の展開は、もはや「人間失格」を超えた! 続いて人気曲「暗い日曜日」。
 次は鈴木氏のベースがうなる「審判の日」。
 続いて某所のアンケートでは不動の人気No.1「天国に結ぶ恋」。こういった歴史ある楽曲では、上館氏とは違った後藤氏の曲解釈が興味深いです。
 MCをはさんで、怒涛の「もっと光を!」。鈴木氏が狂ったように暴れ回り、終盤を盛り上げます。
 最後に「幸福のねじ」。和嶋氏は疲労のためか、またしても手がついていってないような気が…。それでもパワーで押しきり完奏。メンバーは退場していきます。当然客席からはすさまじい「アンコール!」の声、声、声。
 2度目のアンコールは、もはや定番の「ダイナマイト」。この曲も和嶋氏のギターが…。(しかしこの曲はそういう細かいことを問題にしない曲ですので…。)和嶋氏は上衣を着替え、真紅色のキング・クリムゾン「ディシプリン」のジャケットTシャツになっていました。2年前の来日時に会場で購入したのか、それとも東京タワーのCosmic Jokersで買ったのか?!(笑)
 使用楽器については、和嶋氏はメンチとグレコの2本のSGしか使っておらず、鈴木氏も同じく2本のイーグル。1音半下げの時に使っていた木目のイーグルは、初デビューのような気がするのですが、私の錯覚でしょうか? どなたかご教授いただけたら幸いです。後藤氏はいつもの緑のタマです。
 場内のPAは、音のバランスがギターに偏り過ぎな印象を受けました。
 ちょっと不満な点もありましたが、なんといっても復帰第1戦、バンドとの再会を素直に喜びたいと思います。22日の追加公演、そして3月のツアーが本当に楽しみです!
※ この日のライヴは人間椅子讃歌にもタマエ氏によるライブレポートが掲載されています。特にMCの内容を詳しく知りたい方はどうぞ。
	 
SEQ. 
	曲名 
	使用楽器 
	 
ギター 
	ベース 
	 
<オープニング ホルスト「惑星」より「火星」>	 メンチ 
	イーグル 
	 
1 
	晒し首 
	 
2 
	地獄 
	 
3 
	りんごの泪 
	 
<MC> 
	 
4 
	九相図のスキャット 
	 
5 
	賽の河原 
	 
6 
	憧れのアリラン 
	 <MC> 
	グレコ 
	イーグル(木目) 
	 
7 
	菊人形の呪い 
	 
8 
	黒猫 
	 
<MC> 
	 
9 
	胎内巡り 
	 
10 
	踊る一寸法師 
	 
11 
	暗い日曜日 
	 <MC> 
	メンチ 
	イーグル 
	 
12 
	審判の日 
	 
13 
	天国に結ぶ恋 
	 
<MC> 
	 
14 
	もっと光を! 
	 
15 
	幸福のねじ 
	 
<アンコール1> 
	 
16 
	あやかしの鼓 
	 
17 
	針の山 
	 
<アンコール2> 
	 
18 
	ダイナマイト 
 
 
 
 
 
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