「総合目次」にもどる | 「演奏会報告の目次」にもどる | 最終修正:2006-03-13(月)

2006年3月10日(金) 渋谷 O-West 【2006年の瘋痴狂】
18:00開場 19:00開演

【レポート】

 前作『三悪道中膝栗毛』レコ発ツアーから、約1年ぶりのライヴ参戦となる私でしたが、今回は仕事の都合により開演までには間に合わず、渋谷O-Westに到着したのは、すでに開演して1時間が経とうかというタイミングでした。ドアの向う、会場内からは「品川心中」が聴こえてきます。
 重いドアを開けて入場。年度末の平日だから客入りはそこそこ?という予想を大きく覆す入りのため、最後列から人の頭の間をぬってチラチラとステージを見るような状態です。観客数は約300人くらいと思います。

 ステージでは「品川心中」が終わり、MCへ。人間椅子の楽曲は和嶋氏の“文芸シリーズ”をはじめ、鈴木氏の“宇宙シリーズ”“パチンコシリーズ”、ナカジマ氏の“わんぱくシリーズ”などがありますが、次の曲は「芋虫」「審判の日」「大予言」と同じ、ベースソロから始まる“ベース始まりシリーズ”の「青い衝動」。シンプルながら力強いベースが響きます。続く新譜のエンディング曲「幻色の孤島」。たたみかけるようなクリムゾン風フレーズの応酬を十分に堪能。
 それまでのバット2、イーグルに替えて和嶋氏がグレコ、鈴木氏がイーグル(茶)のローチューニング楽器に持ち替え。その間和嶋氏が、ナカジマ氏が「僕ちゃん」と呼ばれるようになったいきさつを解説します。ナカジマ氏がレストランで「僕ジャンボカツカレー」と注文したところ、店員を含む周りの者全員が「僕ちゃんもカツカレー」と聞こえ、それ以来「僕ちゃん」となってしまったとのこと。

 重暗コーナー最初の楽曲は、「見知らぬ世界」。CDでの落ち着いたたたずまいとは対照的に、ライヴではワイルドな音世界が繰り広げられます。
 次は2枚目『桜の森の満開の下』から「太陽黒点」。ナカジマ氏のドラムスで聴くのは初めてですが、この頃の曲も良かったよな……と改めて感じてしまい、感慨深いものがありました。
 なぜかたった2曲で重暗曲コーナーは終了、再び楽器をバット2、イーグルに持ち替え。和嶋氏のMCによる導入で、高橋和巳の作品から文芸シリーズ第27弾「孤立無援の思想」。これは“ディスコ”シリーズか。序盤は鈴木氏、中盤は和嶋氏、終盤は両氏そろってのコーラスが印象的でした。
 もう1曲ナカジマ氏のボーカル「ロックンロール特急」。序盤から激しくシャウトしハードに叩きまくるナカジマ氏に煽られ、場内も盛り上がります。位置的に鈴木氏は見えなかったのですが、和嶋氏もやたら楽しそうに弾いていたのが印象的でした。

 そろそろ終盤戦ですが、鈴木氏が「どうも今回のアルバムから歌詞を忘れがち……」と同年代の者には非常に共感のもてる発言。「でも古い曲になるほど、全然忘れていない」ということで、2枚目から「爆弾行進曲」を演奏。続いては新譜より、エコロジー・シリーズ「恐怖!!ふじつぼ人間」。鈴木氏の十八番である唸り声、笑い声が十分に生かされ、歌詞も「渋谷のセンター街にやってくる」とより身に迫る来る形に変換されていました。
 次は和嶋氏の「愛の言葉を数えよう」。唄メロをギターがなぞる形式がジミヘンみたいで楽しい楽曲。「天国に結ぶ恋」に代わる終盤向けラヴソングとなるのでしょうか? そして最後は「地獄」で締め、3人はステージから去っていきます。

 アンコールの呼び声に答えて、まず最初にナカジマ氏が登場。「誰も出てこないから、何かやっちゃうよ!」とドラムソロを開始、サービス精神旺盛なのか、空白恐怖なのか? ようやく和嶋氏と鈴木氏が登場、和嶋氏はこれまでと同様に黄緑色の和服ですが、鈴木氏は黒い僧服から白い死装束に着替え。楽器は1音半下げのグレコとイーグル(茶)を下げています。3月26日(日)渋谷エッグマンのイベント出演の告知のあと、アンコール1曲目とは思えない重苦しさの漂う「相剋の家」。次は鈴木氏の衣装にふさわしく「死神の饗宴」。ベースのリズムがズシズシと胸に響きます。

 演奏が終わっても鳴り止まない拍手の中、メンバーが2度目のアンコールに登場します。全員が今回のツアーTシャツに着替えていますが、鈴木氏の黒Tシャツのサイズが小さいのか、妙に似合っていません(笑)。
 和嶋氏のギターは昨年から使い始めたとおぼしきグレコ/ゼマイティスGZ-2600IFですが、鈴木氏もまたおそろいのゼマイティスのベース。形状や色は和嶋氏と同じレスポール型の黒いモデルで、GZB-2500またはGZB-2100EMGではないでしょうか。
 最後の曲は1枚目から「針の山」。新しいメンバーによる最初期の楽曲の演奏に、昔からのファンも大満足したところでステージは終了。「クリムゾン・キングの宮殿」が客出しBGMに流れる中、帰宅の途につきました。しかし合流した知人より、私の到着以前に「21世紀の瘋痴狂」「人喰い戦車」「山椒魚」(「よかったよ〜」)「桜の森の満開の下」を演奏したと聞かされ、血の涙を流しました…(泣)。

 総評です。今回はステージ全てを見てないので何ともいえないのですが、ツアー中盤ということもあってか、なかなかよくまとまった印象でした。数えてみると、アンコール3曲も含めて全20曲も演奏しましたが、散漫な印象はなく、流れるような一つのライヴという感じでした。特に、ローチューニングの曲を中盤とアンコールに分散していましたが、流れが途切れがちな楽器交換をアンコールにからめたのは、なかなかよい思いつきではないでしょうか。選曲も、新譜の曲と旧曲をうまく組み合わせていてよかったと思います。
 音響や照明に関しては評価できる状態ではなかったのですが、慣れ親しんだO-Westなので、今回もよかったんだと思います(たぶん)。
 なお物販は確認していないのですが、ツアーTシャツ2種(薄緑色と黒の2色)、瘋痴狂ステッカーなどの新商品が販売されていたとのことです。

 ナカジマ氏が完全にメンバーとしてなじんだ今、もう一度人間椅子のワンマンライヴを見たいと思っています。夏前に(夏はねぷたがあるから休み?)1回ツアーがあるとありがたいですね。

以上

【チケット】

チケット

【セットリスト】

SEQ. 曲名 使用楽器
ギター ベース
<「21世紀の精神異常者」>
雷神    
幸福のねじ
<MC>
21世紀の瘋痴狂
人喰い戦車
<MC>
山椒魚
桜の森の満開の下
<MC>
品川心中
<MC> バット2 イーグル
青い衝動
幻色の孤島
<MC> グレコ イーグル
(茶)
10 見知らぬ世界
11 太陽黒点
<MC> バット2 イーグル
12 孤立無援の思想
13 ロックンロール特急
<MC>
14 爆弾行進曲
15 恐怖!!ふじつぼ人間
16 愛の言葉を数えよう
17 地獄
<アンコール1> グレコ イーグル
(茶)
18 相剋の家
19 死神の饗宴
<アンコール2> ゼマイティス ゼマイティス
ベース
20 針の山
<「クリムゾン・キングの宮殿」>
<備考>
 アルバム『瘋痴狂』収録曲


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