「総合目次」にもどる |  「演奏会報告の目次」にもどる |  最終修正:99-05-03(月)

1999年5月2日(日) 新宿 リキッドルーム 【ツアー"二十世紀葬送曲"】
17:00開場 18:00開演

【レポート】
 通常のライヴより1時間早い17時開場、18時開演のため、まだ日の高いゴールデンウィークの新宿の街は混雑していました。他会場では雨模様の日が多かったとの報告で、最終日の東京でもジンクス復活か?!と思われましたが、天候は良好。
 新宿コマ劇場方面へ歩いて行くと、アーケードに掛けられた「ホンネの街 歌舞伎町」という含蓄あるスローガン(笑)の小旗が目に入ります。リキッドルームに来るのは始めてでしたが、ヒューマックスパビリオンを見つけるのは比較的容易でした。
 すでに入場整理が始まっており、すぐビルに入ることができましたが、ここで悪名高い階段が…。エレベーターは搬入専用ということで使用できなくなっており、中世の古城の螺旋階段のような階段を7階まで上っていかねばなりません。正直言って、ライヴ前にこの運動はキツかったです。やっぱり30越えると体に来ますね(笑)。

 さてようやく階段を登り詰めて(登った段数のことは考えたくない(笑))入場。まずTシャツを購入。Sサイズしかなく、着れなかったらどうしようかと思いましたが、資料用に購入。他の物販は、既発のCD、ビデオなど、<レッド>と<『頽廃芸術展』>のステッカーがありました。CD類は購入特典として人間椅子・紙エプロン付き。
 四角のフロア内の周囲にテーブルと椅子がありましたが、すでに埋まっており座れず。中間部の手すり後の、和嶋氏側丸テーブルに落ち着くことにします。場内の音楽は最初ELP(?)、そしてレッド・ツェッペリンが流れています。
 観客はON AIR WESTよりも多い感じ。音楽メジャー誌のインタビュー、特にBurrn!誌に出ていたことが大きかったのでしょうか、男子が増えたような気がしたのですが、和嶋氏側に位置していたことも一因かもしれません。

 今回のツアーから使用されているヴァンゲリスの「ブレードランナー」のテーマが定刻5分過ぎくらいに開始。観客が腕を上げ、早くも盛り上がる中、メンバーが定位置に着き、「幽霊列車」。後藤氏のホイッスルが発車を告げます。サビでは観客も「幽霊列車がもうすぐ〜」と唱和し、すでに会場はバンドと一体化しています。
 今日の衣装は、和嶋氏が金色の象模様のベスト(下は見えなかった)、鈴木氏が背中と左胸に龍の刺繍の入った死装束、後藤氏がテリー・ボジオ風ランニングシャツと、去年のツアーから引き継がれてきたもの。楽器も和嶋氏がバット2、鈴木氏がお札イーグルとこちらも定番。一部で噂のグレコMRは出ないのか?
 2曲目は序盤で意外な「針の山」。しかしギターソロ失敗、そのせいかその後のリフ部分もワウのスイッチが入りっぱなしになってたような…。それにしても、この手のノリやすい曲では、観客の縦ノリにあわせて床が振動するため、私は簡易船酔い状態です(笑)。

 鈴木氏のMC「サナギの腹がピクピク動く絵を想像してください」という導入で「蟲」。怒涛のようなドラミングに、中間のギターソロはCDより長めに取っており、曲の緩急が際立つ感じ。続いて軽快にハネる楽曲「恋は三角木馬の上で」と、新譜攻勢が続きます。

 次のMCでは、「ドラムで語るMC」と題して、鈴木氏と和嶋氏の質問に後藤氏がドラムの演奏で答えるという企画。さまざまな楽器を駆使して回答する後藤氏に場内爆笑。そして曲は、その後藤氏が唄う「都会の童話」。7拍子のドラムスを叩きながら同時に唄う姿は、すでに承知のこととはいえ、実際にまのあたりにすると驚愕を禁じえません。
 続いてこれも序盤では珍しいか? 望郷の楽曲「りんごの泪」

 次は新譜の曲順通りだとすると「少女地獄」か?とわくわくしていると、鈴木氏がMCで「今日は演奏しない」と明言(がっくり)。
 1音半下げ用に和嶋氏がグレコ、鈴木氏がミラージュに持ち替えます。鈴木氏のミラージュは、前回のツアーまではパールホワイトだったのですが、今回は表面がメタリックに輝いています。よく見ると星模様が入った鏡板のようなものが貼ってあります。裏面はパールホワイトのままです。
 最初の重暗曲は、やはり新譜より「春の海」。鈴木氏のヴォーカルが冴えわたります。中間部の静かなパートはCDのアレンジより長く、ここで後藤氏は鈴などのさまざまな打楽器を使用し、CDよりもイマジネイティブな世界を構築していました。しかし、この曲をはじめとして、一音半下げの曲ではベースの低音部が効き過ぎて、耳がおかしくなりそう。聴かせ処なのに、残念。
 次は聴きたかった「黒猫」。猫の鳴き声を模したギターは、何度聴いてもいいですね。

 MCで和嶋氏が太宰治の作品「トカトントン」に触れ、同じようなテーマを持つ「黒い太陽」を演奏。重い! 暗い!
 続けて「心の火事」。この曲は本来通常チューニング曲ですが、1音半下げでまた違った様相を見せてくれます。

 次のMCでは、6月6日(日)に赤坂ブリッツで行われるイベント出演についての告知がありました。出演は人間椅子の他、アウトレイジ、THE SLUT BANKSとのこと。
 アウトレイジが畏れ多くてシン・リジィのカバーをやらないのに対し、「人間椅子の曲をやるよりブラック・サバスの曲をカバーするほうが楽しい」と言い放つ鈴木氏(笑)。その鈴木氏が「N.I.B.」のベースのイントロを弾いてから「サバス・スラッシュ・サバス」を演奏。もちろん、こんなときに客席から叫ぶ言葉は BLACK SABBATH!
 これに続いてカバー曲、ブラック・サバスの「WAR PIGS」。私個人の嗜好では「INTO THE VOID」を希望でしたが、「WAR PIGS」の方がより盛り上がりやすい楽曲ですので、ツアーの締めくくりとしては良い選択だったと思います。オリジナルと異なり1音半下げで演奏していました。会場のノリも含めて、ブラック・サバスというよりは、トリビュートアルバムに参加していたFAITH NO MOREに近い雰囲気。
 次は「暗い日曜日」。やはり日曜日のライヴでは必ず演奏しなくてはならない楽曲ですね(笑)。

 重暗曲は終了し、楽器をそれぞれバット2、お札イーグルに戻します。和嶋氏のストーカー的気質に関するMCから、超人気曲「天国に結ぶ恋」。最近多用しているギター、バット2の張りのある音が印象的。フィードバックもバッチリでした。そして次は「地獄」に落ちます。「地獄」では、鈴木氏が血糊を吐くパフォーマンスが見事に決まっていました。
 メンバーもスタッフもあなたも私も「エキサイト」!、で最高潮に達した観客を残し、メンバーは退場。当然アンコールの拍手の嵐が巻き起こります。人数に比例して?今までにない音量の拍手。周囲を見回すとライヴ開始時よりさらに増員したような、一杯の観客が目に入りました。

 アンコールに出てきたメンバーから、7月24日(土)25日(日)のON AIR WESTでの10周年ライヴの告知。開演1時間前から人間椅子の歴史をたどるビデオの上映、プレゼントなどさまざまな企画が用意されているとのことです。
 アンコール1曲目はこれも定番な「幸福のねじ」を演奏。続いての「ダイナマイト」では、鈴木氏がハンドマイクで唄を唄います。あれ、ベースは?!と思うと、鈴木氏側後方でツアースタッフ川端氏がリッケンバッカーでサポートしていました。
 最後に、鈴木氏の紹介で人間椅子の事務所「N.I.B.」の社長、小林氏がステージに現われ、「人間(N)椅子(I)万歳(B)!」と絶叫。感動と興奮のフィナーレでした。

 総評ですが、セットリストがソツなくまとまっており、全体の流れとしては良かったと思いました。最初から最後までノリも良く、違和感なく楽しめたことと思います。
 その反面、起伏に乏しく、平板な印象になってしまったことも否めません。MCもいつもの独特なリズムが無く、ある種「お約束」的、シナリオに沿った感がありました。
 また、ツアーも最終日で疲労が蓄積するのか、演奏がやや単調で荒くなっていたように見受けられ、じっくり聴くには不満が残りました。
 音響的には、ベース>ギターの音量がアンバランス。特に1音半下げの曲の時に違和感がありました。しかし人間椅子ライヴは初めての会場だし、これくらいは致し方ないのでしょうか。
 アンコールは1回と、以前のライヴより少なめでしたが、他会場でも2回以上やったところはないようです。今回のツアーでは、アンコール回数について何かポリシーがあるのでしょうか?
 フロアの雰囲気は掛け声も合唱もノリがいいです(「ピース」サインを上げている人が多くてちょっと気になりましたが)。客層は以前よりちょっと変わってきたかな。男性客の比率が上がり、年齢層も幅広くなったような印象を受けました。服装もいろいろですし、前で頑張る人、後方でのんびり聴く人など各自のスタイルでライヴを楽しんでいる様子でした。

 さて、次のライヴは10周年企画ということで、期待は高まります。どんな選曲・演出をしてくるのか、今から楽しみです。もちろん2日間とも行くつもりです!

以上
【チケット】
チケット

【セットリスト】
SEQ. 曲名 使用楽器
ギター ベース
<オープニング ヴァンゲリス「ブレードランナー」>
幽霊列車 バット2 お札イーグル
針の山
<MC>
恋は三角木馬の上で
<MC>
都会の童話
りんごの泪
<MC> グレコ ミラージュ
春の海
黒猫
<MC>
黒い太陽
10 心の火事
<MC>
11 サバス・スラッシュ・サバス
12 WAR PIGS(BLACK SABBATH)
13 暗い日曜日
<MC> バット2 イーグル
14 天国に結ぶ恋
15 地獄
16 エキサイト
<アンコール> バット2 イーグル
17 幸福のねじ
18 ダイナマイト リッケンバッカー
(川端氏)

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