ティロスとアレクサンダー

その昔、レバノンのティロスには、本土から離れて小さな島があり、フェニキア人たちがそこに都市を築いていた。アレキサンダー大王がこの土地にやってきたとき、降伏しようとしないティロスの民を攻め滅ぼすため、7カ月かけて本土と島をつなぐ堤防を築いてしまったとか。
今、ティロスの岬はあまりにも大きくて、どこまでが島でどこから堤防だったのか、見当もつかない。アレキサンダー大王が来てから約2300年、土地っていうのは変わってしまうものだ。
その後このあたりはローマの支配地となり、現在残っているのは巨大なネクロポリス(死者の都)とヒッポドローム(競技場)の遺跡。
囲いも何もない、のどかな遺跡で、周辺のビーチから上がってきた地元のアラブ人たちが、観光客に「ハロー」なんて声をかけながら通り過ぎていくのだった。 (A.A.)

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