イスタンブール、雨・・・

夜があけた。窓からさしこむ光は、どことなく弱々しい。前日まで、どこまでも晴れやかなイズミールにいたので余計にそのように感じたのかもしれない。窓を開けるとやはり小雨が降っている。雨のイスタンブールか。それもいいだろう。ここはオールドシティ、ローマの栄光と影とそして民族の雄叫びが刻まれた町だ。今私は歴史の中にいる。そのような感動が沸沸と湧き上がってきた。通りに出た私の興奮をイスタンブールの雨はまるで鎮めるかのように柔らかに降っていた。
アヤソフィアは、オールドシティから、ボスポラス海峡側に伸びている大通りをまっすぐ行った突き当りにある。イスタンブール大学の付近から歩いても二十分くらいで行ける。この通りはかつてはコンスタンチノープルのメインストリートで、さまざまな建造物が立ち並んでいたことだろう。現在はその面影はなく、ところどころ道端に大理石の残骸が無雑作に放置されているのが見える(山崎喜世雄)。


おみやげスーク

古代世界CLUBホームへ