エリッサを殺そうとしたのは兄のピグマリオンで、この人はちゃっかりティロスの王におさまっちゃいました。エリッサは別名ディドと言い、彼女の伝説はギリシャやローマに伝わっています。エリッサがカルタゴに着いたとき、現地の住民に「1枚の牛の皮で覆えるだけの土地がほしい」と願い出て、牛の皮を細く切り裂いてヒモ状にして、それでぐるっと広い土地を囲ってしまったとか。ローマの詩人ウェルギリウスは、叙事詩「アイネーイス」の中でディドとアイネイアスの恋を描いています。このアイネイアスは、トロイ戦争のトロイ方の英雄で、ローマ建国の祖ともされています。